〜出会い〜
今回からタルトの修業の日々を書いていきます
ではでは始まります
「確かここのはずなんだよなぁ」
アースタットのギルドで皆と別れた後タルトが向かったのは、アースタットから東に3つ町を越えた、ヤークスという町
ヤークスには巨大闘技場があり、よく大会等が開かれている
そしてヤークスは無法者の集まる地としても知られている
だからタルトはあえてこの危険なヤークスを選んだ
ヤークスと同じような闘技場なら色んな町にある
だがここを選んだのはさっき言ったとおりここは無法者の町
ならば無法者にもまれながら生きている人達が集う場所…強い人達が集まる場所
だからタルトはこのヤークスの闘技場を選んだのだ。
「あ…あったここだな…えっと大人一枚」
タルトは会場入口で入場券を買って会場に入った、するともう試合は始まっていた
まだ第一試合みたいだが30秒経過している。
試合のボードを見てみると
緋華 椛 Vs アミュー・ライナー
の試合だった。
現在優勢なのは大柄で大剣を振り回すアミュー選手だが試合はどうなるかわからない。
結果、椛選手が得意手の分身の術?と言うので倒した。
でもタルトは分身の術というのははじめて聞いた。
「少しかっこよかったかも。」
第二試合
クラウス・ハワード Vs
バジュール・ナリハ
の試合
この試合はすぐに終わった
はじまってすぐに抜刀しながら走ったバジュール選手が滑り転倒、それを勝機とクラウス選手が押さえ付けた
第三試合
シリウス・リターナー Vsアリエル・マスフィート
の試合…
確かアリエル選手は二年連続優勝してる最有力優勝候補…
この試合見逃せない
試合は一瞬だった
誰も目で捕らえることが出来ないくらいに…
もちろん…僕も見えなかった
開始のゴングがなった瞬間には相手が吹っ飛ばされ立ち上がりすら出来なかった
そして第四…第五と進み
第一七試合
アスマ・コルタイン Vs
アリエル・マスフィート
アリエル選手の第二試合…
どうもアリエル選手は刀を使っているみたいに見える、だが太刀筋を見ることも、抜刀の瞬間を捕らえることも無理だった。
第二六試合
キサラメ・ノワ Vs
アリエル・マスフィート
の試合
アリエル選手は刀だけではなく魔法も使うようになりはじめた。
刀に炎を纏わせたり、炎を撃ったり、色々な魔法を使っていた
そして、決勝戦
緋華 椛 Vs アリエル・マスフィート
アリエル選手は笑いながらじわじわと緋華選手を追い詰めて行くが緋華選手も忍術というあたらしい魔法を使っていた。
二人の試合は皆からすると白熱している様に見えてはいたが実際には圧倒的に緋華選手が追い詰められていてなすすべもないくらいみたいだった。
最後はアリエル選手が緋華選手の後ろを取り勝ちになった…
僕はアリエル選手に頼むために下の選手出入口に待っていた…
5分くらいすると優勝カップを手にしたアリエル選手が出てきた
「あっ…あのアリエルさん」
「ん?あぁ取材は受けないよ!」
「いや…取材じゃないんですが」
「じゃあ…サイン?」
アリエルさんは懐から黒色のマジックを取り出し蓋を取る
「いや…じゃなくて、僕を弟子にしてくれませんか?」
その言葉の途端アリエルさんはフードから覗かせる口を曲げた。
「なら、ついて来なさい。テストをしてあげます。貴方が私の修業に相応しいか」
タルトは頷きアリエルさんについていった。
アリエルさんに連れて来られたのは一戸建ての家
「帰ったよー」
「お帰りなさい…アリエル師匠…あら?そちらは?」
「ぁぁ…えーと」
アリエルさんと、台所で家事をしていた女の人が困ったような顔で僕を見つめてくる
「あぁすいません僕はタルトです…アグスタ=ルートポーンていいます。」
僕が自己紹介すると家事をしていた女の人が先に自己紹介してくれた
「私はシエル。シエル=アイナです」
シエルさんが笑いかけてくれる
「改めてアリエル=マスフィートです」
アリエルさんは口元だけ笑ってくれた
二人とも親切そうな方達だった
「えと…それでテストと言うのは…」
「なに…簡単よ…シエルと模擬戦を行ってくれ…で気に入れば採用する。おけぇい?」
「はい?」
