【EP-H5】謎嗅覚と壁ドン
「ん?ハンス、あなた、、、、」
「どうしましたか?姉様」
リンドールとの魔術修行を終えた後の夕食時、
俺のこっちの実の姉、
フィーネ姉様が訝しげに俺を見る。
俺の姉様、つまり王女様だ。
この王宮には、俺の父上、国王からみて、
国王の兄弟とその家族、
祖父母と、叔父叔母、その子供など、詳しくはわからないが、
5親等か6親等かくらいまで住んでいる。
王宮にたくさんの王族がいる中で、食事は家族単位で行う。
夫婦で食事をするのを基本として、未婚の子供はその親と食べる。
つまり、俺は国王と王妃と王女の4人で食べることになる。
両親が忙しい時は子供だけで食べる。
ということで、今日はフィーネ姉様と2人きりだ。
「なんと言いますか、、、雰囲気が変わりましたね?」
何!?
「、、、そうですか?」
「ハンス、、、」
「ちょ!!何してるんですか姉様!!」
食事中にもかかわらず、
姉様は席を立ってクンクンと俺の匂いを嗅ぎはじめた。
「可愛いハンスから、、とびきり良い匂いがする、、、」
何してるのーーー!!この人!!
俺の昨日までの記憶にも、こんなことするの見たことないし!!
「おやめくださいフィーネ様。はしたないですよ。」
侍女に止められる。
「ハンス、後で私の部屋に来てくださいますか?」
「、、、なぜ?」
「ふふふっ。」
姉様は意味深に笑った。
ーーーー
夕食後そのままフィーネ姉様の部屋に連行される。
クンクン
姉様がめっちゃ匂い嗅いでくる、、、
「姉様、、、?先ほどからどうされたんですか?」
この人、怖い。。。
「ザーラ、ケヴィン。あなた達は外に。」
「待って待って!せめてザーラだけは残して!!」
めっちゃ匂い嗅いでくる姉様と、2人きりにしないでー!!
部屋にいた姉様付きの護衛侍女ザーラと、
ギードの後に入った、俺の護衛従者のケヴィンが外されそうになったが、
せめてもと、ザーラだけは引き留める。
姉様の奇行を止められるとしたらこの人しかいない!!
「良いのですか?これから私があなたの秘密を暴いたとしても?」
うんうん!!良いから!
何かあったらこの人に助けてもらうから!!
「ふふっ、、、」
なんか、うっとりこっちを見てるの何?!
怖い怖い!!!
「ザーラぁ、、、」
俺はすがるような目でザーラの顔を見るが、彼女は申し訳なさそうにしつつも、ただ嗅がれてるだけだからか止めてくれない。
「確信しました。」
「何ですか?」
「ハンス。あなたは昨日までの可愛い子供のハンスではありません。」
「え、、、、」
「あなたから漂う大人の色香は、おそらく別人。転生し、サモンドになったのではないですか?」
何この人の嗅覚ーーー!!!!!
ーーーー
「姉様は匂いフェチなのですか?」
「いえ。違いますわよ。」
にっこりと微笑む姉様。
その笑顔が怖い。
「その、、、何故、姉様は、わかるんですか?」
王宮書庫の資料だと、
サモンドかどうかは、サモンドしかわからないんじゃなかったか?!
「私、ある特技がござまいまして。」
「はぁ。」
「私、SとMを見分けられるんです。」
SとM、、、
つまり、
サディストと、マゾヒズム、、!!?
「ハンスは確かに将来S寄りになるであろうとは思っていたのですが、今日、急に、とても素敵なSの匂いが漂い始めたのです。そう、まるで、成人男性から出るフェロモンのような。」
、、、ほぅ。この人が何言ってるか全然わからない。
「この芳しい、お色気ムンムンのフェロモン。これで気付かない人はいませんわ。」
「そうなの?」
俺は護衛侍女、ザーラを見た。
「わかるわけございません。フィーネ様独自の嗅覚です。」
へぇ、、、
「なんだよ。お色気ムンムンって。。6歳から出るわけねぇって。。」
「ハンス、今、言葉遣いが変わりましたわね。
出来れば私にもその強めな口調で、罵るように、、」
姉様の前ではいつも良い子の言葉遣いだったのに、
あまりの酷い状況に、つい素の口調がでてしまった。
ちなみに、素の口調は転生前からこんな感じだ。
「意味わかんねぇ、、、」
「はぅん♪」
「今ので感じてんじゃねぇよ。」
「あぁん♪」
「おい。」
「あっ、、♪」
「変態、、、」
「あー♪♪♪ステキな響き」
、、、この人本当に13歳?
