135話 チート飲酒
色んなお酒を少しずつ飲んだ。
どれも美味しくてどんどん進む。
未だ嘗てない程のちゃんぽんだ。
「リサさん、そろそろお酒回ってきてるっすよね!解毒試してみるっす?」
「ええ!ぜひ!」
「じゃあ手を貸してっす。」
イシリオンが私の手を握る。
「リサさん、、相当お酒強いっすね、、ティアナさん並みっす。。これは習得が難しいかもしれないっすね。」
「そうなの?」
「お酒が強い人は、体内のアルコールの成分がすぐ小さくなってわかりにくいんす。今動かしてるこれ、わかるっすか?これがアルコールの成分っす。」
「あー、なんとなーく。これかなーってのはわかるわ。」
「流石サモンドっすね!これを、こうするっす!死ね!」
「あん♪」
一気にアルコールの成分が消えた。
ちなみに今の喘ぎ声はフィーネだ。
「何!?今のすごい!!」
「この消すやつが、上級ヒーラーにしか出来ないっす。」
「面白そうだな。イシリオン医師、俺にもやってみてくれ。」
「医師っすか。懐かしい呼ばれ方っすね!」
「医師だったんだろ?」
「そうっす。じゃあ、レオさんも手を貸してください。」
イシリオンがレオの手を握る。
「レオさんも相当強いっすね。エドガーさん並みっす!」
ちなみに、
ティアナ>エドガー
だそうで、
私やティアナの方がエドガーやレオよりお酒が強いらしい。
「これがアルコールの成分っす。わかるっすか?」
「ああ、わかる。けど、わかるだけで、これをどうこうすることは出来なそうだな。」
「初級だと難しいっすよね。これをこうするっす!失せろ!」
「はぁん♪」
「すごいな。全然出来る気がしねぇけど。」
「ははっ初級ヒーラーでこれができたら、上級ヒーラーは商売あがったりっすよ。」
「それもそうか。1つ試したいことがあるんだが、医師、俺の体の、俺が今、魔力を込めてるところに、アルコールの成分を集められるか?」
「こうっすか?」
「そのまま見ててくれ。」
レオとイシリオンが手を繋いだまま、レオが何かやっているようだ。
「おおおお!!何してるっすか!!言われたところに入れてく側から、アルコール成分が消えてくっす!!!」
「治癒魔法で、肝臓の動きを活性化したんだ。魔術で消すんじゃなく、人間本来の治癒力の強化だな。」
「何すかそれ!裏ワザっすか!解毒革命っすよ!!」
「え、何それ。レオ、私にも教えて!」
「おう。貸し2な。」
そう言うと、レオは私の手を握り、体内の一部に魔力を流した。
「ここが肝臓だ。ここに治癒と解毒、両方かけてるだけだ。」
「おお!!わかりやすいわね。」
どうでも良いが、この男、私の手を握る時に無駄に指を絡めてきた。
チャラくてムカつく。
「リサさん、これなら、後は体内のアルコールの成分さえ動かせれば、自力で解毒できるっすね!中級のリサさんなら動かせるっすよね?」
「それよね。なんとなくわかるし、わかれば動かせそうなんだけど、イマイチ成分を特定できなくて、、」
「うーん。。リサさんの体内で特定するのは難しいっすよね。この中だと、フィーネなら多少は見やすいと思うっす!」
「ぜひ私を解毒してくださいませ!」
フィーネが嬉しそうに手を差し出してきた。
「これは、、罵りながらした方が良いのかしら?」
「ふふ♪」
にっこり微笑むその笑顔、何かすっごい求められてる、、
「ハンスなんかはもう遠慮なく私を罵ってくださいますのよ♪」
「ハンス、、実の姉に何してるのよ。。。」
「違うっすハンスさんはフィーネにただタメ口聞いてるだけっすよ。罵ってないっす。」
「フィーネの感度が高すぎるだけっす。」
感度ってなんだ。。
「あ、フィーネはハンスさんがサモンドになった日に、転生に気づいたそうっすよ。」
「え!!?そうなの?!」
「当然ですわ。あんなに可愛いらしかったハンスから、急に大人の色香が漂ってきていたら、すぐに気づきますわ。」
