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着せ替えセイラ


「セイラちゃんこれも着てみて」



 本日何回目の着替えだろうか……ウィルベルト様のお姉様であるベアトリス様が、可愛すぎて着ないと言うワンピースを()()もらって欲しいと言われ、ずらっと並べられた。



「可愛いっっ。すごく似合うわね! やっぱりセイラちゃんが着ると良いわ~。セイラちゃんの為のようなワンピースね!」



 扉をノックする音に、ベアトリス様は無視をしていると、ドンドンドンドン……と激しく叩かれる。



「何よ! 煩いわね。ウィルでしょ!」



 ベアトリス様の侍女が扉を開けた。



「姉上! いつまでセイラを拘束するつもりですか!」



()()ウィルの婚約者じゃないもの。今日は私がセイラちゃんに会いたくて呼んだのよ!」


 わぁ。美男美女だ……目の保養になりますね。


「見て! セイラちゃんすごく可愛いのよっ」




「……確かにとても可愛いです。似合っています。しかしなぜ姉上がこんなワンピースを持っているんですか? テイストが違うでしょうに」



 ベアトリス様は美しい方で、大人っぽい衣装がよくお似合いだ。確かにこのワンピースは可愛すぎるような……




「こういうの着てみたいと思って作ったけど、似合わなかったの、だからセイラちゃんに着てもらいたくて。予想の遥か上を超えるくらい似合っているもの。だからプレゼントしたくて」



「ベアトリス様、頂くわけには……」



 困りながらもお断りしようとしました。ただより高いものはない。お兄様が言っていたもの。貰って帰ったら怒られますし、返してきなさいと言われても困ります。




「えーぇっ。ウィルどう思う? このワンピース捨てる? 勿体ないわよ、せっかく似合っているのに」



 どうしよう……



「ユベール殿に怒られるとか思っているのなら大丈夫だ。私がユベール殿に話をするから、セイラが嫌じゃなければ貰って欲しい」



 可愛いのです。とても好みです……でも



「そう言うわけには、」


 扉をノックされた。オリバス家の執事だった。



「旦那様がおかえりです」



「父上が?」

「お父様が?」


 ……オリバス伯爵様が? 明らかに私は場違いです!



「私、そろそろ帰らせていただきます! リサ着替えの準備、」



「セイラ、おいで。父上を紹介する」

「セイラちゃん行きましょう」



 右手にウィルベルト様、左手にベアトリス様が私の手を繋いできました。



「か、帰ります!」





「「帰しません!!」」




 ウィルベルト様とベアトリス様の声が重なり、引きずられる形で応接室へと連れて行かれました。



「君がルフォール子爵のお嬢さんかな?」


 伯爵様がお待ちでした……



「は、はいっ。は、はじめまして、お邪魔しております。セイラ・ルフォールと申します」


 緊張して少し吃ってしまいました……恥ずかしいです。



「ようこそ。歓迎するよ。ウィルからは何かないのか?」



「セイラとは学園で会いまして、個人的に親しくさせてもらっています。将来も含めてこれからも付き合いをしていきたいと思っています」



「そうか、ウィルとセイラさんが良いと言うのなら私も反対はしない。妻からは君のことを聞いている、ウィルの事を頼むよ」



「は、はいっ。え?」



 勢いで返事をしました。ウィルベルト様を見るとにやりと笑っていました。



「ところで、ベアトリスまで何故いるんだ? セイラさんと仲良くなったのか?」



「えぇ。お父様、セイラちゃんはとっても良い子ですよ。妹ができたみたいで可愛くて。このワンピース作ったけれど、わたくしには似合わなくて、セイラちゃんにプレゼントしたくて今日はお誘いしたの」



「ベアトリスのワンピースなのか? お前には似合わないだろうに……」




「そうなの。だからセイラちゃんにプレゼントするの。可愛いでしょう? お父様ウィルがね、セイラちゃんに可愛いとか言うの。あのウィルがよ?」


 

 楽しそうにベアトリス様は笑いましたが、ウィルベルト様はいつも褒めてくださります。ご家族にはそうではないのでしょうか?



「ウィルが? 女の子に?」


 伯爵は物珍しい目つきでウィルベルト様を見ていました。



「なんですか? 人を珍獣のように」



「ところで、セイラさん。ルフォール子爵とお会いしたんだが、」



「……え? 父と、ですか?」


 会った? 過去形? お父様と伯爵様が? 聞いてない……お兄様からもお父様からもお母様からも。



「妻に早くお会いするように言われたから会ってきたよ、何か問題でもあったかい?」



「い、いいえ?」



 ウィルベルト様の顔を見るとにやりと笑っていた。最近よくこの顔を見るような気が……



「婚約の話は早々に進めよう。婚約式は君たちの長期休暇中と言うことになる」



「妥当ですね」

「そうね」



 ……あれ? 私抜きで話が進んでいる。


「セイラさんには覚えてもらいたいこともあるようだし、週に一回はうちに()()()おいで、妻も楽しみにしているよ」



「そういえばお母様は?」



「お茶会だろう? アルヴィエラ侯爵夫人に誘われていると言っていた」



「あら! アルヴィエラ侯爵夫人に貴女達の事お話ししているのではないかしら? 今日は誰が誘われているのかしらね」



 ベアトリス様はウィルベルト様と同じようににやりと笑った。










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