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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第1章 『異世界転移』
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1話 異世界への転移

森の中で目覚めた。


「夢、、、?」


ではないとすぐに気づく。

肌に感じる草の感触、木々の匂い、風、、

全てがリアルすぎるのだ。


すぐに自分の身なりを確認する。

喪服。

靴も履いていない。


紗奈(さな)!紗奈!起きて!!!」

膝で寝ていた娘をゆすって起こす。


「ママやだ!はーちゃん、まだねむい!」

「眠いじゃないよ!紗奈、早く起きて!!なんか、、なんか変なの!」

「ん、、?おとと?」

「うん、お外。知らない間にお外に出ちゃったみたいなんだけど、、、」


その時

ガサガサ、、


木の陰から何かが動く気配がし、

とっさに紗奈を抱きかかえる。


「何?!」


そう呟くと、木の陰から緑色の肌をした角の生えた人型の生物が現れた。


ファンタジー系のゲームや小説で見たことのある、そう、ゴブリンのような生物が、

棍棒を振り回しながらこっちに向かってきた。


ゲギャギャギャ!ゲギャー!


見つけた!と言わんばかりの叫び声、

口から覗く鋭い牙、ニタリと笑った口からよだれを垂らしながらこっちに向かってくる。


怖いっ!


反射的に紗奈の手を引き走ろうとするが、足がすくんで動けない、、


「紗奈!逃げて!!!!」

「やだー!ママ、ほわいーーー!」


紗奈は私に抱きついたまま泣いている


目の前まで迫ったゴブリンが棍棒を、今まさに振り下ろさんとした時、


「いやーーー!!」


私はとっさに棍棒から身を守ろうと手をあげた。


その瞬間、



ドンっ!!



自分の掌が急に温かくなり、手から眩しい光が発射され、ゴブリンの顔を撃ち抜いた。


「え、、?」


ゴブリンはその場で血を流して倒れた。


わけがわからないまま、目の前の危機を脱し、

震える紗奈を抱きしめ、安堵した。


助かった、、けど。


今のは、、何?


「まほうだぁ、、」

紗奈が私の掌を見ながら呟く。



森の中、ゴブリン、、、魔法、、?



一瞬頭の中で『転移』という文字がかすめた。

4年前、紗奈の授乳期、「授乳中は子供の目を見ながら対話するようにあげてくださいね」なんて言われつつも、スマホが友達だった頃に読み漁ったネット小説。

そこに出てきたワード『転生』『転移』。


転生は生まれ変わること。

転移はワープのようなもの。

服が喪服のままだから、転移、、?


まさか、、


小説を読みながら、魔法のある世界に行けたら楽しいだろうなーと思ったこともあった。


が、


子連れで、着の身着のまま、ゴブリンといった凶悪生物のいる世界に放り出されるなんて、、

夢だと思いたい。



「ママ、、あっち!いやー!」


紗奈が指を指す先をみて絶望した。


ゴブリンが、数十体。ゲギャゲギャという声をあげながらこっちに向かって走ってきていた



無我夢中だった。


手をゴブリンの集団に向け、先程の魔法の感覚を思い出しながらひたすら撃った。


数が多い、、間に合わない、、


大勢で押し寄せてくるゴブリン。

単発の攻撃では全く歯が立たなかった。

徐々に体の力が抜けていき、その場にへたり込む。


ダメだ、おしまいだ、、


「紗奈、ごめんね。ママ、守れそうにない。。」


諦めそうになったその時、


「ママ!ママ!」


紗奈がしがみついてきた。

体が触れている箇所が温かい。

無くなりかけてた力が湧き出てきた。


いける!

両手をゴブリンの集団に向けた。



ドドーーーン



両掌から、大きな出力の光が放出された。



ゴブリンの集団は全滅した。



全身から力が抜けた感覚。

動けない。

娘も脱力していた。



「あっちだ!!急げ!」

「なんなの?!このゴブリンの数は!!」

「これは、確実に魔術師だね。」


人の声が聞こえた。



私は紗奈を抱いたまま、意識を失った。


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