フィーネのその嗅覚はなんなんだ、、、
「私は、サモンドである事を秘密にしたいというハンスに協力してましたの。黙っててごめんなさい。」
「そうだったのね。」
『そうだリサさん!』
スーリオンが念話を送ってきた。
『ん?念話でどうしたの?』
『フィーネはリサさんとハンスさんの関係は知らないっす!身内には折を見て自分から話したいって事っすから内緒にしとくっす!』
『ええ、わかったわ。』
ちなみにハンスと私の関係はまだ国王と王妃も知らないそうだ。
「そう、私、ハンスがサモンドであることを秘密にする代わりに異世界の攻めの手法を教えて頂きましたのよ♪」
「異世界の攻めの手法って、、、」
「“壁ドン” “床ドン” “顎クイ”ですわ♪攻めとしてはかなりソフトですが、あれは6歳の実弟にされても胸がトゥクンとしましたわ♪」
ハンス、異世界で何広めとんねん。
ーーーー
チーム飲酒6人で飲みながら解毒を試しているとアルクが来た。
そしてそのまま私の肩に絡みついてきた。
「アルク、、お酒臭い、、」
「王都エルフ達にめちゃめちゃ飲まされてるのが見えたもんなー。」
エドガーが言った。
「眠い、、」
アルクが私の背中に抱きつき、ぐりんぐりんに絡みついてくる。
「アルクさん、酔ってるっすねー。」
「んんっ!ちょっと!耳噛まないで!!」
なんだか、カプカプされてる。
「面白いな。勇者は酒に酔うと本能剥き出しになるのか。さっき俺がリサの手を握った時の殺気もヤバかったもんなー。」
レオが笑いながら言った。
「そうだ、リサさん、アルクさんで解毒の練習すると良いっすよ!アルクさん、自然治癒力はあるけど、お酒自体には弱いんで、アルコール成分がわかりやすいっすよ!」
イシリオンに言われて、私はアルクの体内を見た。
「あ、ほんとだ!フィーネよりも格段にわかりやすい!」
「動かせるっすか?」
「出来ると思うけどね、その前に、、、アルク、寝ないで、、重い。。」
今は私が重力魔術で支えてる状態だ。
「ははっアルクさん、限界っすね!」
「ほら、俺が支えてやるから、リサ、解毒かけてやれ。」
エドガーが言った。
治癒と解毒で肝機能を強化しながら、アルコール成分を肝臓に移動させる。
「、、、やったー!解毒できたわ!」
「おー、さすがリサさんっすね!操作がうまいっす。」
「じゃ、俺がこのままアルクを家に運んでやるよ。」
エドガーがアルクを担いで家に入って行った。
ーーーー
「レオさん、王都に戻ったら、医師達に、レオさんの世界の医療を教えてもらえないっすか?治癒の効率が上げられたり、魔力の消費を抑えた治癒ができるかもしれないっす。」
イシリオンが言った。
「別にいいが、金は取るぞ。」
「医学革命っす!お金はきっと国から出るっすよ。」
「ええ、お父様は国の医療に関しては、お金を出し惜しみしないので、必ず出ますわ。」
「ははっ。スラムの住人から一気に金持ちだな。」
「貴族年金も貰えるのよ。そんなにお金貯めてどうするの?」
「そうだなー。起業でもして、スラムの連中に仕事でも回すかな。」
「スラム愛ね。」
「あいつらには世話になったんだ。借りを返すのに一生かかるんだ。」
「義理堅いのね。」
「アルクの性格診断でもそう出てたろ。お前は今、“貸し2”だからな。いつか返せよ。」
「はーい。」
開発やらなんやらで、
借りばっかり溜まりそうな気がする。
「そうだ。酒ついでにもう一つ試したいんだ。」
「レオ、今度は何?」
「ターメリック。」
レオが黄色い粉を取り出した。
二日酔いの薬か!
「禁酒してたからコイツは試してなかったんだ。多分こいつとこっちの世界の薬草を混ぜて飲めば治癒魔法に近い効果が出るはずだ。これが成功すれば一般人でも二日酔いを治せる。」
この人は神か!!!
