第27話-イタズラ好きって、こういうこと?-
ドワーフの工房からまた街へと戻る。4人で代表さんに手配してもらっている宿へと向かう。妖精を連れて行ったら驚くかなぁ。でももうどうしようもないし、というより妖精って何を食べるんだろう。
「ねぇア~ちゃん」
「えっへへっへへ〜。あむあむほむほむ」
「ア~ちゃん?」
私の頭の上が気に入ったのはいいんだけど、何をしているの?変な音が聞こえるし、なんだかくすぐったい。また捕まえられるかな?あれ、簡単に捕まえられた。
「ふへ〜掴まちゃった〜。戻してよ〜。忙しいの」
「あっ、うん。これから夕食なんだけど、何も食べないってこと?」
「食べりゅ〜」
わ、わかりやすい。というより素直?頭の上で変なことしてるみたいだけど、簡単に捕まえられてくれるし、思ったより心配しなくてもいいのかな。今だって手の中で楽しそうにしているだけ。
「ファニー、あんまり油断しないほうが良いよ」
「そうかなぁ」
「妖精が厄介なのは、いつ何をするのかわからないってことだからね。連れて行こうって言ったのは、この方がマシだからであって安全だからじゃない」
そ、そうだよね。油断しちゃいけないよね。ヴィンダーさんは仕事ができなくなって大変だったみたいだし、でもちょっとカワイイんだよなぁ。
「なによ。なによなによなによなによ。黒の賢者のくせに良い人ぶっちゃってさ。知ってるんだからね。黒の賢者ってわっる〜いやつなんだから」
「ア~ちゃん。そういうこと言っちゃダメでしょ」
「まぁ、ある意味間違ってはいない」
「ルイスは否定しなさい」
悪い奴って、妖精にどう伝わっているのか知らないけど、世界樹の下に行くことってそんなに悪いことなのかな。少なくともルイスは悪い人じゃない。命がけで助けてくれたし、だから私は、私は。
「どうかした?」
「えっ?ううん、なんでもない」
「ふぁに〜ぢゃ〜ん。ぐるちぃ〜」
「えっ?あっ、ごめんね」
何考えているんだろう。それに夢中になって、つい握りすぎちゃった。そのせいでぐったり、してるけどあんまり心配はいらなさそう。顔が全然苦しそうじゃないから。
「ファニーちゃん。苦しいってばぁ」
「うんうん。ごめんね」
「ぶ〜」
「ねぇティーブ、あとどれくらい?」
「もう少々歩きます」
段々と人通りが多くなっていって、妖精で目立ちすぎないように進むのは意外に大変だったけれど、なんとか宿には到着する。でもここって、本当にあの予算で足りるのかな?ツイグ王国の宿と比べると立派すぎる気もする。
でもティーブが間違えるわけないし、宿の人に聞いても問題ないって言うし、でもなんか怪しいんだよね。考えすぎなのかな。親切心かもしれないし、いや、そういう油断は良くないよね。
「わ〜い。わ〜い」
「あっ、ちょっと、ア~ちゃん。いえ、これはですね。その〜、ちゃ、ちゃんと捕まえておくんで、ごめんなさい」
も〜勝手なんだから。お金は払っているけど、ちゃんと問いただしたかったんだよね。これじゃぁ私達が問いただされる側じゃん。まぁ妖精をつれてきた私が悪いんだけど。
食事のときもア~ちゃんを大人しくさせるのに手一杯だったし、これがこの先ずっと続くかもしれないと思うと大変かもしれない。でも今のところ悪いことはしていないんだよね。ただ無邪気に、無邪気に?
「ア~ちゃん、何してるの?」
「ふぁいってふぁにーあんおほれふぁれれあ?」
「お行儀良くないよ?スープの中に入っちゃダメでしょ」
「ん〜?」
どうしよう。もう食べられないし、それにビショビショになっちゃってる。タオルをもらって拭かないといけないかな。あっ、もうバシャバシャしだしちゃった。引っ張り出さないと。
「あっつ」
「大丈夫か、ファニー?」
「うん。でも、大変っていうのがちょっとわかった気がする」
「いや、まぁ。こういうことじゃないんだけどね」
ただ食べるだけでこんなに疲れるのは初めてかもしれない。やっと食べ終わったと思ったら、今度は部屋割りの問題。山頂の村と同じように1人部屋と2人部屋が用意されていたんだけど、私とティーブが同じ部屋って思い込んでいたみたいで着替えとか色々準備し直してもらうことになっちゃった。
一日の最後にこんなに騒がしくなるなんて思わなかった。でも明日は新しい武器を作ってもらうことになっているから楽しみだし、今日はゆっくり眠れそう。




