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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第5章 『冒険者活動』
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39話 昇格祝い

アルクはエドガーのパーティに入った。


エドガーのパーティは3人で、全員A級冒険者のA級パーティだ。

かなりハードな指名依頼が頻繁にある。

強くなりたいアルクにとって最高の環境だろう。


アルクの加入にエドガーは大喜びした。

エドガーは、エドガーの弟のロルフがパーティーを抜けてから、戦力不足に悩んでいたそうだ。


エドガーのパーティメンバーのあと2人はエルフだった。

2人ともギルバートの弟子で、1人は攻撃魔術師、1人はヒーラーだ。

接近戦はエドガーがほぼ一人で対応する状態だったため、ずっとロルフの代わりとなる剣士を探していた。

今まで何度もアルクを勧誘していたが、アルクはずっと断っていたそうだ。


「アルクは戦うのが好きじゃなさそうだから、無理だと思ってたけど、まさかアルクから入れてくれって言ってくるなんてな。」

エドガーは嬉しそうに言った。



アルクはエドガーとパーティを組むと、頻繁に遠征に行くようになった。

そして、戻ってくる度、目に見えて魔力の質が変わっていた。

輝きを増しているのだ。

昔、表参道で見かけた小●旬が放っていたオーラに似た輝きだ。



4度目の遠征でアルクはA級冒険者に昇格した。

アルクの昇格祝いを、ギルバートの家で行った。

アルクを含む、エドガーのパーティ4人に、エドガーの弟で元パーティメンバーのロルフ。

エマと私と紗奈も参加だ。


「すごいね。アルク。勇者の貫禄が出てきてる。先代勇者の魔力みたいだ。」

「ゆうちゃちゃん、ちらちらちてるー!」

ギルバートがアルクを見ながら言う。

紗奈のちらちらは、キラキラだ。


「ギルちゃん、はーちゃんはちらちら?」

「サナもキラキラしてるよ。サナの魔力は可愛いよ。」

「ちらちらのおひめたまー♪」


ちなみに、ギルバートが女だということをバレないようにするために、紗奈のギルバートの呼び方はギルおばちゃんからギルちゃんに変わった。



「アルクの素質はすごいぞ。戦うたびにスポンジのように戦い方を吸収するんだ。俺たちが血反吐を吐きながら鍛錬してきたのがアホらしくなるよ。」

エドガーが言った。


「エドガーの戦い方が上手いからだ。」

「アルクゥウウウ!お前は良い子だな!」

エドガーがアルクに抱きつく。


「う、、酒臭い、、、」

「お前ももっと飲め!」

「押し込むなっ、、」

「俺の酒が飲めないって言うのかー!」

エドガーは酒癖が少々悪いようだった。

アルクの口に無理やりお酒のビンを突っ込む。

「ぐふっ!」


「兄さん、それくらいにしとかないと、また義姉さんに怒られますよ。」

「嫁が怖くて酒が飲めるかー!」

「にょめるかー!」

「サナちゃんも真似しないの!」


ロルフは世話焼きのようだ。

紗奈はロルフに懐いて、さっきから付いてまわっている。

子供は相手をしてくれる大人を見分けるのが早い。



「リサ、エドガーさんって結婚してるの?」

エマが悲しそうな顔で聞いてきた。

「あら?エマ、知らなかった?よく私に惚気のような夫婦喧嘩の話をしてくるわよ。」


エドガーは奥さんと些細なことで夫婦喧嘩をしている。

私はよく相談に乗っていたが、内容がくだらなすぎた。

飲みに行くのを連絡しなかったとか、

買い物を頼んだら余計なものを買ってきたとかだ。


「知らなかったー!フリーだと思ってたー!」

エマはどうやらエドガーの事が好きだったらしい。


「エマ、年上好きなの?」

エドガーは35歳。

現在16歳のエマとエドガーの年の差は20近くある。