タルトは目を丸くした。
戦えと言われた相手が明らかに戦えなさそうな女の人だったからだ
「だからぁこのシエルに勝てたらいいよってこと、いいかな?」
「あっ…はい!」
三人は家の近くにある薄気味悪い森に入って行った。
少し広い場所でアリエルさんは指示を出した
「よし、んじゃあ二人とも本気でね!シエルも弱そうだからって手抜いたらダメだからね!」
いきなり弱そうって言われた…
タルトは少しショックを受けた
「もぅ…わかってますってば、それよりタルト君は女だからって気にせず来て下さいね!」
「はい」
「ではLady FIGHT!!」
僕は、太刀を使うから間合いまでは詰めなければならない。
一足、二足と間合いを詰める。だがシエルさんも魔法主体なのか大きな杖を構えて、こちらの様子を伺っている
【……魔法使いに長期戦は不利…なら最初の抜刀で決めるしかない。】
僕はシエルさんに向け一気に駆け出した。
余りに予想外だったのかタルトのその行動にシエルさんは驚き一瞬だが反応を鈍らせた
だがやはりそこは闘技大会連続優勝者の弟子…一歩後ろに飛びのくと、魔法の永昌を始めた。
綺麗な歌声でずっと聞いていたくなったが、流石にそんなことをしている暇はない…僕は一降り一降りを大きく前に踏み出し、出来るだけ長距離を当てられる様に振った。
だがシエルさんもそれには早くに気づき当たらないように一歩一歩と下がりながら避けていく。
それと共にちゃくちゃくと永昌が終りに近づいていく…
【くそっ、全然当てられない…このままじゃ永昌が終っちゃう。】
「あの歌は…フム、一発でカタをつけるつもりだな。」
キュアァ
チビが小さく鳴いているのをアリエルさんは頭を撫でた
「明けな夜の、散り散り見る村雲のも、御身の御意…垣間見るなり、契り逢わさん…」
シエルさんの歌が終わった瞬間周りの全ての音が消えた
シエルさんの周りだけ白い光に包まれ、まばゆいばかりに光り輝き始めた。
その直後天空から無数の光の柱が雨の様に降り注ぎはじめた。
タルトは必死でそれらを避けつづける。
タルトの体力は避ける毎にどんどん消耗していく
だがタルトは無意識の内に落ちてくる柱にパターンを見つけた。
魔法使いは強力な魔法を使うことが出来るが、発動してる間は完全に無防備になる。
もし魔法を使いながら武器を振るうことが出来るなら、それは魔法使いでも剣士でもない。
間をとった聖騎士くらいだ。
聖騎士でもこの魔法を使いながら動ける人はまずいないだろう。
タルトはみつけたパターンに自分の行動を合わせ、一気にシエルさんに詰め寄り、抜き撃ちの抜刀を浴びせた。
魔法使いにはもちろん魔法障壁という薄いが堅いバリアを持っているので本体へのダメージこそないものの貫通した衝撃は直に受ける。
シエルさんも切った箇所に傷はないが、タルトの振るった剣に吹き飛ばされた。
「はぁはぁ…勝った?勝ったんですか?」
パチパチパチ
後ろから拍手をしてくれているのはアリエルさんだった。
「タルト君すごいね。シエルのライン・バウトを全部避けきるなんてね…いやぁ恐れ入ったよ。まぁそんくらいじゃなきゃ教えがいないけどね!」
「え?じゃあ…」
「うん…合格!自信持ってやったらいいからね!まぁ今日は遅いし、明日から私とシエル、んでタルト君と三人で頑張ろう!」
「はい、お願いします!」
「あ〜あぁ、バウト避けられたかぁ〜。う〜ん、自信あったんだけどなぁ…」
シエルさんがしょんぼりして戻ってくる
「シエルもなかなかだったよ?魔法永昌の時の受け流しとか、確かに魔法は失敗したけど、次から頑張ればいいから…ねっ?」
「はい…えと頑張ります。あのタルト君もこれからよろしく、一緒に強くなってこぅ!」
「はぃ、よろしくです、シエルさん」
「んじゃとりあえず家に入んなさい。風邪ひくわよ」
三人はアリエルさんの家に戻り、シエルさんの作った晩御飯を食べた。
みんなと別れ一人一人別行動で自分なりの戦い方を見出だす日々が今始まった
第八章 END
感想とか書いていただけると作者は感激します(T_T)
こっからまだまだ修業は続いていきますのでよろしくお願いします(>_<)