学園祭
「セイラ様のご両親が来ていらっしゃるの?」
「はい。そうなんです。もうすぐこちらへ来ると思います」
「それではご挨拶させていただいてもよろしいですか?」
本日も優雅にフローラ様は仰いました
「はい。それでは私からフローラ様を紹介させてください。兄も来ると思うのですけど……」
「まぁ! お兄様も? お屋敷にお邪魔した際はおられませんでしたから、是非ご挨拶を! 今日ご挨拶をさせていただければ、これからも安心して遊びに行けますわね。お泊まり会もしたいですし」
「はい、兄もフローラ様にご挨拶をしたいと言っていました」
******
「「セイラ」」
「お父様・お母様!」
「ここがセイラのクラス?」
「はい」
「学園は楽しいか?」
「はい。仲良くしていただいているお友達を紹介しても良いですか?」
フローラ様に声をおかけしました
「仲良くさせていただいているフローラ様です」
「はじめまして。フローラ・アルヴィエラと申します」
「こちらこそ、いつも娘と仲良くしてくれてありがとうございます。アルヴィエラ侯爵殿のご令嬢ですか?」
「はい、左様でございますわ」
「アルヴィエラ侯爵殿は学園で私の先輩でした。いや懐かしい」
「まぁ! そうでしたの」
お父様にも学園時代があったんだ。不思議な感覚でした
「お兄様、いつもお話をしているフローラ様です」
「セイラの兄のユベールと言います。いつも妹からフローラ嬢の話は聞いています」
「まぁ。セイラ様から? それは光栄ですわね」
フローラ様と目があって笑い合いました
「娘と親しくしてくださってありがとうございます。どうぞ娘の事をよろしくお願いしますね」
お母様がフローラ様にご挨拶をしました
「そういえば、こちらのクラスはバザーをしていると聞いたが、販売はしていないのか?」
「うん。もう全部売れてしまいました。学園の生徒は買えないので、一般の方が来られて一時間ほどでなくなってしまいました」
「そうか。いまは自由時間?」
「うん。フローラ様とね、一緒に回らせてもらうの」
「楽しんでおいで。私たちも少し回ってくることにしよう」
******
懐かしいと思いながら、学園内を両親と回っていた。私の学生時代に両親はわざわざ学園祭になんて来たことがない。
セイラにあんなことがあって心配で会いにきたのだろう。
領地の仕事もいまは落ち着く頃だ。
「リオネルじゃないか」
「おぉ。ユベール来たか。ルフォール子爵並びに夫人、お久しぶりです」
リオネルが挨拶をした。両親もリオネルのことは知っている。何度か会ったことがある。挨拶をしあっていた。
「セイラ嬢には会ってきたのか?」
「あぁ、今行ってきたよ。これからフローラ嬢と学園祭を回るらしい」
話をしていたら遠くにレオの姿が見えた。
「痩せたな」
ボソッと呟くように言った
「そうだな……自業自得とは言え、残念だよ。成績もいまは上位だ。もっと早くにやれば良かったものを……」
「セイラには近付いてないな?」
「あぁ。今の所はな」
「悪いが頼んだよ」
******
「レオを久しぶりに見たけれど、あんな感じだったかしら?いつも明るくてセイラと一緒にいた時は幸せそうだったのに」
母が言った。都会に来て変わるやつは多い。まさかレオが悪い意味で変わるとは思わなかった。
「あの子のあんな姿を見ることになるとはな。ファーノン男爵も無念だろう。
私はギャンブルはどうも好きではない、学生のうちからあれでは将来もみえる。セイラは優しい子だから、ユベールが動かなかったらそのまま婚約していた事だろう」
「そうね。レオとセイラがこんなことになるとは思いませんでした。可哀想だけどセイラの相手を探さなくてはなりませんね」
「あぁ、夫人。そのことでしたらもう少し待ってみても良いのかもしれませんよ」
リオネルの言葉に父が反応した
「それはどう言うことかね?」
父がリオネルを見ていた
学園での話をリオネルが両親に説明していた。
セイラはとても人気がありモテている。
最近は成績が急に上がった。
二年生の男子生徒と親しいこと。
お互い思い合っているのではないかと言うことを、やんわりと両親に伝えていた。
「セイラが男子生徒とか」
「ユベールは知っていたの?」
「まぁ……そうですね。彼に勉強を教えてもらっている事や、ランチを作っている事は知っていますよ。婚約者がお互いにいないので、私は反対しているわけではありません。セイラに好きな人はいるのか? 聞いたところによるといないと言ってはいましたが、顔が赤くなっていたので、多分彼を想像したんでしょう」
「この件はユベールに任せても問題はないか? セイラの事だから変な事になる事は無いだろうし、保護者としてお前に一任するが、報告はしてくれ」
「はい、お任せください」
「噂の彼はとても良い男です。セイラ嬢に何かあったら保護者であるユベールに連絡を入れますので、ご安心ください」
リオネルが言った事に両親も安心したようだった。噂のウィルベルト・オリバス伯爵令息を見に行ってこようか