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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第1章 『異世界転移』
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2話 転生者エマ

ベッドの上で目覚めた。


「ママ、おちたー?」

「紗奈?」


紗奈が私の顔を覗き込んでいた。


周りを見渡す。15畳程の広く明るい部屋。

彫刻の施された高そうな家具、鏡、時計、それと私の寝ている大きなベッドが一台。

ここが我が家でないという事だけはわかる。


「ここは、、どこ?」

「おちろみたいでちょ!」


紗奈が答える。

おちろ???


紗奈は舌ったらずでサ行が弱い。

「さ」は「は」や「ちゃ」になり、「し」は「ち」になる。

紗奈は自分のこと「はーちゃん」と呼ぶが、本人は「さーちゃん」と言っているつもりだ。


「おちろ、、お城、、、?」


困惑する私をよそに、紗奈はドアの奥に向かって叫んだ。


「えまおねーちゃーーん!ママがおちたよー!」


ちなみにカ行も苦手だ。

落ちたではなく、起きただ。



部屋の中に10代後半くらいの腰に剣を差した外国人の女性が入ってきた。

ややウエーブがかった金髪のロングヘア。

青い瞳。スレンダーな体型。

キリッとした表情の美人さんだ。


「おはよう。具合はどう?」

女性に話しかけられる。


「ええ。えっと、、、」


困惑していると、紗奈が拙い言葉で説明してくれた


「ゆうちゃちゃんと えまちゃんたちが ママとはーちゃんをたちゅてたんだよ!」


(ユウチャちゃんとエマちゃん達が私達を助けた?)


「私はエマよ。ふたりが森の中で倒れていたところを、私達が保護したの。ここは私の家。」

エマと名乗る人物が説明してくれた。


「はぁ。。」

「すぐに信じるのは難しいかもしれないけど、こちらに悪意はないから安心して。」


あの場で倒れてしまったのだ。

モンスターに殺されなかっただけでも幸運か。


「衣服が汚れていたから着替えもさせてもらったわ。もちろん任せたのは女性のメイドよ。」


見ると服は生成りのネグリジェになっていた。

紗奈は町娘のような、まるで不思議の国のア●スのような可愛らしい水色のワンピースだ。



「はぁ、、、助けていただいて、ありがとうございます。。あ、私はリサ。西條 理紗(さいじょう りさ)です。この子は紗奈。」

「はーちゃんは、ちゃいぢょうちゃなでちゅ!よんちゃいでちゅ!」


紗奈は指で4を作りながら元気に言った。

紗奈の名前はサ行がたくさんあって、自己紹介が大変なことになる。


エマは紗奈の挨拶を微笑ましく見た後、私に向かって言った。


「“サナ”ちゃんだったのね。あなたが目覚めるまでにたくさんお話しさせてもらったわ。」

「エマちゃんと、メイドちゃんと、ゆうちゃちゃんとあちょんだんだよ!」

紗奈は私が寝ている間にこの家に馴染んでいたらしい。

いつも順応力が高すぎて、逆に不安になる。



エマが私を見て言う。

「リサ、単刀直入に聞くけど。リサは、転移者ね?顔立ちと名前から察するにアジアの、、日本人かしら?」

「へ?!」


いきなり言い当てられた。


「ちなみに、私は転生者。前世の名前はエミリー。アメリカ人だったわ。」

「え、、、ええ??!」

驚く私を他所にエマは続けた。


「転生者、転移者を発見した場合、その者を王都に迎え、同じ転生者か転移者がお世話係として情報を伝える義務があるの。私はリサのお世話係に任命されたわ。今はまだ混乱してると思うから、気になることから1つずつね。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


私たちは本当に転移したらしい。

そして、この世界には転生、転移してくる人が少なからずいるようだ。

有難い事に色々説明してくれるらしい。



そしてエマはにこやかに言った。

「お腹すいてない?ひとまずご飯でも食べましょ?」

「おなたちゅいたー!」


部屋の時計を見た。午前8時過ぎだった。


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