十三章
さて、脱出ルートは地下二階から下水パイプの中を通って街に脱出ということで決まったが直面している問題がこれではない。
一番問題なのはこの研究所をうろついているX-001の存在。 そして今にも扉を壊して突入してきそうなテロリストどもの存在だ。
パソコンの画面は今尚研究所へと続く扉を映し出しており、敵が黙々と爆弾の設置作業を行っている。
「良い事思いついたんだが」
ここにきて授業中に手を上げたことのないナリナが申し訳なさげに手を上げている。
「X-001とテロリストを相打ちにさせたらいいんじゃないか?」
それを聞いたナルミは「なるほど」とアゴに手を当てた。 確かにいい案だ。
敵の敵は味方って、この場で合ってるかどうかはわからないが俺たちの敵と敵を戦わせて疲弊させればいいのだ。
つまりテロリストたちにX-001を倒させるか、X-001にテロリストたちを倒させるかということであり、その勝敗はどちらかわからないが両方相手するよりははるかにマシだ。 デメリットもあまりないが、しいて言えば敵の双方が同時に襲ってくることくらいかな。
「そうと決まれば早々に行動せねば」
ノダさんは持っていたピストルのシリンダーから空になった薬莢を取り、残弾数が残り1発であることを確かめながら言う。
ナオヤはアキバにこの研究所の地図を貰い、どこになにがあるか必死に頭に叩き込んでいるし、リョウとショウタは恐らくどうでもいい会話をしている。
俺は部屋の隅で膝を抱えているテルコへと目をやった。 この戦場では一般的な女子にはかなりキツイものに違いない。
「大丈夫か?」
俺が声をかけるとテルコはビックリした様子で肩を揺らして顔を挙げた。
「ユウト……あたし怖い……」
そう言ってテルコは神にでもすがったかのように俺の手を掴んで涙目になった顔を俺に向ける。 なんだ、この状況。 ナリナがこちらを見ているのがなぜか痛い。 まるで妻に浮気現場を見られたうだつの上がらないサラリーマンの気分になっていた。
幸い(?)ナリナはこちらを少し見て、何も表情を変えずにアキバとシェリー先生のほうへと顔も戻していった。
まぁ、アイツは夫の浮気現場を見てもその場は平然と立ち去るだろうな。 が、その後に無表情で闇討ちやらなんやらしてくるだろう。
「ユウト、あたしもうダメ……。 生き延びる自信ない……」
とりあえず今は俺の安否より目の前で消えてしまいそうなテルコを励ますことに専念するか。 俺は握っている手をひっぱり、テルコの腰をあげさせてから両肩に手を置いた。
「しっかりしろ。 もっと前向きに考えろよな。 生き延びた先は自由の世界だぜ? 生還したらまず何をしたいか言ってみろ」
「……んー、お風呂入って寝たい」
「そうだな。 しばらく学校休みになるだろうから時間気にせずに風呂も睡眠も取れるぜ。 なんともいい話だろう」
そう言ってみるとテルコは「うん」とうなずき、唇を緩ませながらスカートのポケットから銀色の十字架の首飾りを取り出して、差し出してきた。
「ありがとう。 お礼にあたしのお守りあげるよ」
俺はお守りとか占いとか、まったく信じない人間だが人の好意は無駄にはしない。 なので俺も「サンキューな」と言って十字架の首飾りを受け取り、ポケットの中に入れた。
「では、さっそく行動を開始しましょう」
俺とテルコのやり取りが終わるのを見計らったかのようにノダさんが言い、全員が重い腰をあげて一箇所に集まった。 俺もその輪の中に行こうと歩き出そうとしたら、なぜかテルコが俺と腕を組んできたのだ。 なんとも気まずい雰囲気だがテルコの気分が少しでも優れるなら、それでいいか……。 いいか……?
