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取り返しのつかない事2


「レオは私と結婚して婿養子に入ってくれる? でも実家とは縁を切って欲しいのよね」



 ルシアと結婚? 俺が?


「……急に言われても、困る」



「私の初めてをレオにあげたんだもん、やっぱりレオは初めてじゃなかったんだね……残念。でもセイラちゃんには手をつけてないから変なところで真面目だよね」




 王都に来た日に声をかけられたカフェの女性と何度かデートするようになり、そう言う関係になった。年上であちらも遊びだったからお互い様だと思っていたが……




「それでね、レオの子供もこっちで引き取ろうと思ってるの」



「……はぁ? ……俺の……こども??」




「カフェの店員さんとの子でしょ? 知らないの?」




「……初めて……聞いた」




「あの女性は隠していたようね。レオに婚約者がいると知っていたし、しかもレオは貴族。知られたら大変だもの。彼女は孤児院に子供を預けて、実家に帰ったみたいね。それで、レオの子は孤児院にいるんだけど迎えに行く? 見たらすぐに分かるわ。レオと同じプラチナブロンドに透き通るようなブルーの瞳だったわ。物心つく前に引き取りましょうか?」



「いや、しかし……」



 俺の子供? いつの間に産んで……理解が追いつかない。頭が痛い。




「あっ、アイリが心配していたわよ。アイリは子供を産んで、家から出されちゃって平民になっちゃったけど、まだ仲良いの。昨日居たの気がついた?」



 そう言えば……



「アイリの子は誰の子だ?」




「アイリはね、カジノにハマっちゃって借金が払えなくて、カジノのスタッフに助けてもらったんだって。その時の子」




 その時の子と言うことは、体で……頭を押さえた。なんて言うことだ。

 



「レオは私と結婚するまでは、昨日のバー(カジノ)で働いてね」



「はぁ? あの店は一体なんなんだ?」



「私の()()の経営するバーよ。将来はレオが経営するのよ? だからまずはスタッフとして働いて仕事を覚えて、経営を学ぶの」



「あそこは……あの店は……?」



「レオったら! もちろん……()()()よ。でもレオなら大丈夫、頭良いものやっていけるわ」



「断ると言ったら?」



「そうねぇ……うちのパパあんまり評判が良くない家だから、なんとも言えない。レオに被害はないかもしれないけど、ファーノン男爵家はレオの弟が継ぐんだったっけ? 無事に継げれば良いわね」



 にこりと笑うその顔は悪魔のような笑みだった。



「ね? 実家と縁を切ったほうがいいよ。レオが私といてくれるのなら悪い事にはならないもの。レオ言ったよね? 田舎に帰りたくないって王都で遊びながら暮らしたいって。望みは叶うのよ?」




 それは将来セイラと結婚すると決まっていたから無い物ねだりのような言い訳だった。実際はセイラとのんびり領地で暮らす事を望んでいた。一時の快楽だったはずだ。





 取り返しのつかない事になってしまった。





 セイラもう君に会うことは叶わないようだ。俺は愚かだ。



















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