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転移ママの異世界奮闘記  作者: 平館 あや
第2章 『王都散策』
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9話 冒険者ギルドと獣人さん

次の日、エマとアルクが冒険者ギルドに依頼を確認しに行くということで、付いていくことにした。

冒険者ギルドは王都の最南、王都の正門付近にある。


三階建の大きな建物で、一階は受付カウンターと食事処、二階は宿屋、三階はギルド事務室らしい。

ギルドの裏には広い演習場があり、冒険者が訓練に使ったり、冒険者学校の学生が演習したり、冒険者の試験に使ったりと用途様々なんだそうだ。


アルクとエマは冒険者ギルドに所属している。

アルクはB級、エマはD級冒険者だ。

冒険者は、基本、毎朝冒険者ギルドに顔を出して、依頼を確認するものらしい。


ギルドランクはF級から始まり、S級まで存在するが、S級は魔王の討伐をしたサモンドパーティにのみ贈られる名誉ランクで、一般の最高ランクはA級だ。


「私達も冒険者にならないといけないの?」

「サモンドはそうね。でも、冒険者ギルドに登録できるのは15歳以上、サモンドでも10歳以上だから、サナちゃんはまだまだ登録できない。それに筆記と実技の試験があるからリサもまだ難しいわね。」


魔物と戦う冒険者は命がけだ。

ある程度の体格、実力、知識がないと冒険者にはなれないらしい。


「柄の悪い人間が多いから中には入らない方がいいわ。ちょっとここで待ってて。パパっと依頼見てくるから。」

そう言うと2人はギルドの中に入って行った。


ギルドから少し離れたベンチに紗奈と腰掛ける。

午前中ということもあって、多くの冒険者がギルドに足を運んでいる。



「ニャーニャーのおみみだーー!」

紗奈が猫耳獣人のお姉さんを指差してている。

初獣人だ!私もテンションが上がるが、そこはぐっと我慢だ。


「こら、紗奈、人に向かって指を差してはいけません!」

私がそう言うと猫耳お姉さんが話しかけてきた。


「可愛いお嬢さんね。獣人族を見るのは初めて?」

「うん、おみみ、はわいいー!」

「あなたも可愛いわよ。」

猫耳お姉さんがニコニコしながら紗奈の頭を撫でる。

「えへへ♪」

相変わらず人見知りしない娘だ。


「お姉さんも冒険者ギルドへ?」

「そうよ。こう見えてC級冒険者なの。私はララ。」

「あ、理紗です。こっちは紗奈。」

「ちゃいじょうちゃなでしゅ!よんちゃいでしゅ!」

「可愛いー♪」

ララが紗奈にメロメロになった。



獣人ララ。C級冒険者。

エマより冒険者ランクが上だ。


「近頃は平和で、全然依頼がなくてね。手頃な依頼は争奪戦。依頼が無くても生活がかかってるから、最近は専ら薬草の採取ばかりしているわ。ここにいるってことは、あなたのご主人も冒険者かしら?獣人と会ったことが無いってことは、王都以外から来たのよね?」

「あ、主人ではなく連れを待ってるだけで、ここには昨日来たところなんです。」


そう話してると、エマとアルクが出てきた。


「あ、ララ!なんでリサと話してるのよ。」

「おたえりー!エマおねーちゃん!ゆうちゃちゃん!」

「あ、エマにアルク!リサさんの連れって2人のことだったの?ってことは、もしかして、噂の新しいサモンド!?」


猫耳獣人のララは2人の知り合いだったようだ。

そして、私たちのことは噂になっているようだ。

そういえば、昨日の店員エルフも私たちのことを知っていた。



「なるほどね。転移してきたばかりなら、獣人なんて見たこと無いわよね。で、エマ、今日は何か高ランクの依頼は出てた?」

「全然。安定のEF級オンリーよ。A級もあるけど、このメンバーは誰も受けられないわ。アルクが早くA級になってくれればいいのに、いつまでものらりくらり。そのくせ私がいなきゃ指名依頼しか受けないし。」

「C級を受けられるんだからいいだろ。」


アルクがB級、エマがD級で、2人でパーティを組めば平均でC級パーティとみなされるらしい。

エマはより高いランクの依頼を受けるためにアルクとギルドに来るそうだ。


「はー。平和なのは良いけど、冒険者的には家計に大ダメージよ。サモンドはいいわね。年金があるから。」

ララが言った。


ララはサモンドでもなけば貴族でもない。

年金もない冒険者の仕事だけで生活をしていくのは大変なようだ。

ゴブリン一体で2000ルーク。

20万ルークを稼ぐにはゴブリン100体。

週休1日として、毎日3、4匹はゴブリンを倒さないといけない。

探すだけで大変そうだ。


「まぁ、サモンドはたしかに年金で生活はできるけど、私は早くランクを上げたいのよ!仮にもサモンド。冒険者になって4年なのにまだD級なんて恥ずかしいわ。」

「ランクより生活!今は依頼が少ないから、貧民の私達に仕事を譲るように!」

「そう言われると何にも言えなくなるわ。」

「報酬を多めにくれるなら、いつでもパーティ組むわよ。」

「ありがと。」



「ララーー!Cランクの依頼が出たぞ!!早く来い!」

ギルドの方から、獣人の男性が慌てた声で叫んでいた。

「ブルース!やったわ!依頼書キープ!」

「えー!さっきまで無かったのにぃー!」

エマはかなりがっかりだ。


「ここ最近見なかったCランクよ。私とブルースの2人分のご飯と、報酬金の割合を増やしてくれるなら一緒に行っても良いわ。あ、アルクはダメよ?さらに取り分が減っちゃう。討伐報酬を全てくれるなら別だけど。」

「がめつい。。でも私は行きたい。リサ、アルク、行ってきていい?」

エマが上目遣いでお願いしてくる。

特に止める理由はないのですぐに了承した。


エマとララは走ってギルドに向かった。

依頼の受注はパーティ全員揃っていないと出来ないらしい。

そして、先ほどの獣人男性はララの旦那さんだそう。

獣人冒険者夫婦だ。


「南の森でラビットベアの大量発生よ♪肉も皮も高値で売れるしラッキー♪」

「大量発生♪経験値稼ぎ放題♪リサの時のゴブリン大量発生といい、なんだかツキが回ってきた気がするわ!」

ララとエマが嬉しそうに戻ってきた。

ラビットベアとは、大型犬サイズの兎の魔物で、腕力が熊並らしい。


「リサ、サナちゃん、私はすぐに出発するわ。ご飯はララブルと食べて帰るけど、夜中までには戻るってうちのメイド達に伝えておいて。あ、もし戻らなくても気にしないで。家は好きに使ってね。」


そう言うとエマはララ達と魔物の討伐に出発した。


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