表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第6章 『マタ旅』
47/298

44話 紗奈の親

「紗奈、歯ブラシあったわよ。」

ギルバートの部屋に紗奈の歯ブラシを届けた。


「お部屋のお風呂楽しかった?ギルバートに迷惑かけてない?」

「ばいぼーぶ!はーちゃんね、ギルちゃんにチュエをどうじょちたんだよー!」

「杖をどうぞ?」

「お風呂に入るのに義足を外した後、杖を忘れたのに気づいたんだけど、サナが取ってきてくれたんだ。サナがいてくれて助かったよ。」


そうか。義足を外さないとお風呂に入れないのに、紗奈を任せてしまった。

本当に申し訳ない。


「ギルバート、片足で大変なのに、お風呂まで入れてもらってごめんなさい。」

「どってことないよ!重力魔術である程度カバーできるしね。」

「紗奈、明日はママと一緒に大きいお風呂入りましょうね。」

「僕はまたサナと一緒で良いよ。」

「でも、、」

「はーちゃん、おおちいお風呂はいりゅーー!」

「ははっ。大きさで負けちゃったか。」


ギルバート少し寂しそうな顔をした。



「紗奈、歯磨き、仕上げはお母さんするから、終わったらこっち来て。」

「やだ!ギルちゃんにやってもらう!」

「ダメよ。ママがやるの。」


「リサ、僕だってそれくらいできるから。やらせてよ。」

「ギルバート、本当にありがとう。」

「ギルちゃん、あーー!」


紗奈は横になって大きく口を開け、

ギルバートは、手際よく紗奈に歯磨きをしていく。



「リサはさ、子育てを全部一人でやろうとしてるよね。僕みたいなベテランもいるし、エマやアルクみたいな遊んでくれる人もいるのに。」


「でも手がかかるし、走り回るし、わがまま言ったり、大変でしょ?」

「全然大変じゃないよ。楽しいさ。でももしリサが育児を大変って思ってるなら、その負担を僕に分けてくれたら、少しは楽になるんじゃない?もっと頼っていいんだよ。母親だけが親じゃなく、側にいる人みんなが親で良いじゃない。僕にも紗奈の親をやらせてよ。」


