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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第1章 『異世界転移』
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5話 異世界ランチタイム

エマとアルクと紗奈と4人でランチに出かけた。


外から見たエマの家は、屋敷とか豪邸とかいうくらい大きかった。


サモンドは魔王を倒すまでは必ず王都に住まなくてはいけないらしく、王都に住むための補助金が国から出るそうだ。

そして、転移者は転生者と違い、元から住む家がないため、早急に家の手配をしなければならないようだ。


「リサとサナちゃんは、しばらくうちに住むといいわ。多分、魔術の修行が始まったら、住み込みの修行になると思うけどね。その間に土地選びと家の建設を進めて、家が建ち次第、新居に入居する感じね。」


「魔術の修行?」

「私のお世話係だったギルさんが指導してくれることになってるわ。リサと同じ魔術師のサモンド。先代魔王を倒した英雄で上級貴族だから、お城のすぐ側に住んでるの。もちろん居候が嫌で、すぐに家が欲しかったら中古の家を買うこともできるわ。そのお金も全て国が出してくれる。」



住む場所は王城から最も近い“貴族区”内であれば、どこでも好きな場所を選べるらしい。

と言っても、それは建前だそうだ。


王都は、王城を中心に年輪状に区分けされている。

王城から外側に、貴族区、商業区、一般区、工業区となっている。


王城は小高い山のてっぺんに(そび)え立ち、

貴族区は、王城を中心に道が渦巻き状になっている。

そしてこれは貴族のローカルルールらしいが、王城に近い位置から、“上級貴族エリア”、“中級貴族エリア”、“下級貴族エリア”と大まかに分かれており、エマの家のある“サモンドエリア”は、貴族区の渦巻きの中でも一番外側。王城から一番離れた場所にある。


サモンドは王都の正門の近くにある冒険者ギルドや、王都の外に行くことが多いので、利便性のためと言われているが、もし敵襲が来た時にサモンドが貴族達を守る盾となれという裏の意味も込められているらしい。


とりあえず、元々貴族でない限り、サモンドはサモンドエリアに住むしか選択肢がないのだ。


貴族めんどくさい。



そして、亡くなったサモンドの家は取り壊されて更地になることが多いらしく、エマの家の周辺は空き地が目立った。


「亡くなったら取り壊しちゃうの?」

「すぐに取り壊されるわけじゃないわ。サモンドエリアで家を買うのは貴族になりたての下級貴族かサモンドのみ。成り上がりの貴族や、サモンドなんてそうは現れないわ。売れないまま経年劣化で仕方なく取り壊されてしまうことが多いの。」


ちなみに、アルクの家は、エマの家から1つ空き地を挟んで隣だった。

エマ曰く、すぐ隣に建てようとしたら、断られたのだとか。



アルクは転生のサモンドで、20年前、こちらの世界で4歳の頃に転生してきたらしい。

今の紗奈の年齢だ。


夜中、一緒に寝ていた母親が、額に青く浮かび上がった紋章を見て、サモンドになったと気づいたそうだ。

アルクの実家は元々王都に住む貴族で、実家は同じ貴族エリアにあり、家を出る必要もなかったが、15歳で成人した時、家を出たらしい。


アルクの家はエマの家より小さく、メイドも最低限しか雇っていないそうだ。


そんな話をしていると、エマおすすめの料理店に着いた。


ハンバーガー屋だった。


ーーーー


「和食もいいけど、やっぱりこういうのも好きなのよね。」


元アメリカ人のエマが嬉しそうに言った。

M社のようなチェーンではなく、日本でいうセットで1200円くらいするカフェのハンバーガーだ。


「はーちゃんチキンナゲットのハッピー●ット!」

「このお店にハッ●ーセットは無いのよ。ポテトとナゲットね。あと、サラダも食べなさいね。」

紗奈はハンバーガー屋と聞いて目がキラキラしていた。

そしてM社と勘違いしてる。


「あ、ちなみにハンバーガーのお店は私の転生時に無かったから、商業ギルドに言って作ってもらったのよ。売れ行き上々で、毎年この店の無料券がうちに送られてくるわ。ってことだから遠慮せずにどんどん食べて。あと、もしコーラの作り方を知ってたら教えて!ハンバーガーにはコーラなのに、この世界には無いのよ!」