なにはともあれ、いよいよ生物兵器が彷徨う部屋の外に行くことになった。 アキバは一回だけ振り返って俺たちの顔を見ると、ドアの横のカードリーダーにカードを通し、地獄へと続く鍵を開けた。
「足早に行くぞ」
研究所を熟知しているアキバを先頭に俺たちは歩き出したが、それはそれは研究所は静まり返っており、あの巨体の足音さえ聞こえてこないのがさらに恐怖心を煽ってくる。
アキバ先頭、次にシェリー先生、ナルミ、ナリナ、そして俺と腕を組んでるテルコ、リョウ、ショウタ、ナオヤ、ノダさんという順で並んで歩いているのだが、後ろからリョウとショウタの明らかに俺の話であろうヒソヒソ話は聞こえてくるわ、目の前を歩いているナリナの後姿が妙に気迫があるわで困ったものだ。
俺が前後の圧力に押しつぶされていた時だった。 地震にも似た揺れとドスンというような鈍い音が襲ってきたのだ。
これはテロリストが研究所へと続く扉を爆発したものだろう。 となればさらに急がなければならない。
しかし、その時だ。
『緊急事態発生。 緊急事態発生。 直ちに防災シャッターを作動させます』
という女性アナウンスが流れ、ナリナの目の前に銀色のシャッターが勢いよく下りてきたのだ。 シャッターを叩いてみると、それが半端じゃない厚さを誇っていることがすぐわかった。
「おい、聞こえるか!」
シャッターの向こう側からアキバの声が聞こえてくる。
「やられたな。 コンピューターが勘違いして非常時に作動するシャッターを下ろしてしまった。 対テロ、生物兵器用とあって非常ドアもないし、破壊することも難しい。 迂回して下水パイプまで向かってくれ」
なんてこった。 初っ端から計画が丸潰れてしまったではないか。
「大丈夫だ。 この施設の地図は大体覚えたから、シャッターが閉まってなければ迂回できるはずだ」
ナオヤは自分のこめかみを指でつつきつつ元来た道を歩き出した。 流石学校トップの成績のナオヤだ。 アキバに地図を見せてもらっていると思ってたら、こういうことだったのか。
「おい、クソガキ」
俺もナオヤ一行に続こうとした時、シャッターの向こうからまたアキバの声が聞こえてきた。 もしかして、クソガキって俺のこと?
クソガキといわれ、返事に困ったので無言でいるとこっちの反応なぞ最初から気にしていないようにアキバは言葉を続けた。
「化け物と遭遇したらナリナと戦わせるなよ。 いくらナリナでもアレには勝てん。 逃げることをおススメする」
「ご忠告どーも」
そんなこと言われなくてもわかってる。 あんな化け物に遭遇したら誰だって逃げる選択をするさ。 もしナリナが戦いを挑もうとすれば羽交い絞めにでもして止めに入るがなんか返り討ちに遭いそうな気がしないでもない。 その時はリョウに特攻させるか。
「おーい! ユウトー行くぞー!!」
特攻野郎のリョウがナリナの横で手を振っているのが見え、俺は「では」とシャッターを2回ノックして言ってから一行と合流した。
ナオヤを先頭に進んで行くが、いかんせんシャッターが俺たちの行く手を遮り、遠回りを止むを得なくする状況が続いていくうえに、廊下の血を見ると俺でも気持ち悪くなってくる。
「む」
T字路に差し掛かった時、ナオヤの後ろを歩いていたノダさんが何かに気づいた様子でナオヤの肩に手を置いて身をかがめた。 それに習い、俺たちも身をかがめると、
「複数の足音が近づいてくる」
とナリナが顔を近づけて言った。 訓練された人間にしかわからないのか、俺とリョウとショウタは首をかしげるしかなかったが、徐々に廊下を走る足音が聞こえてきた。
足音が近づくにつれて俺たちの心拍数は上昇したが、ナリナは冷静な顔つきでサブマシンガンを持ちつつ背中を壁にくっつけてT字路に顔を出した。
「いたぞ!!」