ーーーー
なんかバレたので、とりあえず夜中にサモンドになったことと、今日1日の出来事を話す。
「姉様は、王宮書庫のサモンドの資料に目を通したことは?」
「いえ。ございませんわ。」
「そこに記されているのですが、俺が剣士のサモンドとして、魔王討伐にいけば、必ず死にます。」
「、、、そうなのですね。」
姉様が悲しそうな顔で俺を見た。
「俺は昨日死んだばかりで、もう死にたくないですし、兄2人を亡くし、さらに俺まで死んだら、父上と母上はきっと悲しむでしょう。」
「そうですわね、、なので、ハンスは、今後もサモンドである事を黙っておくつもりなのですね。」
理解が早くて何よりです。
「まぁ、姉様とザーラがチクらなけりゃですが。」
「そうですね。では、黙っておく代わりに、交換条件を。」
「、、、まぁ、俺にできることなら。」
「治癒魔法を使えるようになるんですよね?」
もしや、、、
「私にもっと強い刺激を。治る範囲でいいので私を痛めつけて、、、」
やはり、、、
「だーーー!無理無理!断固拒否!マジでそういう趣味ないから!!」
「でしたら、もしザーラがやり過ぎてしまった時に治癒してくださるだけでいいわ。傷が残っていることでザーラに首になって欲しくないので。」
なんだよ、やり過ぎてしまった時って、、、
「まぁ、できる範囲でやるけどさ、、俺に治せるのって擦り傷程度らしいぞ?」
「擦り傷であれば、沢山あっても治せるということですね。」
ガチだ。この人ガチのハード系ドMだ、、、
侍女のザーラを見ると、苦々しい顔をしていた。
きっとこの一見可憐な王女の趣味に、
無理矢理付き合わされているのだろう。
「では、痛ぶっていただけない代わりに、ハンスの出来る範囲で、一番私が興奮しそうなことをしてください。」
「はぁ、、、6歳にそれ求めるなよ。。」
急な無茶振りに思わずため息が漏れた。
「中身は私の倍以上生きてらっしゃったのですわよね?」
姉様がニコニコ顔だ。
新しいおもちゃを手に入れた子供のようだ。
「じゃぁ、姉様。ベッドに腰掛けて。」
「2人の時はフィーネと罵るように。」
「3人だろ、、姉様とザーラと俺の。」
「ですから、フィーネと。」
「はいはい。フィーネちゃん。」
「ああん♪」
「もう、うるせぇ。」
「あん♪」
この人は姉様ではない。この人は姉様でない。
俺は32歳、西條悟理。
既婚者だけど、今だけは未婚未婚未婚、、
相手は20歳こえてるこえてる、、、、
心の中で自分に言い聞かせる。
俺は32歳に戻ったつもりで、
姉様の肩をグッと押して、姉様を押し倒し、
ボスっ
姉様の顔の左右に、両手を勢いよく落とした。
少女漫画の定番、床ドンだ。
そのまま姉様の耳元でこう囁く
「この後、どうして欲しい?」
姉様は顔を紅潮させて微笑んだ。
「満足ですわ。」
その言葉で俺はすっと姉様から離れた。
「実姉だからここまでな。これが床ドン。って言ってもベッドか。俺の前世の国だと部屋では土足厳禁だったから、床に転がして両手ドンって。
恋人同士ならそこからキスして、そのまま、、、って話は13歳にするもんじゃないな。」
彼女なら喜ぶ、俺の生前の常套手段だ。
「本当は壁ドンとかやりたかったとこだけどな。身長足りないから。」
「壁ドンですか?」
姉様が目をキラキラとさせた。
「あー、お姫様、やって差し上げましょうか?」
俺が嫌そうに尋ねると、
姉様がウンウン!と頷いた。
「姉様、そこの壁沿いでこっち向いてしゃがんで。俺の身長と顔の高さが合う、膝立ちくらいで。」
「わかりましたわ!」
姉様が俺の方を向いて膝立ちする。
俺は福士⚫︎汰にでもなったつもりで、姉様に思いっきり左手で壁ドンをする。
そして、わざと顔を近づけ、右手で顎をくいっとし、
「どう?」
まっすぐ目を見ながらつぶやく。
「良いですわ!!良いですわ!!」
姉様が顔を押さえて床をバンバンしている。
「これが壁ドン。本来なら2人とも立ってるから、される側は壁に背中がついて逃げられない状態。シチュエーションによって、ドンってやるか、トンってやるか、片手でやるか両手でやるか変えるの。
ちなみに今のは、“壁ドン”からの“顎クイ”。」
まぁ、これは人生初めてやったけどな。
まさか、人生初の壁ドンの相手が実の姉とか、どういう状況なのさ。
「ザーラさんへの口止め料は、“今の”を、うちのギードにやってもらうでいいか?」
「っ!!滅相もございません!!!」
ザーラが顔を赤くした。
ザーラとギードが実は両思いって、
6歳の記憶で32歳が察したんだよね。




