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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
Episode of『アルク』
263/298

【EP-A22】冒険初日

冒険者になった。


エドガーのパーティの誘いは断ってしまったが、

冒険者のノウハウは確かに知りたいので、

俺はギルバートの家を訪ねた。


家の場所は知っているが、俺から行くのは初めてだ。

上級貴族の我が家と英雄ギルバートの家は近い。

普通に歩ける距離だ。


もう幼い頃のように護衛を付けなくても、自由に門外に出れるようになったので、今日も1人だ。


ーーーー


「冒険者試験、満点合格おめでとう!聞いたよ。攻撃力測定はS判定で、ギルマスも倒したんだって?

いきなり伝説作っちゃったね!」


ギルバートが笑顔で迎えてくれた。


「ギルマスを倒せたのは偶然だ。」


俺を舐めてたギルマスに、体術を使ってやっとだ。

それができなかったら、全力の剣を流された時点で負けていた。


「で、エドガーのパーティの誘いを断ったんだって?」

「ああ。だから、冒険者のやり方を教えて欲しいんだ。」

「珍しいね。君なら僕よりエドガーを選ぶと思ったけど。」


他3人の魔力が怖かったから、、、

とは言わない。



「まぁ、何にせよ、初めて僕を頼ってくれて嬉しいな。

冒険者学校の教科書の内容も把握済みなんだろ?

なら、実践あるのみ。出かけようか!」


ギルバートが立ち上がった。


「あ、ハッセル家の馬って貸してもらえる?ダメならギルドで貸してもらうけど。」

「普通に使ってもらって良いが、馬、乗れるのか?」


うちと変わらないくらい広い屋敷なのに、

厩舎は無いから馬で来るなと言われたのだ。

乗れないものだと思っていた。


「乗れるよー。先代パーティで教えてもらったから。」

「でも飼ってないんだ?冒険者ならよく使うだろ。」

「確かに、昔は飼ってたんだけどねー。」


ギルバートが少し悲しい顔をする。


「だって、死んだら悲しいじゃん。」


ペットを飼ったことがある人が、2度と飼わないと言う理由と同じだった。



ーーーー


馬に乗って王都を出た。


「学校の実習で魔物を倒したことは?」

「7年生のイーファの森合宿で、F級の爬虫類とか虫の魔物を色々倒した。」


林間学校みたいなやつ。

夏だったので、虫とかばっかりだった。

俺は虫は結構好きじゃない。

、、、つまり、嫌いだ。


「貴族の学校だとそんなもんだよね。」


冒険者の学校だと魔物を倒す実習がもっと頻繁にあるらしい。


「とりあえず、天気も良いし、F級冒険者の基本!薬草でも探そっか。」

「なんでだよ。」


今の流れだと確実に『何か魔物を倒しに行こう』だろ!


「エドガーのパーティに入らなかったってことは、放っておいたらソロで行くつもりでしょ?

アルクはサモンドでも回復魔術が使えない。

僕が居なくても回復できる手段を持っておかないと。

冒険者の手荷物ってのは紛失するもんと考えて、

薬草とその他の草を見分ける力は、君には絶対必要だ。」


この人は、何だかんだ俺のことよくわかってるよな。


「ソロの冒険者は本当に危ない。

せっかくやる気になった君を止めることはしないが、絶対に、死ぬなよ。」


勇者は魔王討伐前に死んじゃいけないんだろ?