敵の声が響くとナリナは敵に向かってサブマシンガンを乱射し、敵は悲鳴とともに近くの部屋へと転がり込んだ。 どうやらこっちの弾丸は命中したようで、廊下を覗いてみると鮮血が床に溜まっており、死体はないものの負傷させたのは間違いない。
だが、敵も負けじと銃だけを覗かせ乱射してくる。 俺はテルコの頭を押さえつけつつ頭を下げた。
ノダさんは手にピストルは持っているが先の戦いで残弾数が残り一発しなかいので、反撃したくてもできない状態であることがわかり、俺はベルトに挟んであった拳銃を取り出し、ノダさんの下へ滑らせる。
それに気づいたノダさんはその拳銃を拾い、俺に目配りさせた後に援護射撃を開始した。
「ユウト! 奴もきやがった!!」
リョウの声により、顔をあげると通路の向こう側からX-001がノシノシと足音を立てながらこっちにやってくるのが見えた。 くそッ 俺たちが騒いでるのに気づいてやってきやがったのか。 ノダさんもそれに気づき、銃口をX-001に向けて発砲すると銃弾を受けたX-001の胸から赤い血が飛び散った。 しかしX-001は何事もなかったかのように歩みを止めず、さらには傷口は見る見る塞がっていってしまう。 やはりどんな攻撃でも瞬時に回復してしまうのはやっかいだ。
「グオオオォォォォ!!」
ナリナもテロリストに発砲するのを中断し、X-001に向けて発砲したが結果は同じだ。
この状況、どうしたらいいんだ。 正面からX-001が接近し、左にちょっと顔を出せばテロリストどもがいる。 後退しようにもいずれシャッターに突き当たってしまう。
「迷ってる暇はねぇな。 退くぞ!」
仕方なく俺たちはX-001に背を向けて元来た道を走るが、やはりすぐにシャッターが立ちふさがってしまった。 ゴンゴンッとシャッターを叩いてもすでに向こう側にはアキバたちはいない。 徐々に無言の化け物に距離を詰められる俺たちはとてつもない恐怖を感じていく。
「い、いや……!!」
俺の腕を掴んで顔をうずくめるテルコ。 この絶望的な状況は流石のナリナでも困難か。
「居たぞ!!」
追い詰められる寸前、身を隠していたテロリストたちが再び現れたが目の前の化け物を目撃して動揺が走る。 X-001も何事かと思ったのかのそりと振り返り、テロリストのほうを見ると恐怖に負けたテロリストの一人がX-001に向かってサブマシンガンを発砲したのだ。 それに乗じて他の隊員も射撃をしだしたがやはりX-001にさほど効果はない。
「何だコイツ! 弾が効かないぞ!!」
一人の隊員が後退しながら言うとX-001は先ほどとは打って変わり、猛スピードで走り、目の前に居た隊員を巨大な拳で殴り飛ばしたのだ。 殴られた隊員の首はあらぬ方向へと回り、その場へ倒れこむ。
その時だ。 背にしていたシャッターが動き出したのだ。 恐らくアキバがなんらかの方法でシャッターを開けさせたのだろう。 X-001とテロリストが交戦している隙に俺たちは目立たないように走った。
だが、安心するのは早かった。
「ぐっ!!」
サブマシンガンとは違う銃声が響き、一番後ろを走っていたノダさんが倒れてしまった。 慌てて駆け寄るとノダさんの右ふとももから血が流れていたのだ。 見るとX-001との交戦中のテロリストの中、一人だけこちらに向かって拳銃を向けていた男がいた。 そう、あの坊主頭の男だ。
「ノダさん! しっかり!!」
ナオヤがノダさんの肩を揺らすとノダさんは唸りつつ目を開けた。
「私に構わず逃げるんだ! 私は大丈夫だから!」
誰がどう見たって大丈夫ではない。 足を撃たれただけで命に別状はないだろうが、ここに残せば死を意味する。
「リョウ! 手を貸せ!」
俺はリョウとともにノダさんに肩を貸そうとしたがノダさんは断固として動こうとはしない。 もちろん俺だってノダさんの気持ちはわかる。 ここで自分1人のためにぐずぐずしている暇はないのだ、ということを。 小を切り捨てれば大は助かる。 つまりそういうことだった。
