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第46話-私が我慢すればいいだけだから-

連日となり申し訳ありません。

挿絵の準備が間に合いませんでした。

マシントラブルの影響でして、しばらく停止します。

準備出来次第、更新させていただきます。

 儀礼的な挨拶をしている間、ルイスは後ろに立って待ってくれた。挨拶の間も、国王の顔を見ることはできない。やっと終わって顔を上げると、目に入ってきたのは怒りで顔を真っ赤にした国王の顔。


 私、そんなに失礼な挨拶をしちゃったのかな。でも何度も練習させられたことだし、間違ってはいないはず。なのに、国王様の声には怒りが込められている。


 「たまたま生き残ったからと調子に乗りおって」

 「しっ、失礼しました。無礼があったでしょうか?」

 「気づきもせんのか?女が男の前に出るとは、なにごとだ!?」


 言葉が喉につかえて、手が小刻みに震えちゃう。だってここにいるのは、私が国王様にお願いするためであって、ルイスは手伝ってくれているだけだから。だから、ルイスに前に出てもらうのは逆に変だし、そりゃ王族として話すなら妻は夫の前に出ちゃいけないっていわれたことあるけど、ルイスは夫でも婚約者でも恋人でもない。


 「もういい、下がれ」

 「あっ、その、」

 「下がれと言っている。生き残りが、女だったとはな。ツイグも不幸なものだ。衛兵!」


 国王様は椅子に深く腰掛けて、もう話を聞いてくれる雰囲気じゃない。部屋の隅に控えていた兵士たちが無理矢理追い出そうとしてくる。こんなことになるなんて、ツイグの人達を助けるためには失敗できないのに、これじゃ話を聞いてもらうことすらできない。


 「ものを知らぬのは国王の方だ」

 「なんじゃと?」


 後ろに立ってくれているルイスの言葉が国王に飛んでいく。とりあえず衛兵たちは止まってくれたけど、国王様の機嫌がもっと悪くなってる。


 「無礼者が」

 「君は賢者というものを理解していない。我々は人間ではない。だから人間同士の重要な会話には一歩下がるのが当然だ」

 「む?」

 「君の主張は理解に苦しむね。8人の賢者の中で3人は女性だ。だけどそんな、わけのわからない礼儀なんて存在しないよ」


 だ、大丈夫かな。あんまり言いすぎると、無事に部屋から出られなくなっちゃうかもしれない。動きを止めた衛兵が次にどうするのか、国王様の言葉で決まるんだ。


 「言いたいことはそれだけか?」


 思わず目を閉じてしまいそうになったけれど、不穏な言葉を遮るように家臣の1人が手を上げた。そして国王様と内緒話を始める。聞こえてないって思っているんだろうけど、私にはちゃんと聞こえている。


 ツイグ王国の周りには他にも国がある。きっとツイグの土地を狙っているはずだから、生き残った王族の私を取り込めば統治に正統性が生まれる。だから我慢して、婚約通りにロバート様と結婚させればどうか。どうせ3年しか生きないんだから、死んだあとは好き放題すればいい。


 聞こえてきた話は、どれもこれも勝手なことばかり。だけどなにも言い返せない。言い返しちゃったら今度こそ助けてもらえないかもしれない。


 「下がってよい」


 国王様から出てきたのは、衛兵への指示。衛兵は言われたとおりに部屋の隅に戻って行って、また話せそう。嫌な予感しかしないけれど。


 「特別に許してやろう。それで?そちの望みはツイグを救援して欲しいということか?」

 「あ、ありがとうございます。その通りです」

 「ほうほう、良かろう。失礼な女ではあるが、愚息の婚約者でもあるからの。助けてやらんでもない。終わったら結婚し、夫のロバートに任せておけばいい。そもそも統治などというのは男がやるものだ。女の出る幕はない」


 やっぱり、そうなるんだ。怒りで震える肩と声を、なんとか隠さなきゃいけない。答えは決まっている。私にできることは、ロバート様との結婚を受け入れてツイグ王国を助けてもらうことだけ。


 世界樹の下に、行ってみたかったな。でも、夢はただの夢。そもそも、たった3年で辿り着けるとは思えない。これで全部終わりかな。こんなことなら、最初からなにも期待しなきゃよかった。


 私の未来には、真っ黒な壁しかなかった。この部屋が、その真っ黒な壁。世界樹の下があるのは、この黒い壁の先。


 「ちょっと待て。その条件はなんだ?」

 「ほほ~う?なんじゃ、文句でもあるのか?今は人間同士で重要な話をしておるのだ。賢者は引っ込んでおれ」

 「君はファニーのことをなんだと、」

 「ルイス。もういいから」


 食い下がろうとしてくれたルイスを引き止める。助け船を出してくれたんだろうな。だけど、いつまでも頼るわけにはいかない。


 「返事が遅くなり申し訳ありません。結婚のこと、大変嬉しく思います。ツイグ王国をどうかよろしくお願いします」

 「おっ、おいファニー」

 「だ~か~ら。賢者は黙っておれ。まぁそれはいい。これであの愚弟もようやく妻を迎えるわけか。あとはこちらで進めておこう。下がってよいぞ」


 まだ反対しようとしているルイスを引き止めて、また儀礼的な挨拶をしてから謁見の間を出ていく。部屋の外で待っていてくれた、いつも通りのティーブと、なにかを察知して大人しくしているア~ちゃん。


 誰もなにも言わない。王城の廊下に足音だけが響いた。


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