表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われ不死者の七つの死因【セブンデスコード】  作者: 夏野ツバメ
東の大国 【神の国ギオジン】編
61/198

Ep.61序 波打ちの場所

長いので数回にわけております。

 王都から南東へ進む馬車の中で騒がしい声は暫く続いていた。


「はい! ミーネちゃんはこれを着て。道化師(クラウン)さんは適当に黒い布を体に巻き付けて……」


「な、なんですかこの真っ黒な……というか、ここで着替えるなんて出来ません!」


「リーパーちゃん? 巻き付けるって、僕は一体どうしたらいいんだい?!」


 足を止めず走り続ける馬車の手綱を握る男は、不安そうに何度も振り向くのであった。



「残念ですが僕のお連れできるのはここまでです。馬車で案内できる限界です」


 手綱を放した男は残念そうに頭を振る。


「ありがとうございます! ここからは私に任せて下さい」


 紫髪のお下げの少女は屈託なく答えると、わざとらしく胸を叩いた。


「さぁ、急いで船着き場までいきますよ。二人とも準備できました?」


 少女のその声に自信なさげな男の声が答えた。


「リーパーちゃん? ぼ、僕は本当にこのままでいいのかな」


 黒く汚れたボロ布を身体に巻き付けたキルビートは、自信なさげに辺りをキョロキョロと伺っている。


「完璧です、バッチリ。元々のお面と相まって怪しい呪士感が抜群にでてますよ!」


 少女は嬉しそうに跳び跳ねる。その姿に満更でもない様子の仮面の道化師キルビートは頭を掻いていた。


「……ちょっと、本当にこの服で向かうのですか」


 不満げな声のする方をむくと金髪の少女がさも不機嫌な顔で馬車から降りてきた。


「ミーネちゃんはやっぱり可愛いですね。すごく似合う」


「ほ、本気で言ってますか?」


 無理を言って急ぎで王国に作らせた真っ黒い修道服を纏うミナーヴァは、ひきつった眉を僅かに動かしていた。


「さぁこれでどこからどう見ても呪士の一行です。いざ私の故郷、ギオジンヘ!」


 白いローブを翻し、紫のお下げ髪を揺らすタナトスは拳を突き上げるのであった。不安そうに見つめる二人は浮き足立つタナトスの後について進むのであった。



◆◆


「あ! 見えましたよ、あれが連絡船の船着き場です。うわぁ、懐かしいなぁ……」


「あれが東へ向かう航路……」


はしゃぎだしたタナトスに言葉を詰まらせる二人は異様な雰囲気に警戒を余儀なくされていた。


「私ね、初めてあそこに下ろされたとき不安でいっぱいだった。……けど一歩踏み出した時、それ以上の興奮でワクワクしたこと今でもはっきりと覚えてます」


穏やかな波打ち際の音とは正反対に埠頭は緊張感が漂っていた。




 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