小さな存在
もしもこの世から存在1つを消せるとしたら
僕は君を消すだろう
僕にとって君がいない世界など到底想像できないものであって
だからこそ君のいない世界に強く惹かれ
想像できないその世界を
味わってみたくなるのだ
君なら何を消すのだろう
君はきっと僕とは答えない
君は目についたものを思いつきで答える
アスファルトの中から生える花
鯨の絵がのっている本
「好き」という言葉
犬の首輪
道端に捨てられたゴミ
そんなありふれたものを君は消したがるのだろう
「どうしてそんな小さなものなの?」
「なんでも消せるならより大きな存在を消すべきだと思う?」
「普通はね。」
「そうかなぁ……」
クスクスっと彼女は笑う
これ以上美しく静かな笑いを僕は見たことがない
君は小さな小さな存在価値をさがす
もしこの質問をキミとボクの2人しかいない世界でしたならば
君は僕と答えるのだろうか?
僕は、小さな存在でいられるのだろうか?
大きな存在に君は目を止めない
「どうして?」って一度だけ聞いたことがある
「大きなものは、嫌でも目に入るでしょう?小さなものは目を凝らして、じっと探してあげなくちゃいけないの。知らないのはないのと同じ。そこに存在しているのにないと等しいだなんて、そんなのってあんまりじゃない?」
君がどうしてそんな風に思ったのか、今になって、やっと分かるよ
君は僕に、見て欲しかったんだね
あまりに小さな存在になってしまった君を
小さくなっても、僕の中で、君は君で
だからそんなこと、気にしなくてよかったのに
ねえ
そんな小さなフレームに紙一枚に収まる君を
僕は小さなものだなんて思えないんだ
君は、黒いリボンが本当に似合わないね
死んでしまった人に愛を伝える方法はないですか?




