【EP-A23】薬草の使い方講座
翌日も雨。
ギルバートとの買い物予定は延期になったので、我が家の医務室の医官に薬草の使い方を教えてもらう。
薬草の使い方は本にも載っているが、
専門の人のやり方を直接見る方が良いからとのギルバートのアドバイスだ。
ちなみにエルフのギルバートは、人生で一度も薬草を使ったことがないそうだ。
それでも薬草の見分けができるのは、先代勇者に散々摘むのを手伝わされたかららしい。
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平原で採ってきた薬草を使って、医官による薬草講座だ。
「採れたての薬草。これはまず、必ず水でよく洗います。泥が付いていたら、傷口が化膿したり、飲んだら腹を壊します。治るものも治りません。
水がない場合は、きれいな葉先だけを使ってください。」
まぁそれは基本だな。
「使わない分は水洗い後、しっかり乾かして、天日干しします。干しても効果は変わりません。
干していない薬草を使う場合は、採って3日以内のものをご使用ください。状態を見て、明らかにドロドロと傷んでいるものは使用しないように。」
「わかった。」
採って3日以内。
どっかのマヨネーズの卵の鮮度みたいだな。
「傷に対する使い方ですが、水で洗った薬草をすり鉢ですり潰して幹部に塗り、ガーゼで押さえ、包帯を巻く。
これが基本の使い方ですね。乾燥させた葉を使う場合は、水でふやかしてください。」
塗り薬はよくやるやつだ。
軽い擦り傷は5分で治る。
「すり潰し具合は、このくらい。
これ以上やると分離してしまうので、今のこの状態を覚えてください。」
「はい。」
「すり鉢が無い場合は、葉を全体の色が変わるくらいまで揉んで柔らかくし、貼り付けます。
すりつぶすより効果が弱く、回復に時間がかかります。
すり鉢は無いが、包帯はあるという場合は、これを細かくちぎって患部に乗せて包帯で固定する。揉んで柔らかくしただけより効果的です。」
「なるほど。」
形状によって得られる効果に差が出るのか。
「量は?たくさん使えばその分効果が上がるの?」
「足りないと効きませんが、深い傷にたくさん塗っても、一度には良くなりません。
傷を覆う程度。いつもアルク様にお塗りしているくらいの量を塗り、効かなくなったと思ったら塗り直すを繰り返せば、次第に治ります。
揉んで貼る場合は、何度替えても完全には治りません。血を止める程度の応急処置と思ってください。」
「わかった。」
「では続いて、薬草服薬です。」
「ああ、、、」
飲みたくないやつだ、、、
「薬草はとても飲みにくいですからね。
今も飲みやすくする研究が進められております。」
「あ、そうなんだ。」
「薬草を茶葉にし、お茶にして飲むのがここ最近できた飲み方ですね。
薄まる分、たくさん飲む必要がありますが、砂糖を加えたりミルクを加えたりなどアレンジが効きますので、若い使用人達はほぼこちらを希望されます。
アルク様も一度飲まれてみますか?」
「ああ。一応、、、」
医官が薬草のお茶を淹れてくれる。
ちなみに、俺はもうずっと薬草を服薬していない。
勇者の体質のおかげであまり病気にならなくなったというのもあるが、何かあったらカミラに頼んでいたからだ。
カミラはいらないと言うが、エルフの病院と同等のお金は払っている。
「左が茶葉をそのまま煮出したもの。
右が茶葉をさらに粉末にしてお湯に溶かしたもの。
茶葉は同量ですが、葉自体も飲む分、粉末の方が効果は高いです。そしてより苦いです。」
両方飲む。
、、、、うっわー。。。久しぶりのこの味!!!