ーーーー


王都からほど近い、広い平原。

ギルバートが大きな布を広げて、ピクニックを始める。


乗ってきた馬は、一定の場所から出ないように、

魔導具の柵の中に入れる。

柵は結界の魔導具で、

魔導具内、エルフやサモンドには透明の壁が見えるが、

馬達には見えないらしく、時々結界にぶつかっている。

可哀想だと思うが、魔物も入ってこれず安全だから、その方が馬のためと言われた。



「じゃ、魔物が出たら僕が退治しとくから、薬草探しに集中して、摘んだら僕のところに持ってきて。

薬草1グラムにつき5ルークだからねー。帰りにおやつを買いたかったら、50gは取らないとだよー。」



薬草はたんぽぽのように、そこら中の地面に生えている草だ。

見た目はブタクサの若葉によく似ている。


もさもさと草の生えた平原。

これかな?と思う草をぶちぶちと採っていく。


提出した野草は、

ギルバートによって仕分けられる。


「これはブタクサ。

これは薬草。

これはブタクサ。

これは薬草。

これはブタクサ。

これはトリカブト!!絶対間違えちゃだめなやつ!!」


毒だ。


「、、、、なんでわかるんだ?」

「見ればわかる。理科でやったでしょ。」


イラストでは見分けられても、実物だと難しい。

植物も魔力を纏っていてくれたら楽なのに。


「ほら!見比べて!」

3種を並べる。


葉の生え方や形が確かに違う。。


「今の時期だと、ヨモギとも間違えそうなのに、ヨモギは持ってこないね。」

「それはわかるから。」


昔、弟と一緒に採ったから。

、、、とは言わない。


俺はまた平原に戻り、本物の薬草を見ながら、

ひたすら薬草を探す。


見比べれば、違いもわかる。


「慣れてきたら見本見ないで、特徴で見分けるんだよー。」


ギルバートはずっとシートに座って、お茶を飲みながらぼやーっとしている。

本当にピクニックだ。



「そろそろお昼にしようか。アルクもこっちきて座りなよ。」


薬草採取から何時間か経った頃、

お昼ご飯に、ギルバートの家の使用人が作ってくれたサンドイッチを食べる。

ピクニックだ。


「日帰りの時はこういう食事で良いけどね、慣れてきたら冒険合宿にも行くからね。携帯食の味にも慣れておくんだよ。」

「うっす。」


こっちの携帯食は干し肉とかそんなだ。

カップラーメンとかあれば良いのに。

確かあれは日本人が発明したんだっけ。

昔、テレビで制作秘話を見たことがある。

インスタントラーメンができないことには、カップラーメンもできないな。


「そういえばこの布、地面のでこぼこを感じない、、、」


ペラペラなのに、座った時の小石感がない上、ほんのりあたたかい。


「あ、そうか!冒険者用品についても教えないとね。

これは、物理耐性の効果が付いているエルフの生地。ダイロンの店で買えるよ。

物理軽減の効果だけで良いなら、冒険者用品店にも売ってる。これは防水、耐寒、耐熱、耐火の効果も付いてるけど。」


ダイロンは、カミラの店と王宮を挟んで反対側で魔導具店をやっている男性のエルフだ。

家電系に強いカミラの店に対して、

ダイロンの店は布系に強い。


我が家の服は、商人を家に呼んで買っているので、その店に行く機会はない。

ダイロンは昔は魔導具の充填に家に来てくれていたが、俺が転生した後は、魔導具の充填は俺がやっていたので、

転生後、ダイロンには会っても無い。


「耐熱、耐寒とか効果が選べるから、冒険で着る服にもとても良いよ。

君もそのうち仕立ててもらうといい。

あの店は貴族用の洒落た服ばっかり作ってるけど、ラフなのも作れるから。」


「高そうだな。」

(たっか)いよーーー。でもまぁ、実用性の高いものだし、マントくらい親に買ってもらいなよ。」


「俺も働き始めたのに、おねだりするのはちょっと、、、」


一応冒険者という新卒社会人で、

西暦年齢(中身)は21歳なのに、まだ親に頼るのは気が引ける。


「固いねー。今までおねだりしてきたのも、本ばっかでしょ。親孝行すぎて逆に怖いよ?」


前世でもそれくらいしかおねだりしたことないし。


「まぁ良いさ!冒険者用品はお小遣いを貯めて、自分で買いな。

拾うのが嫌だったから、後でまとめて火葬しようと思って置いといたんだけど、

そこら辺に、僕が倒した魔物達が転がってるからさ、今日はそれ全部持って帰って換金しよう!」


「何の魔物?」

「蛙だよ?」


微弱な魔力すぎて気にもしていなかったが、

手のひら大のたくさんの蛙の魔物がそこら中で息絶えてた。


「蛙はどうやって倒したんだ?」

「軽い電撃。」


ずっとシートに座っているように見えたが、

遠隔で魔術を使っていたようだ。


「小さいけど、こいつら毒持ちだからね。

君は毒耐性が強いけど、エルフがいない時に沢山の毒にやられたら、ちゃんと薬草を飲むんだよ。」

「俺は毒耐性が強いのか?」

「あれ?カミラから聞いてない?勇者は状態異常にある程度耐性があるんだ。昔に比べて体が強くなったって思わなかった?」

「、、、確かに。」


家族で牡蠣を食べて、俺だけ当たらなかったな。


「曇ってきたね。蛙がこれだけいるってことは、

雨が降るかもしれないから、ちょっと帰ろうか。」


ーーーー


王都に戻り、冒険者ギルドで薬草と蛙の魔物を換金する。

蛙の魔物は、ギルバートは触りたくないと言ったので、俺が全部拾った。

皮膚に毒があるけど、勇者ならちょっとくらい触っても平気と言われたのだ。

触ったら普通にピリピリした。

この人ちょっと酷い。


「合計8500ルークです。冒険者カードに入れますね。」


薬草は600g、3000ルーク分採ったが、

家で医官に使い方を教えてもらうため、一部手元に残して2500ルーク。


ギルバートの毒蛙が1匹200ルーク、30匹で6000ルーク。

日給8500ルークか。

蛙は全部ギルバートが倒してくれたのだが。


「ギルバートが倒したのに、俺が貰っていいのか?」

「元々焼き捨てるつもりだったって言ったでしょ?

拾ったのはアルクなんだし、そんなの気にしないの。

それに、僕、貴族年金に高ランクの魔物討伐で、年間いくら貰ってると思うの。これからも要らないよ。」


太っ腹だ。


「もちろん討伐経験値も全部君のものだ。僕はS級で、もう上がりようが無いからね。」


俺にしかメリットがないじゃ無いか。


「いつかお返しするよ。」

「ふふっ。ちゃんと魔王を倒してくれればそれで良いよ。」


それは、、、俺の方が過払いになりそうだな。


ーーーー


家に戻り、馬を返したタイミングで、

雨が降ってきた。


「ギリギリセーフだったね!

じゃ、今日はもう外での修行もできないし、午後はアルクの部屋で冒険者座学ね。」


冒険者の学校の教科書は全部読んだが、

ギルバートは教科書に載っていない事を色々教えてくれた。


あると便利な魔導具の話なんかは、

充填し使い放題のサモンドにはありがたい情報だ。


「明日は一緒に買い物でも行こうか。お金は僕が立て替えてあげるからさ。僕の貸し。いつか返す。それなら気兼ねなく買えるでしょ?」

「、、うん。」


なぜか頭を撫でられた。


「初めて素直に返事するアルクが見れた。」


ギルバートがにっこり笑った。


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