第22話
熱っつ。
「熱ッ」
「うわっ」
体が、まるで燃えてるみたい。
「ファニー、ごめんね」
「うわぁぁ。ファニーちゃんをイジメるな」
「よ、妖精?めずらし、ってそうじゃなかった。ファニー本当にごめん。そんなつもりじゃなかったの」
「わ、わかってるよ」
突然、炎の明かりが大きくなった。だからつい、メグのことを突き飛ばしちゃって、ア~ちゃんが割って入ってきて、でも今は平気。
「も、もう大丈夫」
「ホント?良かった。驚いちゃってさ」
「ルイスが一緒ってことに?」
「うん。だってあの2人、昔から仲悪くて喧嘩ばかりしてたから」
そ、そうなんだ。まぁ意見が違うっていうか、正反対なことは多いけど、でも仲良くも見えるし、ルイスとリズさんって本当はどんな関係なんだろう。
「ねぇ、リズさんってルイスのことどう思ってるの?」
「どうって。大嫌いね」
「でも、よくルイスに抱きついてるみたいだよ」
「はっ?」
まぁそうなるよね。だけど本当のことなんだよね。初めて会った時に私の目の前でいきなり抱きついてたし、地下都市に着いてからも抱きついているのをア〜ちゃんが見てるし、そのことを話したらメグの目が真っ赤になっていく。
「お姉ちゃんって、そんなことしてたの?」
「えっと。ルイスに聞いたら、いつの間にかそうなってたって」
「はぁ」
「賢者って、みんなそうなの?」
「はっ?まってまってまってまって。違う、違うって。誤解よ誤解。そんなわけないじゃん。お姉ちゃんが、お姉ちゃんは、ヘンタイ。そう、私のお姉ちゃんはヘンタイなのよ」
ヘンタイなんて、ア~ちゃんと同じことを、ものすごい真剣な顔で言っていて、それがなんだか、じわじわくるっていうか。
「ぷっ、あっ」
「あはっ。ファニーって笑うと可愛いんだね」
「いや、これは、つい」
「ふ~ん」
その顔は、なに?それに、その、ほっぺたがつままれてるんですけど。
「な、なんれすか~?」
「もっと笑ってよ~。ほらほら、ヘンタイのお姉ちゃんを思い出してさ」
「ひっぱらないれ~」
痛くはないけど、ほっぺたをつままれたままだとしゃべりにくいというか。それに姉のことを悪く言うのは良くないっていうか。
「こら、ま~た表情が重くなってる。楽しいことだけ考えないと」
「な、なんれ~」
「なんでじゃないの。ずっとそんな顔してたら、シワだらけのシワシワシワシワになっちゃうでしょ」
そんなにひどい顔してるのかなぁ。まぁ、つい色々と考えちゃってはいるけど、だってそうしないと~~~~てててて。
「いらいよ~」
「だって、シワシワするから」
「ん~」
「わたしも~」
「ん~~~~」
ア~ちゃんまで一緒になって同じことしてくるし、も~こうなったら。
「ん~~~~~~~~」
「へへ~ん。そんなんじゃ届かないよ~だ」
「てつだう~」
「あっ、それはずるい、ま、待って」
こっちだってメグに仕返ししちゃうんだから。ア~ちゃんも手伝ってくれたし、逃がさないよ~だ。
「ふふ~ん」
「へ~やるやない。おのおの~」
「む~~~」
なにこれ?でも楽しい。それになんだか、メグのほっぺたって触り心地が良いっていうか、クセになっちゃいそうっていうか。
というわけで、しばらくつまみあいになっちゃった。
「いてててて」
「いたそ~。ファニー、ほっぺた赤いよ?」
「メグだって真っ赤じゃん」
やりすぎたかな。絶対やりすぎた。まだほっぺたがヒリヒリするし、メグのほっぺたも赤くて痛そう。
「え~?そんなに赤いの」
「真っ赤だよ?」
「あははっ、へ〜そうなんだ〜。アハハハハハ」
「ん〜、クスッ」
「わ〜いわ〜い」
バカみたい。ほっぺたつまみあって赤くして、ただそれだけなのに。なのに笑いが止まらない。
「あ〜楽しかった」
「こんなに笑ったの久しびりかも」
「え〜もったいないじゃん」
メグの言う通りだな。せっかくみんなで旅してるのに、大事な旅なんだけど、だとしても楽しい方が良い。
「まぁお姉ちゃんと一緒ならしょうがないのかな」
「メグって、リズさんを探しに来たの?」
「そうだよ。あっ、お姉ちゃんの所まで連れてってくれない?」
「あぁ、そうしたいんだけど、今ははぐれちゃってて」
赤の賢者は敵だって言われてたけど、なにかの間違いなんじゃないかな。まぁ世界樹の下に行くことに反対っていうのは合ってるかもしれないけど、それとこれとは違うような気もする。
「ガーゴイルに連れ去られてたんだったっけ?さっき言ってたね。てへっ」
「うん。初めは道を引き返してみんなのところに戻ろうと思ったんだけど、道に迷いそうだったから。今は出口を探してる」
「出口かぁ。ちょっと待って」
メグの炎の明かりが空に浮かび上がりながら大きくなっていく。そして見えてきたのは、思っていたより遥かに大きなドワーフの地下遺跡。