ギルバートが優しい顔で言った。


「はい、サナ、終わったよ。」

「ありがとー!ふちゅふちゅぺしてくりゅ!」


紗奈は部屋の露天風呂の洗い場まで口をすすぎに行った。


「サナは『ありがとう』が言える良い子だね。きっと、親の育て方がいいんだね。」


助けてくれる。褒めてくれる。


ギルバートの言葉一つ一つが心に染みる。

7児の母はやはり伊達じゃない。


「ギルバート、ありがとう。」


紗奈の親が増えた。



「あとさ、リサの浴衣姿、エロすぎだよ。そりゃアルクも欲情しちゃうよ。」

「え、、、、、」

「お酒を飲んでる時のアルクは要注意だよ。」

「お酒?」


あ、水だと思ってたものはお酒だったのか。

確かにお風呂でもみんな飲んでる風だった。

全然気づかなかった。



「でもいいなー。浴衣。僕は必ず男物を用意されるから、女物の浴衣は一度も着たことが無いんだ。」


ギルバートが物欲しそうに私の浴衣を見てきた。


「えっと、、私の今着てるので良かったら着てみる?」

「いいの???」


ギルバートが一瞬乙女の顔をした。



私は着ていた浴衣を脱ぎ、ギルバートに浴衣を着つける。

髪も整え、男っぽさを無くすと結構な浴衣美人になった。


「ギルちゃんちれー!」

「似合う、、、」


とても普段男装をしているとは思えない程だ。


「僕もこういうの欲しいな。女って世界的にバラしたら。」

「世界的に?!」

「僕は世界中で有名だからね。大騒ぎになるだろうね。」

「さすが英雄、、、」


「でさ、ついでにリサの胸、触ってみていい?女性同士♪」

「え、、、、、何のついで?!」

「脱いだついで?」


この人は相変わらずこの手のスキンシップが多く、

本当に女かまだ疑わしい。

胸があるとはいえ、推定Aカップだし。

いや、下が無いのも確認済みか。


「エルフの女性はみんな胸が小さいからねー。前世はバインバインだったんだけどね。」

「え!?爆乳!?」

「上から下まで。」


それは、ただのfatだ。


ーーーー


翌日、朝からアルク達はトロール退治に出発した。


「馬車があるから、夕方くらいには戻れると思うよ!フージの街は見るもの食べるもの面白いと思うから、ゆっくり楽しんできて!」


とギルバートに言われ、ティアナ、私、紗奈の3人でフージの街を観光した。


「あれは何??いい匂い!」

「たい焼きね。」

「あれは?綺麗ー!」

「べっこう細工ね。」

「あれは?素敵な音がする。あとその隣の可愛い!」

「風鈴ね。隣はガラス細工。」

「あれは??細かーい!」

「飴細工ね。」

「はーちゃんあめはべたい!」

「私も食べたい!」


ティアナは初めて見るフージの文化に興味津々だ。

加えて紗奈もテンションが高い。

それはいつものことか。


露店を巡り、お昼にはお蕎麦を食べ、呉服屋を周り、甘味処で休憩をし、寺や神社を観光。


「楽しかったー!1日じゃ周りきれない!」

「ほんとね。」

「はーちゃんまたみちゅまめ食べたーい!」


まるで京都の街でも観光しているような気分で過ごした。


ーーーー


夕方、宿に戻り、女部屋で過ごしているとエマが戻ってきた。


「おつかれー。トロールどうだった?」

「気持ち悪かった、、」

「そうなの?!」


トロールと言えば、私はD社のア●雪に出てくる石の小人や、超有名スタジオのとなりのト●ロみたいなものを想像してしまうのだが、

そんなのもがA級の魔物の訳もなく、

体長10メートル強の、獰猛でしかもちょっと臭い魔物なんだそうだ。

その上、再生能力があるため普通の剣では傷もつけられないそうだ。

そんなものが8匹も森の浅い所にいたそうだ。


「私とエドガーの剣じゃ全く歯が立たなかったわ。アルクが一体だけ聖剣で弱点の頭を叩き斬ってたけど、体長が10メートルもあるのよ!あんなの、魔術の方が断然有利よ。ほぼスーリオンの独壇場だったわ。」


私としては、どうやってアルクが体長10メートルを登ったのかも気になるが。


「スー君、有言実行ね!エマちゃんにかっこいい所見せれたのね。」

「確かに、魔術を使うところだけは凄かったわね。」

「だけ?」

「寝不足だったらしくて、足を踏み外して崖に落ちかけたり、猟師の罠にかかって怪我してりして、イシリオンの治癒を受けてたわ。」


夜通しデートプランでも考えていたのだろうか。うっかりしすぎだ。


「はー、もう、身体中トロール臭いわ!夕食まで時間あるでしょ?お風呂行かない?」

「ええ、そうしましょう。」

「やったー!おおちいおふろー!」


ーーーー


「お、皆さんもお風呂っすか?奇遇っすね!」

お風呂の前でイシリオンとスーリオンに会った。


「あら?エド達は?」

「聞いてないっすか?エドガーさんとアルクさんとギルさんで、町長の所にトロールの討伐の報告に行ってるっす。」


フージの街に冒険者ギルドはない。

討伐報告は明日、ノースルのギルドにしに行くのだが、街の脅威であったトロールを討伐したことだけは町長に伝えておこうと、3人で報告に行ったらしい。

つまり、エマとイシリオンとスーリオンは3人で帰ってきたことになる。

エドガー達のエルフ2人への計らいだろう。



「エマさん!良かったら、お風呂の後、俺らと庭園散歩しないっすか?」

「俺ら?3人で?」

「そうっす!」

「ふふっ仲良しね。いいわよ!」

「「よっしゃーー!!!」」



お風呂から上がり、エマに浴衣を着つけると、

エマはルンルンで双子エルフの所にいった。

なんだかんだ、今日の討伐で3人の距離は近くなったようだ。

ここから1組と1人になる未来は想像つかないが。


「リサちゃん、これ、できてる?」

「完璧!素敵よ。」


ティアナは昨日だけで自分で浴衣を着られるようになっていた。

帯の結び方も今日呉服屋で複数教えてもらい、しっかりマスターしていた。


「はーちゃんじんべーなの!」


紗奈には今日、子供用の甚平を買ってあげた。

可愛い。

ちなみに私も自分の浴衣を買った。

時々日本を思い出して着たいと思ってだ。


決してアルクを欲情させたいわけではない。


「リサちゃんの今日買った紺色ベースの浴衣もやっぱり素敵ね!昨日の白地の浴衣も似合ってたけど、紺はさらに妖艶さが増すわね!そのうなじだけで男はみんなイチコロよ♪」


決して欲情させたいわけではない!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