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第59話-約束-

 「よし、じゃぁ待っててくれ。結婚式までに間に合えばいいんだろ?」

 「あんまり時間ないよ?どうするつもりなの?」

 「まぁ任せろって」


 この間までなにも知らなかったのに、すごい自信。私も信じているし、全部任せちゃっても大丈夫だと思う。だけどそんなことしたくない。だって私は、ただ助けられるのを待っているなんて嫌だから。


 「私はね。世界樹の下へ連れていってもらいたいんじゃなくて、一緒に行きたいの。だから手伝わせて」


 初めてルイスの気持ちに触れられた気がした。ルイスからやらせてくれって初めて言われた。だから頼っちゃってもいいかもなって、ちょっとだけ思っちゃった。でもそれじゃダメ。ただの足手まといにはなりたくない。


 「う~ん、でも大したことはしないんだよね。要するにファニーを結婚させたいのって大義名分が欲しいだけでしょ?」

 「えっ、う、うん。そうだと思う」

 「なら代わりになるものを教えればいいんだよ」


 代わりって、そんなこと言っても王族で残っているのは私だけ。お父さんに限って隠し子なんていないだろうし、まさか偽物を用意するつもり?


 「前にちょっと話したと思うけど、王国っていうものは元々魔物と戦うための統治機構だったんだ。その頃の仕組みを、人間は忘れてもエルフは覚えているはず。長命な種族だからね」

 「えっと、ん?」

 「いや、リーフの国王はエルフと交流があるみたいだったから。やり方さえ教えれば良いんじゃないかな?エルフのお墨付きなら喜びそうだし」


 そんなに上手くいくのかな。まだ残っているのかもわからないし、エルフが認めてくれるのかもわからない。不確かなことが多すぎる気がする。


 「まぁやってみてダメだったら誘拐するとか手段はいくらでもあるでしょ」

 「でも」

 「それに、やる価値がある。エルフのお墨付きをもらうってことは、確実に人々を守らないといけないからね。それだけ強い義務になるんだ。これを聞いたら嫌がるかもしれないから、教えてやらないけどね」


 ルイスって、まだリーフ王に言われたことを根に持っているのかな。ちょっと意外かも。だけどあえて教えないのは良いかも。


 「まぁ王様に教えれば問題ないでしょ」

 「ちょ、ちょっと待って。それより、あの代表さんに教えない?そういうチャンスを逃すわけないし、上手くやってくれると思う。もうすぐ会いに来るんじゃないかな」


 いつでも来て下さいって手紙を渡しているし、私が結婚しちゃう前に会いに来るはず。その時に相談すればいい。だから焦る必要はないし、ゆっくり待とう。もう疲れちゃった。久しぶりに自分のベッドで眠れるし、しっかり休もう。


◇ 

 

 それから何日も経った。


 その間にゴブリンは完全に追い出されて、兵士の姿も少なくなって、代わりに増えたのはリーフ王国の役人達。


 民兵にまぎれて私がゴブリンと戦っていたって話はすぐに広まっちゃって、ちょっと外に歩いたらあっという間に囲まれてしまう。だからずっと城の中に閉じこもっちゃってた。


 私の知らないところで色んなことが進んでいっちゃって、結婚の準備も進んでいるみたい。


 もし、世界樹の下へ行こうってルイスに誘われていなかったら、今頃どんな気持ちだったんだろう。口出しできる雰囲気でもなくって、部屋で待たされているだけ。


 「ね~ぇ。つまんな~い」

 「もうちょっと待ってね。そろそろ来るはずだから」


 ずっと眠っちゃってて心配だったけど、ア~ちゃんもやっと起きてくれて一安心。元気過ぎて困るくらい。でもあの代表さんが来るとしたら、もうすぐのはず。そうしないと間に合わなくなっちゃうから。


 「ファニー様。ご来客です」


 来た。誰が来たのかティーブに聞いたら、やっぱり代表さんだった。


 「ご無沙汰しております。ご結婚おめでとうございます、と申してもよろしいのでしょうか?」


 事情をほとんど知らない代表さんにルイスの計画を話すと、ニヤニヤしながら楽しそうにしている。なんだか悪いことを考えているみたい。


 「なるほど。確かに王族が食いつきそうな話です。しかし、それだけでよろしいのでしょうか?」

 「ど、どういう意味ですか?」

 「少し、こらしめてやる。というのはいかがでしょうか?」


 やっぱり。なんとなくそういうことを言ってくる気がしてきた。そりゃ、私だって気に入らないことはあるけどさ。寄せ集めだったけど、ちゃんと約束は果たしてくれたわけだから、怒るようなことじゃない。


 「でも、悪いことしているわけじゃないから」

 「ん?本当に、そう思っているのですか?」


 代表さんは、どこまで本気なんだろう。いつもの打算的な目とは少し違うような気がして、もしかしたら本当にそう思っているのかも。


 「え、えっと」

 「失礼ながら、ファニー様は気がついていないのですか?」

 「な、なんのこと?」


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