「左はまだ飲める、右は、、ペーストをそのままお湯に溶かしただけ。。」
「そうです。ペーストよりお湯に溶かしやすくなっただけで成分は同じですので。
なので、これに砂糖とミルクを足します。」
医官が砂糖とミルクを混ぜて渡してくれる。
「ああ、、、確かに、さっきよりかは飲める。。。」
「はい。軽い頭痛などでしたら、左の茶葉を煮出したもので十分です。症状が重そうな場合は右の粉末を溶かしたものを出します。砂糖アレンジは飲む側の判断で。」
「へー。」
「ただ、アルク様が外出先でご使用する場合は、毒や麻痺など緊急性が高い時かと思いますので、そのまま服薬になるかと。。」
げ、、、
「その場合も、やはりペースト状にするのが一番即効性がありますし、よく噛んで飲むのも良しとされております。
先ほどのお茶に使用した粉末を、そのまま飲むのも、同等の効果があると証明されております。」
よく噛んで飲むは無理!!
あと、ペーストも粉末もどっちも苦いくてまずいわ。。。
「しかし、飲んで吐いては意味がないですからね。
葉っぱを揉んで、丸めて、味わう前に飲みこむ。こちらがよろしいでしょう。」
簡易的な錠剤か。。
「なるほど、、、せめてオブラートに包みたいな。。」
「おぶらーと?」
久しぶりに出た!オウム返し!
「薬を包んで飲める、ペラペラの、食べられる紙。舌に薬が当たらないから、苦味を感じずに飲めるし、飲んだ後にお腹の中で溶けるから、薬の効果もそのままになる。」
「ほほう!」
「確か、でんぷんで出来ていたはずだ。片栗粉とか、じゃがいもの汁とかから。何とか作れないかなー。」
あとあれだ。
「カプセルでもいいかも。中に薬を入れられる筒状の小粒の容器。
あれは確かゼリーを作るゼラチンで作られてた気がする。
分厚いから溶けるのは遅いが、それがあれば粉末の薬草を入れてそのまま飲める。。」
「なるほど、でんぷんにゼラチン。では、オブラートもカプセルも、口の中にある間に溶けてはいけませんし、溶けるのが飲み込んだ後となると、溶ける速度も重要になりますね。コックがサッと作れてしまうものでもなさそうですな。」
「そうだな。あと粉末でも効果あるなら、錠剤にしてもいけるんじゃないか?」
「じょうざい?」
「粉の薬草を、粒状に固めるんだよ。水と一緒に飲めばすぐに喉の奥に流し込める。」
「なるほど、粉末を固める!それは良い発想ですね!」
「、、だが、どれも作れそうで意外と作るのが難しそうだな。」
錠剤は頑張れば作れそうだが、
治験はしたくない。。。
「では、それを商業ギルドに提案してみるのはいかがでしょうか?」
「商業ギルド。確かにな。」
商業ギルドは、提案したら代わりに研究開発をしてくれる。
完成して、ヒットすれば提案者にも定期的に提案料が入る。
カミラからも、工房と商業ギルドがサモンドの提案を待っていると言われて、いくつか魔導具の提案をした。
俺はその時に商業ギルドに登録しているから、すぐに提案できるな。
俺が提案した魔導具もすでに色々商品化されてて、
その提案料は俺のマネーカードに入ってて、、、
それは父さんに、俺の学費に当ててくれと言って渡してあって、卒業時、聖剣と一緒に父さんが返してくれたっけ。
、、、あれ?
そのマネーカードって今いくら入ってるんだ?
この世界のマネーカードは、預金通帳とクレジットカードを合わせたようなものだ。
商業ギルドには既に俺のマネーカードの番号が登録されていて、収入は自動でカードに入金されていく。
マネーカードの中身を確認するための魔導具は家にもある。
俺が毎日充填して回ってる魔導具の一つだ。
後で確認してみるか。
「とりあえず、飲みにくいのは、我慢して慣れてください。エルフの病院に行けない人たちは、それを頑張って飲んでるんですから!」
「はい。。。」
貴族の子供、甘やかされすぎてた。
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医官と別れ、自室の引き出しに仕舞い込んでいたマネーカードを引っ張り出し、
魔導具で中身を確認する。
、、、明日の買い物。
ギルバートに金を借りなくても、全部自分で払えそうだわ。
200万くらい入っていた。




