失恋の涙 2
前回に言った通り、今回は風莉目線です。
「風莉!」
誰かが私の名前を呼んだ。声的に航佑かな。
振り返ってみるとやっぱり航佑だった。
「タオルちょうだい」
「はい!」
私はタオルを航佑に手渡した。
私と航佑は高校で知り合った。クラスが同じと言うのと部活が同じだったから仲良くなった。部活が同じと言っても、私はサッカー部のマネージャーだけど。
「はぁ~疲れた」
「お疲れ。今日の監督、ちょっと厳しいね」
「そうそう。大会が近いからってひでーよなぁ」
最近、気付きたくなかったものに気づいてしまった。
「航佑く~ん」
「あぁ由海」
「はい!スポーツドリンク」
「ありがとう」
それは私が航佑のことが好きということ。
あともう1つ。これは噂だけど、航佑と由海が付き合っているということ。
由海は私と同じサッカー部のマネージャーで、高校に入って1番最初に仲良くなった子。
最近、この2人が付き合ってるともっぱらの噂だ。
胸が苦しい。この2人を見てると涙が出てきそう。
「あっ風莉。今日、サッカー部の奴らでカラオケに行くんだけど来る?」
「航佑と由海は?」
「俺は行くけど由海は行けないって」
「ごめんね。今日お手伝い頼まれちゃってるの」
「そうなんだ。じゃあ私は行こうかな?」
「よし決定」
航佑はそう言うと練習に戻って行った。
カラオケに行くか迷ったけど、ちょっとパーッとストレス発散したい。
放課後。私はサッカー部の人たちとカラオケに来ている。先輩のマネージャーもいるから女子1人じゃないからよかった。
「ほら あなたにとって~ 大事な人ほど すぐそばにいるの」
部長がマイクを握って熱唱している。正直言って下手ではないが上手くもない。
部長は歌い終わると航佑の隣に座った。
「なぁ航佑。お前、由海と付き合ってるって噂だけどホントか?」
なんで聞くの。私はそう言いそうになった。
「噂ですよ。由海とは付き合ってません」
「ホントか?顔がすごいにやけてるけど」
「違いますってば」
「言えば楽になるぞ。俺も彼女いるから相談乗れるぞ」
「だから!」
航佑が先輩達にからかわれている。
付き合ってないって断言したのはいいけど、なんでそんなににやけるの?やっぱり付き合ってるの?由海のことが好きだから付き合ってるって言われて嬉しいの?ねぇなんで。
胸が苦しい。心拍がものすごく上がってる。
航佑、私、航佑のことが好きなんだよ?
「ごめんなさい。私用事思い出しちゃいました。なのでそろそろ」
「あぁじゃあまたな」
部長がそう言った。
私はささっと荷物をまとめてお金を出してカラオケを出た。
「うっうっ」
私の目から涙がぼろぼろと出て来た。
私、航佑のことが好きなのに。
この時、私の恋は終わった。失恋の涙ともに。
次回はリア目線に戻ります。