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第50話-私が戦う理由-

 雨が少しでも弱くなってくれて助かった。なんとか日暮れ前には解体をし終えて、また王都に戻っているところ。ティーブが毛皮を、私は持てるだけの骨を、そしてア~ちゃんが牙を両手に抱えて帰り道を急いでいる。


 「おっ手伝い〜おっ手伝い〜」

 「あっ、あんまり先にいかないでね」


 王都が見えてきた。楽しそうな妖精と巨大な毛皮を持っているガーダン、それに両手いっぱいに骨を抱えている私。道行く人達からはものすごく注目されている。狙い通りビックリさせられたみたいで、なんだか気分がいい。


 毛皮を欲しがる人がたくさんいて、想像以上の値段で売れてビックリしちゃった。取引のときに色んな人と話したけど、みんなとても良い人。


 私の弓がガーダン用だっていうことに気づいた人もいて、実際に引いているところを見せて驚かせてやった。今まで人前で弓を披露することなんてなかったから気づかなかったけど、もっと自信を持てば良かったかな。


 でも一番嬉しかったのは、私もみんなの役に立てるんだって思えたこと。


 私が狩った獲物は、昔からたくさんの人を殺してきていたみたい。だから犠牲者の家族からとても感謝された。そのとき言われたことは、これでもう被害が増えることがないっていうこと。


 そうか。私のたった3年の命でも、人を救えるんだ。


 私、なにを考えているんだろう。そんなこと当たり前のことなのに。ツイグ王国を助けたいとか、世界の麓に行きたいとか、身の丈に合わないことをしようしたのが良くなかったんだろうな。


 3年でできることなんて、大したことない。


 やりたいこととか生き方とかを見つけられていないってよく言われるけど、だって私には3年しかないから。私だって色んなことしたいよ。でもできない。できるわけない。


 私にできることなんて、目の前の命を助けることくらい。


 それのなにがいけないの?あの獲物を狩ったみたいに、私にできることだってたくさんある。犠牲を減らすことはできる。たったそれだけのことかもしれないけど、だけどそれが私にできること。


 でも結婚したら、それも終わり。


 あの様子だと、女だからって理由で戦わせてくれないんだろうな。だから結婚しちゃったらもう終わり。私のできることができなくなって、ただ3年の命が終わるのを待つだけ。


 でもそれまでは、戦うことが私のやるべきことだから。


 終わっちゃうのはしょうがない。結婚しないわけにはいかないし、他に頼れる国はないし、なにより頼れる人はもういない。だけどせめて、自分の国を取り戻すことくらいは私自身の手でしたい。なんでだろうな。うまく言葉に出来ないけれど、こういうのをワガママって言うんだろうな。


 宿に戻って、ティーブとア~ちゃんと同じ部屋。お願いするためにしっかり座って、真っ直ぐ目を見る。ガーダンにはこんなことする必要ないんだろうし、妖精も気にしないんだろうけど、でもこういうのはちゃんとしないといけない。


 「あのね、お願いがあるの」

 「はい。なんでしょうか」

 「ん〜?」


 2人はいつも通りだな。ティーブは礼儀正しく座っているし、ア~ちゃんは当たり前みたいに私の頭の上に乗ってくる。そうだよね。だって変わったのは私だけなんだから。


 「私ね、やっぱりツイグは自分で助けたいの。必要ないっていうのはわかっているよ。でも戦いたい」

 「はい。それでどうすれば良いでしょうか?」

 「ファニーちゃんが楽しそうならなんでもいいよ?」


 こんな素直な2人を、私のワガママに付きあわせるのってどうなんだろうね。これが終わったら、2人のお願いもちゃんと聞かないといけないな。


 「これからリーフ王国の兵隊がツイグのゴブリンを倒してくれるんだけど、一緒に行きたいの。でも気づかれたら止められるだろうから、コッソリしないと」

 「それでしたら問題ないかと」

 「おお〜。シーってするんだね」


 ずっと同じ姿勢で答えるティーブと頭の上で楽しそうなア~ちゃん。自分で言ってて思うんだけど、滅茶苦茶だよね。だってゴブリンとの戦いなんてずっと続くんだし、終わりなんてない。終わりくらい決めておこう。


 「ありがとう。じゃぁツイグの王城を取り戻して、それで私の部屋に集合ね」

 「承知しました」

 「ファニーちゃんの部屋?行ってみた〜い」


 よし、帰ろう。私達の国に。失ったものは取り戻せない、死んでしまった人は生き返らないけれど、それでも私は自分の手で最後までやるべきことをしよう。


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