14:一緒に入浴しませんか♪
※今回の話でえっちな描写があります。
部屋に戻ってリエルと雑談をしつつ、室内を探る。
……と言ってもベッドは大きいだけで、他にテーブルや椅子しかないので見る部分は少ないが。
しかし、気になっている部分が1点ある。室内にある『扉』だ。トイレではない。この世界はくみ取り式なので、寝所の隣に設置するなど言語道断。
「リエルは、この扉はなんだと思う?」
「そこは私が宿を予約した目的の部屋なのです。開けてのお楽しみですよー」
ならば。期待に胸を膨らませ、扉を開けると―――
「おおおおお、天然水の風呂じゃないか!」
そこには、水が張られた浴槽が広がっていた。
この世界、浴槽自体はあるのだが、普通の純粋な水ではなく、魔力で造られた……
「はい、そちらで私がご奉仕させて頂きますから」
なん、だと……
「勇者様は、先に湯船に浸かっていて下さい」
「う、うん」
心臓の鼓動が早くなったのを感じる。背中を流してくれる以上のサービスはないと思うが、”奉仕”という言葉に過剰妄想をしてしまう。
ひとまずは心を無心にして服を脱ぐ。
「ゆ、勇者様……」
な、なんで僕はリエルが見ている前で全裸になろうとしてるんだ。無心どころか配慮の心まで無くなってるよ。「ゴメン」と誤り、浴場へと逃げるように入室し、深呼吸―――。
落ち着いた所で、服を脱ぎ、扉の隙間から服を投げ捨てようと開けたところで―――、見えた。ほっそりとした背中のラインに、ふっくらとした臀部。
胸の鼓動がさらに早くなり、思考もできなくなってくるが、なんとか理性的な判断をし、音も無く衣類を置いて扉をリエルに気付かれないように閉める。下半身に血が集中しているのが分かるが、自分の意思で制御などできない。ともかく、身体をキレイにして湯船に浸かることにしよう。
桶の中に洗浄用のスライムを生成し、自分の頭からぶちまける。
「心頭滅却・心頭滅却・心頭滅却」
……はぁ。
慣れたスライムの感触に、少しずつ心が落ち着いていくのが分かる。
「失礼します」
そんな時に、リエルが風呂場に入って来て――僕と視線が交差する。
「ああああ、あのな、これは、えーっと。アレだ。アレなんだよ」
「は、はい。あの、あの、私も、知識として知っているから大丈夫です。あ、あの私で良ければ楽に」
「はいアウトォォォ!!」
全身を朱に染め、僕の一部を凝視しながら喋るリエルにスライムをぶっかけた。
彼女の全身に薄白いスライムが付着し、肌を伝わって粘液がポタポタと地面に落ちる。
ごくり。と。思わず生唾を飲んでしまった。
リエルは今、白色の旧スクール水着のような下着を着て、身体のラインが明確になっている。普段から鍛えているため、適度に引き締まった細い身体。そのくせ女性特有のやわらかさを失っておらず、布に隠された部分を想像してしまう。そこに、白い粘液が付着するんだから……くっ。
「え、えっとね。このスライムは身体の汚れを食べてくれるんだ。色は石けんの泡を意識して白色になっているってだけで、他意はまったくなくて健全というか」
「……もう、私が身体を洗ってあげようと思っていたのに、役割が盗られてしまいました。うー、ねばねばします。それに、ちょっと気持ちが良いのがなんとも反応に困ります」
「……ごめん」
「で、でも、スライムだけではやっぱり味気ないですよね。私が、背中を流してあげますから!」
椅子に座って下さい、と誘導されるままに座って見るも、リエルは僕のほうを見たままなにもしてこない。
よく見ると、彼女は小さく震えていて――。
「無理、してる?」
「い、いえ! そんなことありません」
「……覚悟を決めてきたのに、この後に及んで緊張しちゃいまして。『期待してて下さい』とか『ご奉仕させて頂きます』とか。そんな風に言ってたのに、我ながら情けないですねー」
僕、何やってんだろうなぁ。
リエルが勇気を振り絞って色々と行動をしているのに、全部惰性で適当な返答ばかり答えてしまっている。不安な気持ちになってしまうのは当然だ。
ここは、挽回するためにも、男性としてもリードしなければいけない場面だろうと、心を奮い立たせる。
「そいやぁ」「キャッ」
スライムの触手を伸ばし強制的にリエルを椅子に座らせ、僕は彼女の背後に移動する。
「じゃぁ、今日1日、リエルにお世話になったお礼に僕が背中を流してあげるから!」
