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強化そして弱体化  作者: 物書き
1/1

物語の始まり彼の日常

駄文です

我慢できる人だけ読んでください

この世界では人は皆、生まれながらに魔力への適性を持っている。

個人差あれど魔力量のちがいは、ごくごく微量なものである。

人にはそれぞれ、属性適性のちがいがあり、自分の魔力と相性の良い属性魔法のみを使用可能。

「・・・っと」

少年は、ノート作りを中断し自分なりにまとめた文章を読み返す。

「今日はこんなもんにしとくか」

声と共に、やる気も口から出てしまっているのではないかと思うほど、気だるげで脱力しきった声。

「お疲れサクヤ」

爽やかな、いかにも青少年という感じの、よく通る声。

そんな相反するような2つの声が、深夜の図書館に響き渡る。

「あぁ、シンラお前はもう少しやってくのか?」

シンラと呼ばれた少年が言う

「うん、僕はサクヤと違って直前追い込みタイプだからね」

苦笑いしながら美少年、シンラは答える。

彼は自ら進んでコミュニケーションを取らないサクヤの数少ない友達の1人だ。

「だからいったろ、コツコツやっとけよって」

呆れたように言うサクヤに。

「サクヤって、やる気の対義語と言ってもいいような奴なのに、こういうところはまじめだよね」

少々の毒舌を混ぜ、言葉を返すシンラ。

「ハイハイ、どうとでも」

とはいえ、ダメージゼロのサクヤは

鍵ここ置いとくぞ

とだけ言い、部屋を出て行った。

「ノリ悪いな〜いい奴なのに、ここを卒業したらどうするんだろう」

親友のあまりもの人付き合いの悪さに、今更ながら、心配になる。



ここは全寮制魔術学園シリア、魔術師の卵達とその教育者の集う場。

魔術師と言えど研究職だけではない。

炎の魔術を用いた鍛冶技術。

緑の魔術を用いた農業技術。

また、戦闘向きの魔術にすぐれた者は、軍隊に勤める者もいる。

魔術は、自分の経済活動の幅を広げる事が出来る。

そのため、この学園に通う者も年々増加している。

この学園では午前に三限、午後に三限と計6限でな授業が行われる。

今は午前8時50分、生徒達がそれぞれの時間割に合わせて移動を始める。



「あ〜、めんどくせぇ・・・なあシンラ、何で軍志望でも無いのに、戦闘訓練は必修なんだよ」

ジト目で猫背のサクヤが言う。

「最近は魔術による犯罪や、テロ活動も多い、もしもの時に備えて、ってやつじゃない?」

「なるへ」

自分から聞いておいてサクヤの返事はとても短い。

シンラはそこを指摘する。

「そういうの、塩対応っていうらしいよ?」

「なんだよ塩対応って意味がわからん」

「えーとね〜・・・」

サクヤが説明に困っていると。

「おはようサクヤ君、シンラ君」

1人の女子が話しかけて来た。

「おはよう」

万人受けの爽やかな笑顔に、朝の眠気からさまさしてくれるそうな澄んだよく通る声。

そんなシンラとは対照的に。

「・・・」

半目で死んだような顔、声は出さず軽く会釈だけ。そして、相手を見もせずに歩をすすめる。

「・・・サクヤ、多分そういうの」

「?」

「だから塩対応ってさ」

首を傾げたサクヤにシンラが言う。

「あ〜、なるほどね、そっけないみたいな?」

「分かっててやってたのか・・・」

シンラが脱力する。

そうこうしているうちに、戦闘訓練場に着いた。

「は〜い授業を始めるぞー」

戦闘科担当のサラの一言から、授業は始まる。

始めに授業の内容について、大雑把な説明を聞き、それぞれが訓練に入る。

「今日は2限分タップリ使えるからな〜アップ終わったらトーナメントやるぞー」

「よっしゃ」「やるぞ!」「おぉ」

あちらこちらから、意欲とやる気が満ち満ちた声が聞こえるなか。

「マジかよ」

そんな中サクヤのテンションはだだ下がりだ。

普段から無いやる気を更に無くし。

普段から低くいテンションを、更に低くし。

普段あまり自分を出さないサクヤは、この時ばかりは自分がいかに戦闘訓練をしたく無いか、全力でアピールしていた。

「まーそーいうなよ〜」

サラが生徒に対してと考えると、少々軽すぎるノリでサクヤに話しかける。

「お前本気でやりゃ本当は強いだろ、ランキング戦とかは上手く手を抜いてるっぽいけどプロをナメちゃいかんよ?私の見立てじゃ学園内50位も夢じゃない」

鬱陶しい教師の無駄に性能のいい観察眼に、サクヤは溜息をつく。

「確かに適当やってますけど、学年50位は流石に無理ですよ」

