8話 王都でお買い物 -装備篇-
服屋にはたっぷり2時間居座った。
選んでる途中でアルクが戻ってきて、終わりの見えない買い物にうんざりしていた。
服屋の次は装備品を揃えるため、魔術師のローブと杖が買える魔道具店にきた。
エルフの店だ!初エルフだ!
「いらっしゃいませ。アルク様にエマ様。そちらのお二方は、、、もしかして、新しいサモンドの方ですか!?」
「そうよ。リサとサナちゃん。2人にローブと杖をお願いするわ。」
「新しいサモンドは魔術師様でしたか。では、ギルバート様のお弟子さんになられるのですね。エルフ族としましては、魔術仲間にお会いできて大変嬉しく思います。」
イケメン執事という雰囲気の、20代くらいの店員に接客される。
耳が尖っていること以外は普通に人間だ。
服はシャツにネクタイ、そしてモーニングコート。
まさしく執事だ。
ちなみにこのモーニングコートも魔術師のローブらしい。
ローブってさ、、ハリ●ポッターみたいなフードが付いてるたるんとしたやつじゃないのか?
「こちらがローブのカタログになります。」
執事風の店員エルフがデザインカタログを出してきた。
ローブはカタログと店舗にあるローブサンプルの中からベースの選び、身長や体型に合わせて仕立ててもらうらしい。
「1着目のローブでしたら、こちらの汎用的な長袖タイプがオススメです。耐熱、耐火、耐寒効果の生地を選ばれますと、季節問わずにお使いいただけます。
リサ様は女性ですので、こちらの膝上から膝丈のローブはいかがでしょうか。サナ様はこれから成長されることを考えますと、少し大きめのマントタイプでしたら2、3年は使えると思いますよ。」
店員エルフは慣れた感じで勧めてきた。
「可愛い、、」
オススメされた形のローブの中で、さらに6種類のデザインから選べた。
「はーちゃん、ほれー!」
紗奈はリボンたっぷりの可愛らしいフード付きのポンチョだ。
私はトレンチコートのようなデザインを選ぶ。
「では次に生地ですが、現在在庫のある生地はこちらです。生地特有の効果もありますので、こちらのカタログも併せてご覧ください」
「はーちゃんピントゥ!」
そう言って紗奈が指したのは、薄桃色の生地だ。
「効果は『物理軽減』『耐熱』『耐寒』、値段も手頃ね。いいんじゃないかしら?」
エマがアドバイスをくれる。
「、、、、高すぎてお金足りない。。。」
さっき買った服達とは桁が違う。。
紗奈が選んだマントの生地も、どこが手頃?
ハイブランドのコートレベルだ。
「あ、リサごめん、言い忘れてたわ!この店で買うものについては、ギルさんがお金を出してくれるの!英雄で貴族だから値段は気にしないで好きなの選んで。」
「え、、、ありがとう、、ございます。。。」
「で、リサはどれにする?」
「なら私はこれでいいわ。」
一番安価で、黒の生地。
効果は『物理軽減』のみだ。
会ったこともない人に買ってもらうのに、
高価なものは選べない。
「地味。見た目重い。効果貧弱。却下。アルクどれがいいと思う?」
「、、、これ。」
そう言ってアルクがさしたのは白に近いライトグレーの生地だった。
「いいわね!明るいし、効果もしっかりついてるし、これにしましょう!」
どうやら、全ての決定権は、エマにあるようだ。
「では、ローブのオーダー、承りました。あと、杖はいかがなさいますか?初心者向けでしたらこちらがお勧めですが。」
と言って出されたのは本当にシンプルな木のステッキだった。
「そうね。これで十分でしょ。」
エマは服以外には興味ないみたいだ。
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普段着、装備品を揃え、その後、日用品の買い出しまで済ませると、すっかり日が暮れていた。
「ママ〜おなたちゅいたー」
「そうね。今から帰るとサナちゃんの寝る時間になっちゃいそうだから、この辺でご飯を済ませましょう。」
そうしてエマにオススメされたのは牛丼の店だった。
なぜここまで日本人好みの世界なのか。
異世界でなく、ただの外国なんじゃという疑惑さえ生まれてくる。
「おいちいね!」
私達は4人、カウンターに座り、牛丼を食べた。
牛丼はサナの好物だ。
本当に、醤油、酒、みりんをこの世界に持ち込んだサモンドに感謝だ。