「、、にしても、まずそうね、、、」
レオの調薬により、黄緑色のドロドロした薬ができた。
「薬草ストレートはな。結構エグいぞ。」
「これ、私が飲んだみたいにお茶にしちゃダメなの?」
「薬草服薬の“基本”がこの状態だ。改良はこれを試してからだ。」
「私は飲みたくないわよ。。もう治癒魔法で自力で治せそうだし。これはレオが自分で飲みなさいよ。」
「へへっ。これを飲ませる治験者なら決まってる。」
「治験者?」
レオがヴィラの方向を見た。
「おー、アルク置いてきてやったぞ。」
「あ、エドガーありがとう!」
「俺がふらついてたせいで、何度かアルクを壁にぶつけたけど良いよな?」
「、、、良いわよ。勇者は頑丈だし。。」
久々の酔っ払いエドガーだ。
「へへっ。治験者が帰ってきた。」
レオがエドガーの肩を掴んだ。
「飲め。へなちょこ。」
「あ?なんだ?ぐっ、、」
エドガーの口に薬草の匙が押し込まれた。
「苦ぇーーーーーーーー!!!!」
エドガーの叫び声が響いた。
ーーーー
バーベキューが解散して、
家に戻ると、アルクが起きてきた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、なんか目が覚めた。いつも朝まで寝ちゃうんだけどな。もしかして、解毒した??」
「ええ。私の解毒の練習台にさせてもらったわ。」
「ははっ、なるほどね。で、出来るようになったの?」
「ええ!もうこれでいつでも泥酔できるわ!」
「嬉しそうだな。お酒、飲みたかったんなら、言ってくれればいつでも付き合ったのに。」
アルクが私の頭を撫でた。
「いいのよ。解禁するときはイシリオンとスーリオンとって前に約束してたし。」
「で、どうだった?久しぶりのお酒は。こっちの世界では初めてだろ。」
「ビール以外はどれも美味しかったわ!でも、ずっと解毒の練習してたから、全然酔わなかったの。」
「飲み直すか?冷蔵庫にお酒入ってたろ。付き合うよ。」
「、、いいの??」
「犬っころみたいにしっぽが見えてるぞ。ほんと、好きなんだな。」
アルクが笑って言った。
2人で初晩酌だ!
ソファーに並んで座り、しっぽり飲む。
グラスに注がれているのは日本酒。
アルクは日本酒がお好きらしい。
さすが元日本人だ。
「アルクは、前世ではさすがにお酒は飲んで無いわよね。こっちでいつから飲んでたの?」
「成人してから。よく両親や兄さん達につき合わされてな。あとはエドガー達に付き合わされてとか、ギルバートも何かお祝いがある時は誘ってきた。でもそれだけだ。人に勧められれば飲むけど、自分からは飲まない。」
「お酒、あんまり好きじゃないの?」
「いや、お酒自体が嫌いな訳じゃない。ただ、飲むと自分を抑えられなくなるから、、、」
そう言うと、アルクは防音の魔道具を起動して、
私にキスをした。
「ん、、、、、」
「昔、フージに旅行に行った時、湯上がりのリサの浴衣姿を見て、キスしようとした。」
「ん、、あ、、、そういえば、ギルバートが、『お酒を飲んでる時のアルクは要注意』って。」
「あー、ギルバートには、男か女か確かめたくなって、体を触ろうとしたことがある。返り討ちにあったけど。」
「ふふっ。ん、、、あと何かやった?」
「リサに近づく男に殺気を撒き散らしてるって。」
「さっき、レオにやってたみたいね。ぁ、、他には?」
「、、、、昔、母さんの胸を触ったらしい。。」
「、、それは、、かなり痛いわね。んんっ、、、」
「翌日、母さんに聞いて、顔面蒼白で土下座だよ。母さんは笑ってたけどな。それ以降、母さんがいる所では飲んでない。。」
そういえば、ナターシャのいた、瀕死後の快気祝いも、自分の結婚式も、アルクは頑なに飲まなかった。
「ぁぁっ、、私の胸なら好きなだけ触って良いわよ。」
「さっきからそうしてるだろ。」
さっきから、揉みくちゃにされている。
「ん、、、あっ、、待って、追いつくから。」
私は注いであったお酒を一気に飲み干した。
「はぁっ、、」
「一気に飲んで大丈夫なのか?」
「ええ。平気よ。ん、、足りないくらい、、ぁっ、あっ!」
お酒に酔ったアルクは、いつもより激しかった。