表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

彼女は小さな冬の恋人

作者: 神林 醍醐郎



今年も彼女がやってきた


とても小さな可愛い恋人


彼女は喉にとり憑いて


僕の喉にとり憑いて


なけなしの言葉さえ奪っていくんだ



彼女はとても嫉妬深くて


僕の関節 打ち砕き


人気のない部屋に閉じ込める


そうして動けなくなった僕を


きつくきつく抱きしめるんだ



その熱っぽい抱擁で


僕の脳髄は茹で上がり


怖気の汗が噴き出しては


たちまち冷えて熱を奪う



指の先から食われていく


彼女の愛に蝕まれていく


麻痺した思考は


静かな夜闇に 終わりを予感するけれど


予感はいつも 予感に終わる


彼女は残念そうに微笑みながら


僕から離れてしまうんだ



「また会いましょう 愛しい貴方


次の冬には装い変えて


新たな衣で着飾って


貴方の寝屋を訪ねます


次の冬こそ私の愛で


貴方を奪ってみせますわ」



小さな恋人は囁いて


他所の寝屋へと旅立った


残されたのは僕一人


死に損ないの肉塊一つ




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 毎年かかってるんですか?大変ですね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