「いいから行きなさい! 本当に大丈夫だから!!」
荒くなっていくノダさんの口調に戸惑いながらその場を動けないでいた俺だったが、ふとショウタが俺とリョウの後ろ襟を掴んだ。
「……行くぞ。 こんなとこで止まってる時間はネェ!」
ショウタの言うとおり、こんなところで止まっている時間はないのはわかっている……。 せっかくノダさんとナリナが和解したというのに、これでは……。
そんなことを思っていることがノダさんには読み取れたのか、「ふっ」と吐くように笑った。
「ユウト君、言いたいことはわかっている。 私も同じ気持ちだよ……」
ノダさんは懐に手を入れ、くしゃくしゃになったタバコを一本取り出して、
「君は君の使命を果たしなさい」
そう言ってタバコに火をつけた。
ちくしょう、なんだってんだ! なんだってこんなことに……。
俺は気持ち的には踏ん張っているつもりだったが、実際は脱力状態だったらしくショウタに無理やりひっぱられていた。
徐々に小さくなっていくノダさんの姿に自分の無力さをひしひしと感じるしかない。 ちくしょうちくしょうちくしょう!! やり場のない怒りで目の前が真っ赤になりそうだった。
あの坊主頭の男を倒したら、テロリストたちは引き返すだろうか……。
大体、奴らの目的といえばナリナを奪うことだが、今となっては意味もなくなり、ただの殺戮を繰り返している集団になっている。 まぁ、そんな連中は自分の命の危機が迫れば撤退していく気もするが……。
そんなことを考えつつ血だらけの廊下をナオヤ先頭に走っていくが、後方からの銃声が止むことはなかった。 どうやらX-001との戦闘は続いているようだな。 まさしく狙い通りだが、あのX-001はどうやったら倒せるのだろうか。 どんな傷も瞬時に回復していく化け物のよくある倒し方といえばマグマとかで一瞬で肉体を蒸発させたり、倒すのは不可能と判断して永久に封印したりするくらいか。 もちろんこの知識は漫画や映画、ゲームなどだ。
まぁ、X-001と戦闘になったら迷わず逃げるけどさ……。
「エレベーターがあったけど……怖いな」
わけもわからず走り回ったせいで現在位置はあやふやだったが、ナオヤのおかげでエレベーターまで辿り着くことができた。 普通エレベーター横に階段が設けられていると思ったのだが、科学者ってのは身体が弱いのか、階段はなかった。
「地図を見た限りだとエレベーターで降りられるのは地下一階までだ。 地下二階のライフライン等の設備がある階には階段を使うしかないらしい」
そう言ってナオヤはエレベーターのスイッチを押した。 エレベーターが来るまでしばらくみんな沈黙していたが、リョウは横に居たナリナをチラチラ見ては俺のほうもたまにチラ見してくる。 何をしてるんだ、コイツは。 確かに今のナリナの姿はまじまじと見たくもなるが。
しばらくしてやっとエレベーターがフロアーに到着し、スーンと静かな音とともに扉が開く。 中は血が付着しておらず、ちょっと安心しつつ乗り込んだ。 ボタンは上に三階まで、下は地下一階までしかなく(当たり前と言ったら当たり前だが)、ナオヤはもちろん地下一階のボタンを押した。
エレベーターが降下中、俺の腕を掴んでいたテルコはブルッと身体を震わせた。
「大丈夫か? テルコ」
「あ、うん、大丈夫。 ユウトの腕を掴んでると安心するし」
ああ、そうかい。 それはよかった、ははは……。 そういうことを言うのは目の前にナリナが居ない時に言ってもらいたいものだ。 俺とテルコの前に居るナリナとの距離は30センチもないぞ。 もちろんただでさえ耳の良いナリナにはモロ聞こえだろう。 アキバの研究室の時のように無視してくれるとありがたいのだが、そんな考えは甘いと言わんばかりにナリナは振り返ってこちらを見たのだ。 眉間にしわを寄せ、右手にはサブマシンガンを持っている。 ダメだ、やられる!