「……はい。じゃぁ、お言葉に甘えてしまいますから」
リエルは僕の方に振り向いてそう言うと、下着の肩紐を外し、腰の部分まで肌を露出させる。
「お願いします」
「うん、任せて。粘液勇者の渾名が伊達ではない実力を見せてやるからね!」
新たに手の中へスライムを生成すると、リエルの染みひとつない背中に塗りつける。
それは「はぅー、夢見心地です-」と好評のようなので、ねっとり、しっとり、執拗な迄に撫で回す。
リエルは、とても気持ちが良さそうだ。
僕の位置からは表情が見えないが、甘い吐息が聞こえてくる。
ここは、新たなる1手でさらに天上へと導くしかないだろう。
スライムの腕を生成し、リエルの肩を揉んでやる「ひゃぁ、え? なんで手が4本もあるんですか!?」と驚いたようだが「スライムだよ」というと「便利ですねー、んっ……すごく、気持ち良いですぅー、ハァァ~~」と身体を僕に任せてくれた。
猛烈に胸の膨らみを揉みしだきたい衝動が襲うが、紳士的な理性を保ち、マッサージといえる範囲で腕や足を触手で蹂躙する。
ハァハァと吐息が荒くなっていたが、この程度はセーフだろう。
「はぁ……はぁ。で、では、勇者様。今度こそ、私がご奉仕させて頂きます!」
僕からのお礼が一段落付くと、迷いを振りきったリエルに身体を洗って貰った。
背中に2つの柔らかい感触(推定B)を感じながら両手を体中に這わせられ、溜まった欲望をドバドバと放出させられました。
……僕が超えなかった一線を余裕で超えてきたから吃驚したよ。
まぁ、抵抗しなかったので連帯責任、本番行為には及んでないので、そのあたりは安心のセーフ判定。
リエルを股の間に入れて、一緒に風呂に浸かる。
心地よい暖かさが身体を包み、疲労が身体から抜けていくような気がする。
「あー、幸せです~~」
「うん、極楽極楽ーって感じだね。天然水の風呂なんて、こっちに来てから初めてだよ」
「私は、師匠と一緒に『温泉』というのが沸いている場所まで何度か行って、浸かった経験があるんですよ。はぁー。経験豊富な女性なのですよ。今度、勇者様も一緒に行きましょう」
「うん、次回行くときには僕も同伴させてもらおうかな。だが、リエルさんよ。温泉の前にキミは経験しておかないといけない風呂がある。そう、スライム――」
「もー、またスライムですか。私、スライムに嫉妬しちゃいますよ?」
そう言いながら、リエルは身体を対面になるように移動させ、僕の身体に密着させる。
触れ合っているおかげで、身体が強張っているのが分かる。潤んだ瞳で僕は射貫かれ、彼女から視線を外すことができなくなる。
「大人の魅力を演出しようと口紅を付けてみたのに、見て貰う前にスライムにお化粧落とされてしまいますし」
「……うん」
「買ったばかりの下着で風呂場に入り、勇者様が興奮してくれるかなー、とか思ってたらいきなりスライムまみれにされますし」
「うっ……ごめん」
「でも、私――、勇者様のスライム、嫌いじゃないですよ。少し前までは、ネバネバしてて嫌だなーって思ってて。勇者様と師匠が2人で盛り上がるのを見て、頭が可笑しいんじゃ無いかと思ってましたけど」
「酷いなぁ」
「今は、好きですから。ねっとりして、気持ちよいなーって。それに、勇者様から出たものだと思えば相乗効果で何でも愛おしく思ってしまいますから」
その言葉は、彼女が濁してきた『好き』という明確な気持ちそのもので。
僕がそれに対する言葉を紡ぐ前に、唇で口を塞がれた。
「私は、勇者様をお慕いしています。ですが、愛情を独占しようとは思っていません。政略的に、他国のお姫様を娶ることは確実ですし、もしかすると聖女様の婿となるかもしれません。それに、勇者様が気付かないだけであなたを慕う人は私以外にも―――」
話を続けようとしたリエルの口を、今度は僕が唇で塞ぎ、中をかき回して蹂躙する。
舌を貪ると、彼女もそれに呼応するようにこちらの口に侵入してくる。
艶やかな嗚咽が漏れ、僕らの世界が濡れた音だけになり、混ざり合う。
「んっ………あっ」
口を離すと、彼女は未練がましい表情を僕に向ける。
続きは後だ。先に、言わなくてはならない言葉がある。
「リエル僕から言わせて……大好きだ。キミは、可愛い。僕だけの女性になって欲しい、一緒に居て欲しい」
「……はい、喜んで」
それから―――、僕とリエルは激しく求め合った。
描画できないほどイチャイチャしたので、内容は割愛する。