自分の手抜きをあっさりと認めたサクヤは、サラに背を向け歩き出そうとし・・・

「まー待て、話は終わっとらん」

サラに肩を掴まれ、歩行を遮られる。

無視して歩き出そうとするがなかなかどうしてサラは女性だというのに男であるサクヤが力で負け、完全にその場から動けない。

「あの先生、歩けないんですけど」

サクヤはとぼけて言うが。

「当たり前だろう歩けなくしてるんだから」

そう言うサラにサクヤは溜息をつき。

「なんですか?」

少々の嫌な予感を感じつつも質問をする。

「ランキング戦とか別にどうでもいいが私の授業で適当な事をするのは許さん、今回のトーナメントで10位以内に入らなかったら単位落とす」

「は?何言ってんですか、あんまりですよそんな職権乱用・・・何でもないです」

サラの言葉に講義しようとしたサクヤはサラのこめかみに立った青筋と、漏れ出ている魔力により一切の抵抗を諦めた。



「は〜・・・」

遂に自分の試合が来た。いや、来てしまった。

サクヤは顔をいつも以上にどんよりとさせ、溜息を吐いた。

相手は・・・

名前は知らないが女子だ、黒髪のセミロングで身長は低め。試合への緊張によりもともと小さい体を更に小さくし、小動物のような雰囲気を出している。

(緊張しているか・・・見た感じ周りからの声援にもプレッシャーを感じているな)

サクヤは相手を観察しつついかに早く試合を片付けるか、頭の中でシュミレーションをしていた。

「はい、じゃあお互いに挨拶して〜一定の距離を取ってカウント10で試合開始」

サラの声により、二人は軽く挨拶をする。

「サクヤ君だよね、あの、よ、よろしく」

「・・・」

サクヤは相手が自分の名前を知っている事に少々驚いたが、いつも通りの会釈で挨拶を済ます。

そして一定の距離を取り、サラのカウントが始まる。

「10.9.8.・・・3.2.1. 始め!」

そして試合が始まる。

サラは制服のポケットから三本のナイフを取り出し、詠唱を始める。

【三本の剣よ我が意思のままに】

するとナイフは宙を浮き、彼女の周りを回り始める。

(物騒な術を使うな、魔力適性はベクトルってとこかあの鬱陶しい戦闘科教師と似てるな、まぁこれなら瞬殺って事はないだろ)

サクヤは冷静に分析をすると詠唱を始める。

【我が力を解放】【かの者の心に苦痛を】

「!」

すると、対戦相手の表情がサッと青ざめる。一定の動きで彼女の周りを回っていたナイフは地面すれすれを弱々しく、今にも落ちてしまいそうに飛んでいる。

サクヤがやったのは自身の魔力出力を上げ魔術の威力を上げ、相手の精神を極端に弱らせることだ。

ここでサクヤが追い打ちを掛ける。

「大勢の前での試合ってのは、やっぱ緊張するよな。負けたら恥ずかしいし自分を応援してくれている人に、申し訳ないよな」

ランキング戦などではなく授業での模擬戦、サクヤの言葉は間違ってはいないが今の状況を考えると少々大げさだ。しかし、対戦相手は元々緊張しやすい上にサクヤの魔術により精神が弱っているため、この程度の言葉でも十分すぎた。

カラン、カラン、カラン

三本のナイフがついに地に落ちた。

魔術を発動し維持するのはそれなりの集中力が必要となる。今の彼女は精神状態が不安定で、その集中力を切らせてしまったのだ。

サクヤは落ちたナイフを拾い。

ヒュッ

鋭い風切り音を鳴らし、ナイフを対戦相手に突きつけた。

「ま、参りました」

対戦相手は弱々しく言い・・・

「そこまで!勝者サクヤ!」

サラの声により、試合が終わる。

シーン

試合の勝敗が決まったというのに、会場は静寂に包まれていた。

(はぁ、これだからやなんだよ)

魔力適性がある限り、勝ち方は人それぞれである。しかし、そうは言っても簡単には割り切れないのが人というものだ。

「黒適性だからって、もっとやり方はあるだろ」

「卑怯なやり方だな」

「可哀想」

あちこちから、小声ではあるが非難の声が聞こえる。

これがサクヤが試合を嫌う理由だ。

面倒臭いというのもあるが、魔力適性値が強化:10弱体化:10その他がゼロというサクヤにはこういう勝ち方しか出来ない。

人からの悪感情を余り気にしないサクヤでも、こういうのは余り好きではない。

「はぁ・・・」

溜息をつき

「悪かった、でも俺にはこういう勝負しか出来ん」

珍しく誠意を感じる声で対戦相手に声をかけ。

次の試合までしばしの休憩に入った。

文字数は少なく投稿も不定期ですが続けていきたいと思っています

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