サモンドの元の世界の知識はお金になるらしい。

そしてコーラの作り方はさすがに知らない。

コカ●ーラの社員とか転生してこないだろうか。


「アルクは何にする?」

「いつもの。」

「はいはい。チーズバーガーね。アボカドとかも美味しいんだから、たまには違うのにすればいいのに。」

「言われてこの間食べたけど、好きじゃなかった。」

「あ、じゃあ私がアボカドにするわ!」

「さすがリサ!わかってるー♪」


アボカド、この世界にもあるんだ。


ーーーー


「ここが王都ってことはわかったけど、王都って事は王国よね?他にも国はあるの?地図上の魔道具があるって事は、地図もあるのよね?」


「この世界は結構狭いわよ。現状、魔物のせいで海を渡ることができないから、今立っているこの大陸の存在しか確認されてないの。そしてこの大陸の広さもアメリカ大陸の北アメリカ分くらいしかないんじゃないかしら?

国もこの王国と、ドワーフの国しかない。エルフの里と獣人の森って言うのも大陸のどこかにあるらしいけど、王国に属してるらしいし、具体的な場所は公にされてないわ。」


「へー。北アメリカ分。大きい国なのね。」

「一応領土も分かれてて、領主もいるらしいけど、サモンドの私たちが領土をもらう事はないから特に気にしなくていいわ。領土が欲しかったら、魔王討伐後に国王様にお願いすればくれると思うけど。」

「へー。いらないわ。」

リアル ●ムシティをするつもりはない。



紗奈はアルクがお気に入りなようで、

ずっとちょっかいをかけている。

無愛想な勇者だが、紗奈と触れ合ってる時は楽しそうだ。

子供が好きなのかもしれない。


「アルクはほんと子供好きね。昔私にもこういう遊び方しようとして、怒ったことがあったわね。」

「『私の中身は16歳よ!』って怒鳴られたな。」

アルクが苦笑いをしている。


私は疑問に思っていたことを聞いてみた。


「エマとアルクは仲よさそうだけど、どれくらいの付き合いなの?」

「別に仲良くない」

「仲良しよ。アルクとはかれこれ10年くらいになるかしら?私が転生した時に、村に迎えに来てくれたし、私はギルさんの家に住んでたから、アルクの実家にもよく行ってたわ。私は6歳、アルクは当時14歳だったけど、同じサモンドでゆくゆくはパーティを組むわけでしょ?誰とも話そうとしないアルクが気になってね。私のハッピーオーラを分けてあげようと付きまとってたのよ。」

「6歳から10年ってなると、2人は幼馴染なのね。」

「10年、ずっと鬱陶しいんだ。」

アルクが面倒臭そうに言った。


「これでいて、邪険に扱わないから可愛いのよ。」


アメリカンポジティブのエミリー様の押しに負けて、仕方なく一緒にいるという感じだが、アルク本人からは嫌そうな感じが全くなく、むしろエマと話しているときは、手のかかる妹を見ているような眼差しを感じるし、トゲのある受け答えも、側から見れば反抗期の息子と母親だ。



「それで、アルクは、前世で何才まで生きたの?」

私は何の気なしに聞いた。

瞬間、アルクの表情が一変した。


「前世のことは聞くな!」


氷のように冷たい表情のアルクに、大声で怒鳴られた。


「ふぇ、、、わーーーん!」


大声にびっくりした紗奈が泣き出し、

テーブルに微妙な空気が流れた。


利便性が悪いなと思い、一般区と商業区を入れ替えました

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