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第6話

 翌朝からリズさんも一緒になって北の山脈を登っていく。ドワーフの地下都市まで一直線に、ヴィンダーさんの足が早くなったこともあって予定より進みがすごく早い。


 どこまで登るんだろう。そんなことを頭の隅で考えだしたとき、ヴィンダーさんが岩肌からなにかを探し出そうとしている。


 「なにかあるんですか?」

 「んぁ?おかしいな。この辺に扉があったはずなんだが」

 「地下都市への扉のこと?ならこっちよ」


 リズさんが先頭を進む。ずっと岩山を登っていたから、私はもう砂だらけ。なのにリズさんの服は汚れ1つなくて綺麗なまま。


 「しっかしなぁ。同じ賢者でも全然違ぇんだな」

 「そうですか?」

 「ずっと封印されてたんなら、しゃーねぇけどよ。妖精をこんなに大人しくさせるなんて、黒の賢者にはできねぇだろ?おっかねぇけどよ」


 アーちゃんは元気になってくれたけど、私の手の中から離れようとしないしヴィンダーさんに言い返すこともない。なるべくリズさんに近寄らないようにしているけれど、まだ怖いみたい。


 後ろを歩いているルイスをチラっとだけ見てみると、いつもと変わらない様子。封印の影響で本来の力を出せていないって、あんまり気にしていないのかな。


 「ここよ。じゃぁ先に行っているから」

 「リズさん。ちょっと待ってください」


 呼び止めたけど、もういない。あるのは開かれたままの岩の扉。ちょうど1人が入れるくらいの大きさ。せっかくなんだから、みんな一緒に行けばいいのに。


 「おお、ここだここだ。嬢ちゃんちょい待ちな」

 「はい。でもリズさんは先に行っちゃいましたよ?」

 「知ってんなら大丈夫だろ?他の面子はわからんからな」

 「え、えっと?」


 どこにでもある扉にしか見えないんだけど、扉の通り方とかあるのかな。でもよく考えてみるとちょっと変。地下都市への扉のはずなのに、ここはまだ岩山の中腹。ここからどこまで下がらないといけないんだろう。


 ちょっと覗いてみると、2本の並んでいる金属の棒がずっと続いているだけ。


 「よ~し。全員揃ったな。降り方は知ってるか?知ってる奴は手ぇ挙げろ」


 手を挙げたのはルイスだけ。ティーブが知らないっていうのは意外だったけど、ずっと人間の国にいたんだからドワーフのことはわからないっていうことなのかも。


 「そうかそうか。そんじゃちゃんと説明したほうが良さそうだな」


 トロッコがある。ヴィンダーさんは扉の先のことを一から教えてくれた。この岩山の中腹から地下都市まで一直線に繋げる道が扉の先にある。その道にはレーンって言うものがあって、トロッコって言う乗り物に乗っていかないといけない。


 どうしてこんな入口をこんなことにしているんだろう。そんな質問を口にする前にヴィンダーさんは自慢気に話し続ける。地下都市に外部から入ることが滅多にないからなんだって。


 というよりたくさんの人を一度に入れたくないみたいで、岩山を登って、扉を探して、その上トロッコの出し方がわからないと道が長すぎる。その気になればいつでも入れるけど、そこまでが面倒。防衛したいわけじゃないけど、誰でも簡単に入れるようにはしたくない。色んな思惑でこういうことになっている。


 「あの、それじゃぁドワーフの人達って、あんまり他の種族とは交流しないんですか?」

 「いや、そんなわけじゃねぇ。そういうことは全部地上の街でやってるからな。そっから入んのは色々と面倒なんだ」

 「へ〜」


 話している間のヴィンダーさんは一見いつもと変わらないけれど、いつもよりすごく早口。早く地下都市に帰りたくてしかたないんだろうな。


 「んじゃ、とっとと入るか。といってもトロッコは動かし方がわからんとどうにもならんからな。嬢ちゃん、俺か黒の賢者か選んでくれ。準備しとくからよ」


 それでそのトロッコはどこに?あとどっちか選んでって言われても、どうしよう。迷っていると隣にいつの間にかルイスが立っている。


 「ファニー、一緒に行こうか」

 「えっ?うん」

 「んじゃぁティーブは俺とだな」


 ヴィンダーさんが扉の先に消えていく。少しすると明かりが点いて、入ってくるようにって声が聞こえてきた。


 「これに乗るんだ。2人までならなんとかなるだろ?先、行ってるぞ」


 そこにあったのは、車輪がついた四角い木の箱。これがトロッコ?2人で乗れなくはないけど、ギリギリっていうか密着しないといけないっていうか。これにルイスと2人で乗るの?


 「あっ、ちょっと」


 やっぱりヴィンダーさんにって言おうとしたらもう行っちゃっている。気づいたときにはトロッコは暗闇の中に消えていて、最後にかすかに見えたのはティーブの目立つ黄緑色の髪だけ。


 「ん、なにかあった?」

 「いや、そうじゃなくて。えっと」

 「あんまり近いと危ないからね。ちょっと待ってから行こうか」


 ルイスが小声で詠唱すると、レールの端にトロッコが浮かび上がってくる。なにもなかったはずのところに、さっきの木の箱が出来上がる。


 「これって?魔法?」

 「そうだよ。大昔にエルフが作ったんだ」

 「作った?でも魔法って」

 「魔法っていうか、装置の方。誰でも呪文を知っていればトロッコを作れるんだ。どうなってるのかはわからないけどね。そろそろ大丈夫かな」


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