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ある人、探してます  作者: 亜差覇蚊
33/34

~強襲~

前回更新から1年くらい


誠にもうしわけないです(ーー;)

これからは海外出張とかがないかぎり10日更新を目指します


私なりに頑張ろうと思いますのでお付き合いお願いします

 広い草原に響く鉄がかちあう音。大きな鳴き声に合わせて幾人かの人の掛け声。

 時々混じる銃声が戦っている事を物語っていた。


「タルト、そっちや」


 ハヤテは、鎌を振り払いながらタルトに声をかける。

タルトは違う場所で戦っているようでハヤテの声に空を見上げた。


「了解! ガイルさん」


「おぅ」


 タルトは、近くに居たガイルと立ち位置を入れ換える。

 背の小さなタルトが上空、その逆に背の高いガイルが地上の敵と戦うのは非常に効率が悪い。

それをタルトとガイルは咄嗟に判断し、行動に移した。


「タルト君、手伝うよ」


 そこへ更にレインが加入する。

 レインもついさっきまで違う場所で魔獣を相手にして居たが、こちらにきたことで戦いが終わったことを語っていた。


「レインさん、できればガイルさんの手助け願えますか?」


 レインは、タルトの見上げる先を同じように見つめる。


「りょーかい」


 レインは小さく頷くとホルスターから二丁銃を取り出す。

手際よく装弾数を確認し、ガイルの元へ走り出す。


 タルトはそれを見送ると愛刀「風鈴」を構えなおし、せまりくる狼型魔獣ウルフルに向き直る。


「ウルフルは動きは早いけど……」


 飛び込んできた狼型を横に飛んで避ける。


「攻撃は単調!!」


 タルトは飛びすさった姿勢から体を捻り、足を出す勢いに変える。

そのままの勢いで、刀を振り抜く。

その斬痕からはウルフルの血が吹き出した。


「初撃は入った」


 タルトは命中確認を行うと更に一歩大きく踏み込み刀を大きく真逆に切り払う。

そのまま刀を頭上に持ち上げる。


「一閃!!」


 振り下ろされた一太刀は、振り向きかけたウルフルの頭部を切り裂いた。

そのままウルフルは生命活動を停止させた。


「討伐完了」


 タルトは、風鈴についた血を払うと鞘に納めた。


「タルト〜」


 そこにハヤテとガイルにレインが合流する。


「後はキールたちだな」

 ガイルは広い草原の先を見つめて呟く。

今タルト達がいるのはアデンに向かう途中にある。

草原の真ん中あたり

そこでアデンの近くのケシラム山から降りてきた魔獣に奇襲を仕掛けられ、キールとフィレーヌ、シエルと離れ離れになっていた。


「キールさんたちが心配ですね。向こうの方が敵の数多かったはずですし」


「それだけやない」


 ハヤテが一際協調したかと思うと歩きだしながらつぶやいた。


「あいつらが向かったんはアデン方向や。ケシラム山に自分から近づいてるんや」


「それなら尚更急がなきゃ」


 レインは慌てて走り出す。


「ガイルさん、ハヤテ行こう」


 タルトもガイルとハヤテを促し、キール達の元へとむかいだした。



「フィレーヌ。そっちは大丈夫か?」


 キールの声が響く。


「私達はなんとか……。それより兄さんの方こそ大丈夫?」


 フィレーヌは息も切れ切れに返答する。

その横では急いで魔法を作り出しているシエルもいる。


「はっ、こんなもんなんとか……なんだろ!!」


 キールは片方の槍で魔獣の攻撃を捌くと、もう片方の槍で攻撃する。

その攻撃は的確に魔獣の体勢を崩していた。

だがそれでも反撃出来ないのは圧倒的な戦力差だった。


 タルト達とはぐれてしまってから3人しかいない。

それに対して魔獣は次から次と数を増やすばかりだった。


「畜生。これ以上はマジであぶねぇかもな」


「兄さん!!」


 フィレーヌの声にキールは気を引き締める。

そこへ一匹の魔獣が突っ込んでくる。


「うぐっ、こんの……やろう」


 キールは、同じように攻撃を捌こうとして槍を持ち直した。

そこへ別の魔獣からの攻撃が入り、手を滑らせ片方の槍を手放してしまった。


「しまった!!」


「兄さん!」


 フィレーヌが叫ぶと同時。

シエルを中心に光の円陣が描かれた。


「任せて!セイムリバイント」


 シエルの足元に光っていた円陣が一気に広がり魔獣を跳ね返す障壁となった。


「すまねぇな……。まだまだひよっこってな」


 キールは円陣の中心に寄って行く。


「この障壁も長くはもたないですけど……、タルト君達任せになりますけどね」


 シエルが辛そうな表情のまま付け足す。

実際、時間が経つにつれて魔獣の数が一層増えてきていた。


「ガイル達が来てくれたらだいぶん状況も変わるんだろうけどな」


 それからしばらくして障壁はうっすらと効力を失ってきた。

 シエルの魔力が限界に近いようで、シエルは息をするのも辛そうな状態だった。


「フィレーヌ、前に出れるか? シエルが限界間近だ。出れるならツートップで行くぞ」


「大丈夫。だいぶ回復したし、今ならいけるよ」


 フィレーヌは自身の槍を構え直すと、少し広く間合いを取るように魔獣を相手に円を描くように障壁を出る。