――――――――――――――――――ガコンッ
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
ナリナにやられそうになった瞬間、突如巨大な揺れがエレベーターを襲い、停止した。 その衝撃で俺たちは尻餅をついて上を見上げた。 何か重たいものが上から降ってきたかのような衝撃で、ナオヤはメガネをかけなしながら立ち上がった。
「なんだ今の衝撃は……。 上に何かが落ちてきた?」
ナオヤはエレベータ内の手すりに足をかけ、天井を手で押してみるとボコンと天井がへこんだ。 どうやら鉄板自体は薄いらしく、数発殴れば開きそうだな。 だが、
「おい、やめとけって!」
とショウタが今にも天上をぶち破ろうとするナオヤのズボンを掴んだ。 リョウも「うむうむ」と腕を組んでうなずき、ショウタのほうに賛同している。
しかしどうにかしてこのエレベーターを動かさないことにはまったくどうにもできん。 俺は閉ざされた扉の間に指を突っ込んでこじ開けようとしたが、いかんせん筋トレ不足か、百科辞典の厚みくらいの隙間しか作り出すことができなかった。 だが、扉の隙間から地下二階のであろう扉が少しだけ見える。
「このままじゃどうしょうもないじゃないか!」
若干取り乱し気味のナオヤがショウタの静止を振り切り、天上をズカズカと殴り始めた。 テルコはすでにうずくまって怯えきっているが、ナリナは無表情のまま身をかがめて天上を見上げているだけだ。
「ん? 今音が……」
天上を叩いていたナオヤが何かに気がついたようで、耳を天上に近づけていく。
―――――――――――――――ガシャン!!
俺たちの沈黙を打ち破って、天上から巨大な腕が出現してナオヤの頭を鷲掴みにしたのだ。 その腕はまさしくX-001のものだ。
「がっ……ぐあああぁぁ!!」
悲鳴とともに足をばたつかせるナオヤの両足をショウタとリョウは掴んでX-001を引き剥がそうとするのだが、相手が悪すぎる。 向こうは片手で人の首をへし折ることのできる剛力だ。
ナリナは立ち上がって天上に向けてサブマシンガンを乱射すると銃弾で空けた穴から赤い血が垂れてくるが、意味はないだろう。
「早く! 早くしないとナオヤが死んじゃう!!」
俺は手すりに足をかけてナオヤを掴んでいるX-001の手を殴ったがビクともしない。
「ユウト」
その声で下を見るとナリナは持っていたサブマシンガンを投げてよこしてきたので、それを受け取り、X-001の手首に向かって引き金を引いた。
右手にゲームのコントローラーの振動では比べ物にならないほどの振動が走る。
「離せ、このやろぉ!!」
ひたすら撃ち続け、血が飛び散っているが傷を負った瞬間に傷口が塞がっていく。 これではナオヤを助けられない。
くそっ どうすれば奴を怯ませられるんだ。
「うおおぉぉぉ!! こっちも限界だ!!」
その言葉通り、もがき苦しむナオヤの力に負けてショウタとリョウが手を離してしまったのだ。 それにより、ナオヤは左右に激しく揺れ、X-001の力も合わさってか勢いよく俺のほうへぶつかってきたのだ。 それにより俺は手すりから足を滑らせ、再び尻餅をついた。 ここまでならまだよかったが。 前を見るとバタつかせているナオヤの両足が目前に迫っていたのだ。
次の瞬間には俺の目の前は真っ暗になり、何も聞こえなくなった。




