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3-7

「せっかくですので、お風呂でもどうですッ?」

みやこが提案してくる。

「風呂か…いいな」

そういえば、全然入ってない気がする。

「温まってるので、良かったら是非」

みやこが勧めてくれる。

「そこまで言うなら」

俺は甘えて、入ることを決める。

「一緒に入る?」

悪戯っぽく、あらいが俺の目を見て言ってくる。

「ほ、本当?」

俺はちょっと期待した目であらいの方を見てしまう。

まるで思春期の少年のようだったと思う。

「冗談よ」

あらいはさっと居なくなってしまう。

「はぁ…」

分かってたけれど、少し落ち込む。

仕方ないので1人で入ることに。

「風呂はその道を真っすぐ行けばつくと思いますよ~」

みやこが場所を教えてくれる。

「ありがとう」

特に迷うことなく、脱衣所に入り服を脱ぐ。

どんな風呂なんだろうと期待に胸を膨らませながら。

これだけ豪華な家なのだから、広いかもしれない。

なんてことを考えながら浴槽へ向かう。

すると想像通りというべきか、

かなり広い浴槽だった。

1人ではとてもじゃないが使い切れない程に。

手を入れて湯を確認する。

すると、丁度いい湯加減。

しかもジェットバスで、一般の家庭には無いモノだった。

俺は足を入れて次第に身体全体を浸からせる。

そうしていくと、身体がどんどん温まってくる。

それはとても気持ちが良いのだが。

少し問題が、頭がぼーっとしてくるのだ。

のぼせたのかもしれない。

そんな時、ふと、あるものを見つける。

何だろうと思い、開けてみるとそれは冷蔵庫だった。

風呂場と冷蔵庫が一体化してるなんて珍しいと思う。

中にはシャンパンが入ってる。

ラベルが張ってあり、ゲスト用と書いてある。

グラスも入ってて冷えていた。

気が利いてると感じる。

シャンパン以外にもカフェインレスの茶や、

オレンジジュースなども入っており、

アルコールが苦手な人にも対応してると思えた。

せっかくなので、遠慮なく飲もう。

ゲスト用と書いてあるのだから大丈夫だろう。

俺はグラスに入ったシャンパンをぐぃっと飲む。

湯で火照った身体が冷えたシャンパンに漬かったような気がした。

浴槽からは外の景色がよく見えた。

ガラス窓を開けると、中庭には一本の大きな木。

春には梅の花が咲き、秋には紅葉の傍で淡い赤色のハナミズキがそっと花を咲かせるのだろう。

月明かりに照らされたその姿は、どこか仄かに香って見せた。



風呂から上がった俺はリビングに向かう。

「上がったのね」

あらいはシャンパングラスを持っていた。

中にある液体を飲むわけでもなく、

回してるだけだった。

「無駄なことしてるな」

「そうね」

あらいはそんなことを言う。

「次、入ってこいよ」

俺は風呂を勧める。

「ねぇ、今日はどうだった?」

でも、あらいは別の話をしてくる。

「そうだな…楽しい一日だったと思うが」

「そうね」

あらいは何処か呆れるような感じだった。

「可笑しいか?」

「えぇ、とっても」

あらいは断言する物言いだった。

「随分と言い切るな」

キツイ言い方に聞こえて、俺は少しむっとする。

「だって、そうでしょ。家の灯りをバンバンつけて、BBQで煙をもうもうと立てながら楽しむ。

敵に襲ってくれって言ってるようなものじゃない」

「今は生きてるじゃないか」

「そうね」

「戦いに集中するのもいいけれど気を張ってばかりなのも良くないだろ?」

「それで死んでも?」

「楽しかったって思えるからね」

「そうね、貴方はそういう人だから」

「俺たち…やっぱり…何処かで会ってるんじゃないのか?」

あらいの言い方は長年の知り合いに対しての言葉にしか聞こえなかったからだ。

「私、風呂入るから」

まるで追及を逃れるように去る。

「あらい」

俺が追いかけようとすると、あらいがグラスを渡す。

「残り、あげる」

「…」

俺はグラスに入った液体を飲む。

少し酔った気分になるのだった。

「レン君?」

みやこに見つかる。

「あぁ、風呂良かったよ」

「それは何よりですッ。

寝室があるので、今日はもう、そこで泊まっては?」

「いいのか?」

「えぇ、何日でも構いませんよ」

「なら、そうさせてもらおうかな」

「では、こっちですッ」

俺はみやこに案内されて寝室に向かう。

そこにはキングサイズのベットが置かれていた。

台に置くだけでコードを繋がなくてもいい充電器があり、最新の設備だと思えた。

「ここも豪華だな」

「後であらいちゃんも通しますので、お先に休んでてください」

「そうさせてもらう」

みやこが扉を閉めて部屋を出る。

俺は1人きりになり、ベットで眠るのだった。

バトルロイヤルの世界で俺は随分と油断してる気がした。安心しきって眠ったのだから。




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