「シエル。一旦障壁を解除して休憩して。兄さんはシエルの援護お願い」


「わかった。フィレーヌ、無茶だけはするなよ」


 キールはシエルを立たせると目立たない岩の裏にシエルをもたれかけさせた。


「シエル。俺も行くが、何かあったらおもいっきり叫べよ」


 シエルはうっすらと目を開けて小さく頷いた。

 本当に叫ぶ程の気力があるかはわからないが、最悪それに賭けるしかなかった。


「行ってくる」


 キールは岩影から低姿勢のまま走り出す。


「少しでもシエルから遠ざけてやる」


 キールは眼前に一匹の魔獣を見据えていた。

まだ察知されていないのか、魔獣はフィレーヌの姿ばかりを追い掛けている。


「俺のこと忘れんなぁ」


 キールは叫ぶと、目一杯の力で魔獣の心臓目掛けて槍を突き立てた。

 魔獣のけたたましい叫びと夥しい量の返り血を浴びる。


「まずは一匹!!」


 キールは槍を引き抜くと、すかさず次のターゲットを捕らえようと顔を別の方へ向けた。

 直後、吹き上げる返り血の中から同型の魔獣が前足を振り上げながらキールに迫った。


「後ろにもう一匹……くそったれ!!」


 キールは右の槍で薙ぎ払うが、魔獣の胸元を切り裂いただけで対したダメージにはならなかった。

魔獣は怯むこともなくキールに突進した。

 キールの体は軽々後ろの岩肌に背中を打ち付け、軽い呼吸困難を引き起こした。


「畜生……こんなとこで……」


 眼前にゆっくりと迫り来る魔獣。

その口からは唾液が滴っていた。


「俺を食うつもりかよ……俺なんか食ったところで美味くなんかねぇのによ」


 キールは最後の力を振り絞り、左の槍を顎目掛けて振り上げる。

角度からすれば脳天貫通になる。

 だが魔獣の反応も早く、キールの攻撃は鼻先を掠めただけだった。


「最後の攻撃もダメか……笑えねぇな」


 キールは、振り上げた槍を降ろした。

槍が岩肌に当たる音が良く響いた。

 だが響いた音は一つではなかった。

いくつかの音が重なった。

 そのうちの一つがフィレーヌのだとしてもいくつか多かった。


 キールが顔をあげると、対峙していた魔獣が口から唾液を流したまま硬直していた。

キールは何故噛み付いて来ないのかと思っているうち、また鋭い風切り音が響いた。

 今回は何となくではなく、はっきりと


「今の音は……スナイパー」


 キールの声と魔獣にヒットした音が重なる。


「誰かが援護してくれてるのか?」


 キールは暗闇に目を凝らすが、スナイパーの銃口すらも見えない。


「誰かわからないが恩に着る」


 キールは暗闇の方に小さく礼をすると、踵を返しフィレーヌの元へと走った。


 フィレーヌと合流してまだまだ多数いる魔獣と戦いを始めた。

 だがさっきと違うのは、かなり凄腕のスナイパーが手を貸してくれていることだった。

そのスナイパーの腕はかなりの物で、ピンチになった時は的確にその魔獣の頭を打ち抜いてくれていた。


「これならいけるぞ。フィレーヌ」


「うん。後3匹」


 キールとフィレーヌは同じ武器を振り回し、残った魔獣に攻撃を浴びせはじめる。


 数が合えばそれなりに同等の戦いが出来る。

キールとフィレーヌはコンビネーションのよさを見せ付けるかの様に舞い戦った。


「ラスト!!」


 キールの背面突きが最後の一匹の心臓を貫いた。

魔獣は血を吐き、キールとは逆方向に倒れた。


「ハァ、ハァ……ハァ。終わった。フィレーヌ、大丈夫か?」


 キールは槍を背中に背負うと息をあげていたフィレーヌに近寄る。


「私は大丈夫。シエルは?」


 キールとフィレーヌは岩影を見つめる。

そこからは少しだけ体を傾け、こちらに向かって手を振るシエルの姿が見えた。


「なんとか……三人とも無事か」


 キールは心底安心したのかその場にへたりこんだ。

フィレーヌも同じ様子で座り込む。


 二人でそうしていると遠くからキール達を呼ぶ声が聞こえてきた。


「今更きやがったか」


 キールは皮肉に笑いながら言った。

フィレーヌは小さく笑うと合図を送るように声を上げた。


 フィレーヌの声を聞いたタルト達が合流する。


「キールさん達、大丈夫ですか?」


 タルトが心配して声をかけてくる。


「若干危なかったが、誰かしらねぇスナイパーが助けてくれてよ。気づいたら気配も消えてたから、もう行っちまったんだろうけど。そいつのおかげで助かった」


 キールはまた暗闇の方を見つめる。

そこに居たはずの誰かに心から感謝の念を送る。


「よっし、アデンまで一気にぶち抜くぞ」


 いつもならガイルの役。

だが今日のキールははしゃいでいた。


「お前、俺の台詞を取るな!」


 案の定、ガイルがキールに突っ掛かる。

小さな笑い声の中でキールとガイルが小突きあいを始める。


 それでも笑いだけは絶えないのが、キール達のパーティだった。




久しぶりの更新で元から低かったレベルが更に低くなったように実感しました


これからはまたレベルを戻せるように頑張ろうと思います

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