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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第14章 『8人目のサモンド』
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128話 呼び方

「不思議な再会があったもんだねぇ。レオも、リンドールの前だとトゲが抜けるんだね。」


ギルバートがニコニコしながら2人を見ていた。


「おい、ばあさん、何ほのぼの見てるんだ。」

「近代用語が多すぎて、僕はついて行けなくてね。後でわかりやすく説明してよ。この老婆に。

あと、今回はリンドールだからいいけど、僕の性別を匂わすような言い方はやめてくれよ。」

ギルバートの笑顔が、怖い方に変わった。



「ああ、そうだったな。理由がしょうもなさすぎて忘れてたよ。」


レオよ、煽るな。

ほら、横でリンドールがどこから突っ込んでいいかわからず、口があんぐりしているぞ。

これ以上、刺激を与えるとまた倒れちゃうぞ。


「なぁ、エマちゃん、このじいさんは、実はばあさんらしいぞ。っぐ!!!」


あ、ギルバートが重力魔術を使った。

まるで子泣き爺だ。

レオがだんだん沈んでいく。


「ちょっと、ギルさんやめなよ。大人気ない、、」

エマが言った。



「失礼。レオ、僕は君より年上で、君のお世話係だ。目上に対する口の利き方には気をつけるように。」

「へいへい。」

なんだか、先生と悪ガキ生徒のように見えてきた。


「ふふふっ。ギルバートさんと先生は、もう仲が良いんですね。」


リンドールよ。本当にそう見えるのか?


「先生がそんなにウキウキしているところ、久しぶりに見ました。」


そう見えるらしい。


ーーーー


「ねえ、レオが今まで私の事を名前で呼ばなかったのって、“エマ”って名前を呼ぶことに抵抗があったから?」

エマが聞いた。


たしかに、レオは一度もエマの名前を呼んだことが無い。


「どうだかな。呼んでやるよ。エマ。これで満足か?」

「んー。なんか、そう言う事でも無いんだけど。。」


エマは釈然としない様子だ。



「あ、呼び方ですね。“エマ”はエマさんなので、私の事はリンドールと呼んでください。この体、どうも“エマ”感が無いので。」

「ああ。わかったよ。リンドールちゃん。」


「あの、、できればもう33なので、ちゃん付けも、、、」

「前よりも小さくなってんじゃないか。エルフちゃん。」

「、、、何でもいいです。」


「あと、俺もだ。俺はこっちではレオンもヴァルターもやめた。レオだ。」

「ふふっ。先生も、自分のお名前、気にされてましたもんね。」


「あともう、医者じゃない。“医師”と呼ぶな。こっちではお前の方がヒーラーだろう。」

「そうですね。立場逆転ですね!」

リンドールは嬉しそうに言った。


ーーーー


「ああ、そうだ。ヒーラー。俺に上級治癒をかけてくれ。」

レオが言った。


「え?どこか悪いんですか??」

リンドールが慌ててレオに触れた。


「えっ、、、、」


リンドールが驚いた顔をした。



「、、これ、スラムでもらったんですか?」

「いや、前の世界だ。ずっと薬を飲んでたんだが、こっちの世界に来て、薬が無くなって焦ったよ。初級でも治癒魔法が使えて良かった。」


リンドールがレオに治癒魔法をかけた。


「完治しましたよ。そうですよね。レオさんはお医者さんでしたから、血液感染だってありえますよね?」

「いや、どこで拾ったかは知らねえ。心当たりがありすぎてな。」


「ん?つまり、レオがかかってた病気って、、」

みんなの注目がレオに集まる。



「言っただろ?ゴムの開発は俺の為だって。」


レオがニヤリと笑って言った。


ーーーー


「一年半も我慢してきたんだ。やっとゴムも完成して、心置きなくって思ってたとこだってのに、治っちまったよ。へへっ」

レオは下衆な笑いをした。


「女剣士、後で俺に付き合え。こっちでまだ一回もやってないんだ。俺ぁ限界だ。ゴムは無いけどな。」

「嫌よ。馬鹿じゃない?」



「先生!先生のお相手でしたら私が!!」

リンドールがレオに向かって叫んだ。



全員、コントのようにずっこけた。



「おいおい、エマちゃん、俺は自分の患者とはやらないって前も言ったろ。」

「もう先生の患者じゃありません!私も、前にも言いましたが、私、先生のことが好きなんです!!それに、、胸だって、エルフになって、先生好みの控えめに、、」

リンドールは顔を真っ赤にしながら言った。


どうやらリンドールは前世でデカ乳だったらしい。



「ははっ。転生しても相変わらずだな。おい、みんな出てってくれ。」


「え、、、嘘!?するの?!」

エマが驚いた顔で言った。


「お前も残るか?俺は3人でも構わねぇぞ。」

「しないわよ!!」

エマが怒って出て行った。



私たちも部屋を出る。


『ほんと、しょうがねぇな。エマちゃんは。』


レオの声と、

2人がキスをする音が聞こえた。


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