「私の精神年齢は30近いのよ!30歳以上じゃないとみんな子供に見えるのよ。まあ、でも、酒癖は良い方が良いわね。」


エマは年上がお好きらしい。

じゃあ、アルクはどうかと尋ねたところ、恋愛対象外だそうだ。


「じゃあ、あそこの2人はどう?」

と言って、エドガーのパーティのエルフ2人を指す。


「リサ、あの2人の年齢聞いた?」

「聞いてないわ。」

「2人とも100歳超えよ。」

「まぁ、エルフだから、、」


「俺らはエマさんなら大歓迎っす!」

エルフの2人が話しかけてきた。

どうやら話を聞いていたようだ。


エルフの1人は攻撃魔術師のスーリオン。

もう1人はヒーラーのイシリオンと言うらしい。

名前の覚え方はヒーラー=医師(いし)の方が“イシ” リオンだ。

スーリオンの覚え方は特に思い浮かばなかった。


「俺ら、冒険にかまけてたらすっかり独身貴族になっちゃったっす。」

ニコニコ笑いながらスーリオンが言った。


長寿のエルフでも、60歳を越えると婚期を逃したとされるらしい。

100歳独身、かなり拗らせてる。


「俺ら、エマさんより必ず長生きするっすよ!見た目もあと100年は若いままっす!」

「俺ら、お金なら一生困らない程あるっす!なんてったって、ずっと彼女がいないから使い道がなかったっす!!」

2人から必死さが伝わってくる、、

そして、自虐ネタがちょっと残念な感じだ。


「エマ、僕の可愛い弟子達のどこがいけないんだって言うんだ。」

ギルバートが入ってきた。

エマの肩をゆさゆさしながら絡んでる。酔っているようだ。


「どこが、、、年齢?」

「見た目が若いんだから良いじゃないか!エルフの年齢なんて、あってないようなもんだよ!そうだ!1人ずつデートすること!決めた!これはお世話役命令だ!」


とんでもない職権濫用してきた。


「ギルさんがそこまで言うなら、、わかったわ。」

「「よっしゃーーー!」」


ちなみにこのエルフたち、割と綺麗な顔立ちをしている。

エマも多分まんざらではないはずだ。


ただ、顔が良くての独身貴族。

他の面で“何か”ある可能性は否めないが、それを私が知る必要はない。


「リサ、サナちゃんがおねむだよー。」

ロルフがサナを連れてきた


「ロルフ、ありがとう!じゃあ紗奈、歯磨きして寝ましょう。」

「はーちゃんロルフちゃんとまだあしょぶー!」

目をしょぼしょぼさせながら駄々をこねる。


「だーめ、もう寝ましょう。みんなにバイバイして」

「うー、バイバイ!」

「はい、サナちゃん、おやすみー」

ロルフは優しく言った。



ちなみにロルフも既婚者だ。

奥さんとの結婚を機に冒険者も辞めた。

今、奥さんは妊娠8ヶ月だそうだ。



紗奈はベッドに連れて行くとすぐに眠った。

私は紗奈のほっぺをひとしきりツンツンスリスリするとリビングに戻った。


エマはエルフの2人から猛アプローチを受けているようだった。


エドガーとアルクはソファーで撃沈。


ロルフはギルバートに絡まれていた。

とりあえずギルバートの付近に行く。


「奥さんはお腹が大きくなってデリケートな時期なんだから、あんまり飲みとか言っちゃだめだよ。」

「ギルさんから誘っておいてそれは無いですよ。。というか、、いまいち子供が産まれるって実感が湧かなくて、、何をしてあげるのが良いんですかね?」

「これだから男ってやつは。」

「ギルさんも男じゃないですか。」

「僕は女心がわかる男なんだよ!そうだよね?リサ。」

「そうね、、」

というか、女だ。7児の母だ。


「そうだ、リサ!うちの奥さんを今度紹介していいかい?同じ妊婦同士、話も合うんじゃないか?」

ロルフが言った。


「それがいい!気の利くロルフ君、良いこと思いつくじゃないか。リサは経産婦だし、初産の奥さんの相談にものれるだろうしね。」

「そうね。今度紹介してくれる?」


ロルフの奥さんとママ友になれるようだ。


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