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第12話

 表彰が終わって、あの白い甲冑の女の人と話したいなって思ったんだけど、気づいたらもういなくなっちゃってた。残念だなって思いながら、負けちゃってガッカリしているヴィンダーさんと合流する。


 「途中までいい感じだったんだけどよ」


 私と真逆で、先頭で逃げ切ろうとしていたみたい。1番前の1番良いところからスタートして、罠もなんとかしのいでいたけど、あとちょっとのところで後ろを走ってきた組に追い抜かれちゃった。


 元々体力では負けてるし、それに先頭だと罠のせいで消耗している。だから逆転されると抜き返すのは難しい。


 「たま〜に後ろの奴らが自滅してくれるときがあるんだけどよ。ダメだったな」

 「ああ〜。なんかスゴかったですね」


 ラストスパートの殴り合いが頭に浮かぶけど、抜け出せたのはラッキーだったな。巻き込まれてたら大怪我しそうだったし、アレのせいで再逆転とかはありえそう。


 「まっ、嬢ちゃんに頼んで正解だったな」

 「あはは」

 「なに照れてんだ?ながれ星みたいだったって噂だぞ?」


 その言われ方が恥ずかしいんだよね。予選のゴール前でのことを見ていたドワーフから、天井と壁と床を駆け抜けているのがながれ星みたいだったって褒められたんだけど、言い過ぎというか。知らないドワーフからながれ星の人って言われるようになってて、そのたびに顔が熱くなっちゃう。


 「その呼び方はやめてください」

 「なんで?ながれ星ファニー、悪くねぇじゃねぇか」

 「え〜?」


 なんでこんなことに。そもそもドワーフの国の武闘大会で、予選1位だった人間がどうしてこんなことになるんだろう。ドワーフ以外の種族に1位を奪われちゃったから、もっと煙たがられると思っていたのに、これじゃ完全に逆。


 「良かったんですか?」

 「なにがだ?」

 「だって、これドワーフの大会ですよね?私とティーブと、あの白い甲冑の人。3つ分も盗られちゃってますよ?」

 「はぁ?」


 なにその反応?でもその話をする前に宿で待ってもらっていたアーちゃんが飛んでくる。


 「ファニーちゃ〜ん。イジメられた〜」

 「あっ、よしよし。お留守番ありがとうね」

 「う〜〜」


 予選に連れていくわけにはいかなかったから、ルイスと待っててもらったんだけど、リズさんと一緒だったのは本当に嫌だったみたい。指にしがみついたまま離れようとしない。


 「お、おい。本当にバレてねぇだろうな」

 「えっと、大丈夫みたいですよ」

 「ならいいんだがよ」


 私達には妖精の姿のままで見えるから心配みたいだけど、バレたら大騒ぎになるだろうし、そうなってないってことは大丈夫だってこと。だけど周りのドワーフはこっちより、むしろ歩いてくるリズさんの方が気になるみたい。あんな美人が歩いていたらそうなるよね。


 「心外だわ」

 「あのなぁ。それより結果はどうだったの?」


 ドワーフがたくさん集まるところにアーちゃんを連れていくのは反対だったみたいで、宿でずっと待つことになっていたから、ルイスとリズさんにはこれから結果を話すことになってる。部屋に戻りながら私とティーブは予選突破できたけど、ヴィンダーさんはダメだったって伝える。


 「まっ、予想通りね」

 「面目ねぇ」

 「リズ。ちょっとは言い方を考えろって。怪我してるドワーフも多かったし、無事で良かったじゃないか」


 表彰式が始まってからも終わってからも、洞窟からはボロボロのドワーフ達がたくさん出てきてた。完走して出てこれるのは良い方で、罠から抜けられなかったり、息切れして動けなくなったり、一番ひどいのは殴り合いで大怪我した人たち。


 怪我もなく完走していたヴィンダーさんは成績が悪いわけじゃない。怪我がなくて良かった。


 「悪かったわね。ねぇ、聞きたいことがあるんだけど?」

 「は、はい。なんですか?」

 「あなたのガーダンって、ちょっと変じゃない?」


 なんだろうって思ったら、ティーブのこと?そう言われても、いつもと変わらない。ずっと静かに後ろにいてくれる。


 「えっと」

 「あなたに怪我がないようにって言ってるのよね?だとしたら変よ。ガーダンなら危険な大会になんて出場させないはずよ」

 「そ、それは」

 「まるで自分の意思を持ってるみたい」


 すぐに後ろを振り返って、ティーブの顔だけを見てしまう。なんで見られているのかわからないみたいで、ティーブは困り顔をしているけれど、すごく大事なことを知った気がする。


 呪いのせいで、ガーダンは従順にしか生きられない。その原因も解き方も、全然わかってないけれど、いつかなんとかしてあげたいとは思っていた。だけどもし自力で解くことが出来るんだったら、そんなに嬉しいことはないから。


 「なに?」

 「いぇ、ガーダンの呪いが解けて来てるのかなって」

 「呪い?」


 あぁそうか。ルイスは言葉の綾だって言ってたな。いつかちゃんと教えてもらわないといけないけど、今日はもう疲れちゃった。難しい話は今度にして、本選のトーナメントに備えて休みたい。


 ティーブの呪いが解けているのかもって思ったら心がフワフワして、頭を使う気にはなれないな。


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