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3-2

俺は気になったことを尋ねる。

「それにしてもどうして煙が立ち上ってたんだ?」

「んふふ…気になりますか…気になるでしょう…教えてあげましょう!」

みやこは何だか焦らしてくる。

「早く教えてくれ」

俺は気が急いて尋ねる。

「それでは、教えてあげましょう。

じゃ~ん…どうぞ!」

煙の理由。

それは、焼き肉だった。

網の上に肉が乗せられており、

焼いてる最中だった。

金属の箱の中に炭が入っており、

これで焼いてるのだろうと思った。

「殺されるわよ」

あらいが冷静に伝える。

「へーき、ですッ!」

しかし、みやこは気にも留めてない。

「根拠は?」

あらいが尋ねる。

「ありません」

しかし、みやこはあっけらかんとそんなことを言うのだった。

「…なるほど」

あらいは頭を抱えていた。

「さぁ、さぁ、焼き肉パーティーの時間です。食べましょう。平和の時間を謳歌するのですッ!」

みやこは焼いた肉をトングを使って差し出す。タレは何処からか俺たちと同じようにくすねてきたのだろう。塩レモン、しょうゆベースのフルーツソース、辛みそなどがあった。

「えっと、それじゃあ」

俺は差し出された肉を食べようと思った。

食べる方法は箸。

敵の目玉に突き刺そうと思えば突き刺せるが、それは考え過ぎだろう。

武器認定はしなくていいと思う。

そこまで攻撃性があるのならば、

素手でも首を絞められるのだから武器の有り無しを判断する基準を甘めにしても問題ないだろうと思う。

それよりも、

戦闘をし終えたばかりだし、

腹が丁度減ってたからいい。

俺は肉を口に運ぼうと思う。

「私が、先に食べる」

あらいは強引に俺から奪って肉を食べる。

「そんなにがっつかなくても、他に沢山あるんですよ?」

みやこはそんなことを言う。

「…問題ないわ」

あらいはもぐもぐと食べるのだった。

「そんなに腹減ってたのか。

リュックに仕込んでるから言ってくれたら食料を分けたのに」

「そういう事じゃないんだけど…まぁ…いいか」

あらいはそんなことを言う。

「じゃ、俺もいい?」

「はい、遠慮せずどうぞ」

みやこは焼いた肉を差し出す。

「…」

俺はもぐもぐと食べる。

「どうですか?」

みやこは俺の顔を見て来る。

「美味いよ」

「本当ですか、良かったです。

肉が嫌いな人も居るんで、どうしようかと思ったんですが気に入って頂けたようで何よりです」

「タレがいいね」

俺は塩レモンで食べる。

「キャベツに、ナスに、トマトもありますよ~豚肉、牛肉、鶏肉なんかも取り揃えてるんで遠慮なく食べてください」

クーラーボックスから色々と取り出す。

当然、武器は入ってない。

間違えなくみやこは本当に本気で、

戦わない選択をしようと思ってるのだろう。

だが、ここで疑問に思う。

何故、その考えに至ったのかを。

「なぁ、みやこ」

俺は尋ねる。

「なんですか、おかわりですか?

食いしん坊ですね。いいですよ、そんな人でもしぃは受け入れるですッ!」

「いや、おかわりじゃなくて」

俺は否定する。

「それじゃ、なんですッ?」

「みやこはこの世界がバトルロイヤルだってのは知ってるんだよね」

「はい、勿論です」

「それが殺し合いのルールだってことも分かるんだよね」

「はい、だからこそ平和を

訴えてるんですッ」

「何故だ…敵は殺す気の筈だ…怖くないのか?」

「見てください、これを」

みやこは手を広げる。

「えっと、俺にはよく分からない」

彼女の伝えようとしてることの真意が分からなかった。

「食べ物が豊富でしょ?」

「あぁ…そうだな」

「この背中は参加者の数です」

「それも知ってたのか」

「数える程度の数でしょう?」

「まぁ…な」

「元居た世界では80億もの人間が混在してました、そんな世界で話し合いは現実的ではない。さすがのしぃもそう思うですッ。

でもですよ、たった数人ならば話し合いの可能性があるのではないですか?」

「それは」

「戦わないで寿命を全うするまでここで皆で生きる、それが幸せだと思いませんか?」

みやこは本気で信じてるようだった。

戦わない選択肢を実行できると。

「俺は完全には信じきれない」

だって、俺は悪意ある側の方だから。

そのことは口にできなかった。

「いいんです、今こうして焼き肉をしてるじゃないですか。しぃの考えは全くの無駄じゃない。そう思えるんですから、そう思わせてくれただけで、しぃは貴方たちと出会うことに意味があった」

「みやこ…」

彼女はとても純粋だと思えた。

背中に生えたガラスの羽が、

本当の天使に見えた。

「家に来ませんか?」

みやこは突然そんなことを言い始める。

「家?」

俺は尋ねる。

「はい、この近くなんですよぉ」

みやこはそう答える。

「悪いけど、遠慮するわ」

あらいはそう返す。

「そう…ですか」

みやこは残念そうだ。

「誘ってくれたのに、ごめんなさいね」

あらいは謝る。

「いえ、いいんです。

今日はもう遅いですから、これぐらいにしてBBQを終わらせましょう」

もうすでに夕方になっていて、それはオレンジ色だった。

みやこは片付け始める。

「それじゃ、私たちは行くから」

あらいは公園を離れる。

「っと、手伝わなくていいのか?」

俺はあらいを追いかける。

「暢気に片付けをして狙われたらどうするの。みやこが敵じゃないってのは理解できるとして、他の敵が狙ってる可能性だってあるのよ」

遠く離れたから聞こえないと思ったのか、あらいはそんなことを言う。

「それは、そうかもだけど。

ほら、少しは仲良くなったんだし。

手伝っても良かったんじゃ」

「私はまだ警戒してる。

本気で純粋な人間が居るとは思えない。

家に誘ったのだって、最初は油断させておいて家で殺す気かもしれないもの」

「あの子が本気でそうすると思うのか?」

「えぇ」

あらいは断言する。

「ちょっと考えすぎだと思うが」

「私は最悪の考えを常に持ってるわ。

そうしないと生き残れないもの」

「俺はそこまで賢くなれない」

「だから私がそうしてる」

「あらいは徹底してるな」

「えぇ、そうかもね」

「分かったよ、何をすればいい?」

「様子を見たいわ、近くに家があるって言ってたから片づけをし終えたら家に戻る筈。その瞬間を見ましょう」

「後をつけるのか?」

「そうね」

「敵じゃなかったら無駄な行為だな、誘ってくれたのに」

「無駄な行為を重ねるからこそ生存率があがるの」

「分かったよ」

「それじゃ、見張りの場所を探しましょう」

「了解」

俺たちは公園の周囲を探索するのだった。







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