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第25話-ドワーフの鍛冶師ヴィンダールブル-

挿絵(By みてみん)


 やっと細剣選びが終わった。もう日が暮れかけちゃっている。なんであんなに装飾が多いんだろう。なるべくシンプルで性能の良いものにできたから良いんだけど。満足気な顔の担当さんに見送られて、ドワーフの工房に急ぐ。


 「もう遅すぎるかな?」

 「どうだろう。場所だけでも確認すれば?それに、どうせ閉店してるんだし時間は関係ないんじゃない」

 「そうかもね」


 ロバート様にいつ呼ばれるのか知らないけど、なるべく早く準備を終わらせたいから。それに閉店してるってことは一から作ってもらわないといけないかもしれないし、なおさら早くしたい。


 「ティーブ、あとどれくらい?」

 「この先になります」


 路地をずっと進むがなかなか見えてこない。家もまばらになり、塀がすぐそこに見えて来た頃に、一棟だけ建っている家がやっと見えてくる。


 「あの家かな?」


 近づいてみると、その家には鍛冶屋特有の大きな煙突がある。立ち昇っているはずの煙が全く見えないけど、閉店ってことだし間違いないかな。


 「客か?ワリぃが店はやってねぇよ」


 振り返ると小柄で立派な髭な男の人がいた。昔一回だけ見たことがあるけれど、そっくり。髭のせいだと思うんだけど、ドワーフってみんなこうなのかな。


 「すみません。閉店しているっていうのは知っていたんです。でも、どうしても武器が見つからなくて」

 「むぅ?ほう、そういうことかい。立ち話もなんだ、入んな」


 とりあえず門前払いにはされなくてよかった。ドワーフの工房なんて人気が出そうだし、無理言って武器を作らせようと来た失礼な人とか思われないで良かった。ずっとティーブのことを見ていたから、それで納得してくれたのかも。


 一軒家の中はお店としても使っていたみたいで、ほとんどないけれど武器が雑多に転がっている。でもそれがいい。イメージ通りの武器屋って感じで、所狭しと武器が山積みにされている様子が目に浮かぶ。こっちの方が好きかも。


 「まぁ座んな」

 「突然すみません」

 「いいっていいって、大体察しはつくしよ。ガーダンの武器が欲しいんだろ?最近物騒だしな」

 「ええ、そうなんです」


 その通りなんだけど、なんだか勘違いされていそうな気がする。ティーブの剣も欲しいけれど、私の弓も欲しい。代表さんに紹介してもらったお店でのことを考えると、まさか私がガーダンの弓を使えるだなんて思っていないんだろうな。


 「あの、作っていただけたりしますか?」

 「そうなるわな。嫌ってわけじゃねぇんだけどよ。今は出来ねぇんだ」

 「それは、えっと」

 「工房に妖精が居つきやがって、仕事どころじゃねぇ。まっ、そろそろ故郷に帰ってもいい頃だったから、気にしちゃいねぇんだがよ」


 妖精って、会ったことはないけれど良い噂は聞かないな。とにかくイタズラ好きで、しかも小さくてすばしっこいから捕まえられない。みんなを困らせる厄介者っていうことしか聞かない。


 「どうして妖精が?」

 「知らねぇよ。こっちが聞きてぇくれぇだ。とにかく妖精をどうにかせんことにはな。あんたらで追い出してくれたら武器を作ってやってもいい。ガーダン用なんて滅多に作れねぇしな」

 「いいんですか!?」


 それで武器を作ってもらえるのなら、とっても嬉しい。問題は私達で妖精を捕まえられるのかってこと。


 「ルイスは妖精を捕まえたことある?」

 「まぁ、捕まえることはできるだろうけど」

 「はぁ?あんちゃん、そりゃ本当か?」


 ラウレリン様と知り合いのルイスなんだから、それくらいじゃ私は驚かない。けど知らない人からしたら信じられないのかも。


 「捕まえることが出来たとして、一時的にだね。ずっとは無理だ。それじゃ解決にならないでしょ?」

 「んあ?まぁそうだが。あんちゃん若ぇのにやけに詳しいんだな」

 「ま、まぁそれはいいじゃないですか。じゃぁルイス、どうすれば解決すると思う?」

 「どうって言われても。妖精に気に入られたら工房からは引き剥がせるだろうし、工房の方が面白そうだったら工房に残るだろうし」


 えっと、つまりどういうこと?気に入られて、仲間にするってことなのかな?


 「なぁ、あんちゃん。つうことはあれか、妖精を連れていくってか?」

 「そうなりますね」

 「おいおい。悪いこたぁ言わねぇから止めとけって。武器なんて他でも手に入るだろうよ。人間用で我慢しとけって」

 「そ、そうですね」


 これからリーフ王国の王都に行くんだし、ガーダン用の武器も一杯あるかもしれない。街道沿いを通れば危険も少ないだろうし、人間用の武器でも事足りそう。ガーダンの武器が手に入っても、イタズラ妖精と一緒に旅することになるのはどうなんだろう。


 「そうしろそうしろ。おっと、俺はヴィンダー。なんかあったらまた来いよ。まっ、ドワーフの国に来ることがあればだがな」

 「あっファニーです。ルイスとティーブ。今日はありがとうございます」


 残念だけど、しょうがないかな。細剣だけだと不安だから、あとでみんなで相談しないと。遅くなっちゃったし、今日は帰ろうかな。


 「んじゃ達者でな。俺はゴブリン騒動が収まるまでは残ってるからよ」

 「わかりました。では、このへんで。帰ろっか、イタッ」


 な、なにいまの。いきなり後ろから頭をパンチされたような。でも誰もいないし、2人がそんなことするわけないし。


 「アハハハハ。もう帰っちゃうのぉ?お話しよぅよぅ。フフ~ン」


 あれってまさか。本物は初めて見るけど、羽で飛んでいる小さな影。それにあの態度。妖精に出会っちゃった。


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