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フローラ様とお茶会

「セイラ様、テストも終わった事ですし、うちに遊びに来ませんか?」


 フローラ様に誘っていただけました。


「はい、喜んで!」


 テストの結果はまずまずだったけど、フローラ様はクラスで二位と言う好成績でした。



 ******



「本日はお招きいただきありがとうございます。宜しかったらこれ……」


 そう言ってフローラ様にお渡ししたのは、バジルとローズマリーのクッキー。


「すごく良い香りがしますね! もしかしてこれ……セイラ様がおつくりになったの?」


 クッキーを興味ありげに見ていました。


「私の趣味はお菓子を作ることなんです。ハーブを育てていて、お茶をブレンドしたりこのようにお菓子にしてみたり、ポプリを作ったり、」

「素敵! なんて素敵なの」


 フローラ様は興奮したように、話を聞いてくださりました。



「セイラ様は素敵な趣味をお持ちですね」


「そんな……フローラ様のようにバイオリンやピアノを弾けるわけではありません。うちの領地は田舎で、遊ぶところがなかったので、普通貴族の令嬢はお菓子なんて作らないものですもの」


 慌ててぶんぶんと首を振る。


 フローラ様は侯爵令嬢という高位貴族の令嬢で、礼儀作法も会話も社交も完璧にこなす、憧れの存在です。



「どうしてそのような事を……? わたくしはセイラ様を尊敬しますわ。お互いに認め合う事が大事でしょう? セイラ様もわたくしを凄いと褒めてくれますでしょう」


 フローラ様の言葉は心に刺さった。学園に通うようになって出来た友達がフローラ様でよかった。そう思いました。


「はい。ありがとうございます、フローラ様とお友達になれてとても光栄です」



 その後はお互いの趣味について話し合ったり、フローラ様のご家族の話を聞かせてもらった。

 フローラ様には年上の婚約者がいて、今は領地に滞在しているらしくたまにしか会えない。とぼやいていました。



「セイラ様には婚約者はいらっしゃるの? 先日有耶無耶にされましたわよね? 聞かない方がよろしいのなら、この質問は忘れてください」

 眉を顰め困ったような顔をされました。


 やはりこの質問でした……フローラ様に言っていいのかどうか……






「……います。黙っていてすみませんでした」


 唇をぎゅっと噛み頭を下げました。



「どうして謝る必要がありますの?」


「私の婚約者は学園にいるんです。レオ・ファーノン……ご存知ですよね……」



 数秒の沈黙が長く感じました。



「……あの方がセイラ様の?」


「はい、レオの家と私の家は領地が隣同士で幼い頃から仲が良くてその関係で婚約を交わしました」


「学園では接点があるようには思えないのだけれど?」


「……レオは忙しいので」


「女生徒と遊ぶのに? そんな事でセイラ様が放っておかれるのですか? 婚約者であるセイラ様をなんだと思ってらっしゃるの?」


「このままではダメだと思って、テストが終わったら話をしてみようと思っています」


「わたくしはセイラ様の味方ですわ。何かあったら必ず相談してください。わたくしの大事な友人が悲しい思いをしているなんて辛いですもの」


 フローラ様はとてもいい人でした。レオの事を話すと気持ちが楽になりました。お友達に隠し事は辛いです。


 お茶会はお開きで帰宅することになりました。



「フローラ様、本日は話を聞いてくださってありがとうございました」


「いいえ。こちらこそ、また来てくださる?」


「はい、喜んで」


 そういうと、フローラ様はフリージアのブーケを下さりました。


「セイラ様はわたくしの大切な友人ですからね」


 そう一言加えてくださりました。



「うちの庭師が言っていたそうなの。セイラ様が、お花の事を聞いてくれたことがすごく嬉しかったんですって。夏の庭も見事だから見に来てくださると庭師も喜ぶわ」


 優しい方です。いただいたブーケをぎゅと抱きしめて、笑顔ではいと。答えました。






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