第19話
少し話が飛びます。推敲前のもののため申し訳ありません。
「ここが、壁の向こう側?」
増え続ける魔物を止めるために世界樹の下へ行く。それが出来るだけの力をルイスが取り戻すまで、魔物と戦いながら世界を旅する。私は一緒に旅しながら生き方を探す。
ドワーフの地下都市に着いたとき、魔物のガーゴイルの被害が大きくなっていた。壁の向こうでなにかあったんじゃないかって噂になってたけど、決まりごとを大切にするドワーフは壁の向こうへ行けない。
だから私たちは、代わりに壁の向こうへ行ってくれないかって依頼された。ドワーフの決まりごとを破る唯一の手段は、武闘大会で優勝するってこと。元々魔物と戦うつもりだったし、本当なら行けない壁の向こうへ行く方法を教えてもらえて幸運だった。
優勝したのはティーブ。相手のルール違反っていう煮え切らない結果だったけど、それでも壁の向こうに行けるようになったことに変わりはない。
「姫。お足もとにご注意ください」
「あっ、うん。ありがとう」
ティーブと決勝戦を戦ったカルミアさんも一緒に来てくれたんだけど、とにかく近い。心配してくれるのはいいんだけど、こんなすぐ横を歩かれたら危ないよ。
「えっと」
「いかがしました?姫。ま、まさか、お怪我を」
「そうじゃなくってですね。くっつかれると歩きずらいなって」
「これは失礼」
やっと離れてくれて、壁の向こうの景色に集中できる。と言っても明かりが全くない闇。誰も住んでいない地下の洞窟なんだから、当たり前と言われれば当たり前。
「ねぇルイス。明かりなんて持ってきたっけ?」
「ん?そんなのいらないよ」
ルイスが小声で詠唱すると、その手に明かりが灯る。見えてきたのは意外な光景。
「ここって?」
「かつて人々が魔物に襲われた時。種族によって対応と結果が違ったんだ」
「えっと?」
「人間はゴブリンと生存区域を共有する結果になってしまった。だけど、ドワーフは魔物を完全に追い出すことができたんだ。それがここ。壁の向こう側だ」
ルイスが明かりを強くしてくれて、ハッキリと見えてきたのはドワーフの遺跡。岩肌が露出している洞窟を想像してたんだけど、ここにあるのは古くて朽ちかけてはいるけど人が住んでいたってわかるような場所。
「いいから。行くなら早く行くわよ。誰かさんのせいで目立っちゃったんだから」
「そうだな。ファニー、気を付けて。ここから先は魔物の巣窟だ。どこから襲われるかわからないよ」
「わかった」
まだ魔物は見えないけれど、どこかに隠れているはず。ドワーフの人達に被害があったってことは、なにか異常があるはず。
「ご安心ください。姫は私が守ります」
「なんでそうなるのよ。あなたは一番前よ」
「たんぽぽが飛び立つのを見たくないのですか?」
「いいから来なさい」
そんなつもりはないのかもしれないけど、リズさんが前に連れてってくれて助かっちゃった。カルミアさんは悪い人じゃないんだけど、どう対応したらいいのか難しい。
「ベ~ッダ」
「ア~ちゃん?怒られるよ?」
「ふ~っんだ。ファニーちゃんは私が守るんだもん」
「あはは。ありがとね。あっ、待って下さい」
リズさんたちが先に行っちゃってるから、早く追いかけないと。でもア〜ちゃんが元気になってくれてよかったな。バレないようにしてるけど、リズさんも気付いてて黙ってくれてるみたい。
リズさんとカルミアさんを先頭に、明かりを点けているルイスが続いて、私はその後ろ。ティーブは最後についてきてくれてる。
「ファニーちゃんファニーちゃん。たんぽぽってなに?」
「えぇ?わかんないけど、ティーブがたんぽぽなんだって」
「ふ~ん」
振り返って後ろを歩いているティーブを見てみるけど、暗くて表情が見えない。たんぽぽっていうのはカルミアさんが勝手に言ってるだけだけど、飛び立つっていうのが呪いから解放されるっていう意味なら嬉しいんだけどな。
「ねぇねぇ」
「ん?」
「な~んにもいないね」
そういわれれば。地下都市に魔物が入ってきてるっていうから、もっと魔物で溢れかえってると思ったのに、一体もいない。歩きながら探してみるけど、私達以外に魔物どころか生き物がいない。
「本当になにもいない」
大昔にドワーフが住んでいたんだろうな。岩でできてる街だから、全部そのまま残っているみたい。
「あれ?」
石像?よく見ると同じ石像がたくさんある。ドワーフが作ったにしては悪趣味。気になったから近寄って見てみると、少し変。遺跡と比べて綺麗すぎるというか、細かい装飾まで残り過ぎてる。
「ファニーちゃん!こいつ魔物だよ!!」




