第24話-武器屋-
「こちらです」
「ありがとう、ティーブ」
代表さんに教えてもらった武器屋は、街で一番大きいんじゃないかってほどのお店。私達を見た店員の1人が歩いてくる。
「ファニー様でございますね。お待ちしておりました」
その店員さんに今日の担当をしてくれるって言われた。そこまで手配しているとは思わなかった。まぁそれはいいんけれど、なんかお店がイメージと違う。
案内された店の中は綺麗に整頓されていて、磨かれてピカピカしている色んな種類の武器が整然と並んでいる。ダメじゃない、ダメじゃないんだけどコレじゃない。でもなぁ、担当さんまでいるし武器自体は良いものだろうし、気にすることじゃないのかな。
てっきりそのまま他のお客さんと同じように武器をみることになると思ったんだけど、そこはあの代表さんのやること。全部手配してもらっていたみたいで、奥まった部屋に通されて、机の上には弓と剣が並んでいる。
「強めの弓をお求めとのことでしたので、いくつかご用意させていただいております。剣については申し訳ありません。ガーダン用のものは取り揃えておりませんので、人間用ですが最高級のものでございます」
う〜ん、せっかく用意してもらったんだけど。この弓、余計な飾りがたくさん付いてる。もっとシンプルなデザインが良いんだけど、でもまぁ性能がいいなら問題ないかな。ガーダン用の剣は最初から諦めてたからしょうがない。
「試してみても良いですか?」
「もちろんでございます」
じゃぁ早速。弓に付いている羽は何の意味があるんだろう?後で聞けばいいか。用意してもらった弓を引いてみて、あれ?軽すぎる。山頂の村で村長さんにもらった弓よりもっと軽い。
「あの」
「いかがでしょうか?」
「軽すぎるんですけど」
「これは失礼しました」
担当さんは目を丸くしたけれど、すぐに対応してくれた。強めといっても女性にとってって意味だったみたいで、今度は男性用の強い弓を用意してくれる。試してみたけれど、やっぱり軽い。
「まさかこれほどとは」
「今ので最後ですか?」
「は、はい。申し訳ありません。当店ではこれ以上の強さの弓は取り揃えておりません。失礼ですが、今まではどのようなものをお使いになられていたのでしょうか?」
そう言われても。ティーブからもらった弓を使っていただけなんだよね。すぐに見つかると思っていたのに全然見つからない。今まで当たり前に使ってきたけれど、何かを勘違いしているのかもしれない。
「ねぇティーブ。私の弓って、女性用って言っていたよね?」
「はい。以前お使いになっていたものは女性用です」
「さ、左様でしたか」
う~ん。ティーブは嘘をつかないはずなんだけど、でも違う気がする。聞き方が良くないのかな。
「なぁファニー、前に使っていたのってガーダン用だったんじゃない?」
「え?あ、ああ」
なんで気付かなかったんだろう。人間の女性って意味で考えちゃっていた。そうだよね、ティーブは人間じゃない。だから女性って言われたらガーダンの女性で考えてもおかしくない。でもそれくらい気を利かせてくれても良いのに。
「な、なるほど。ガーダン用の弓でしたか。それであれば納得できます。問題は、当店ではガーダン用は取り扱っていないということです」
「失礼かもしれないですけど、他のお店にも無いんですか?」
「当店以外ですと、無いことはないのですが」
他のお店を紹介してっていうのは失礼だったかな。代表さんに聞いた方が良かったかも。でもなぁ、あの人とはあんまり会いたくないからなぁ。
「すみません。やっぱり失礼でしたよね」
「ああいえ、そのようなことは。街の外れにドワーフの工房があるのですが、先日閉店してしまいました。頼めば作ってもらえるかもしれないのですが、確かなことは言えないものでして」
「へ~、珍しいですね。ドワーフなんて」
北へずっと行った地域に住んでいるドワーフは鍛冶が得意な種族。でも人間の国に住んでいるっていうのはあんまり聞いたことないかな。ドワーフならガーダン用の武器も作ってくれるはず。
「わかりました。ありがとうございます。とりあえず行ってみようと思います」
「お力になれず申し訳ありません」
担当さんの顔が暗い。これって、もしかしてアレかな。よくある面倒なやつ。何も買わないで帰っちゃうと、面子がどうのってなっちゃうやつ。こういうのがあんまり好きになれないんだよね。代表さんに頼まない方が良かったかも。
「ねぇティーブ。あの細剣もガーダン用だったの?」
「いえ、あちらは人間用のものをご用意させていただいておりました」
「そっか。細剣も見たいんですが、まだ大丈夫ですか?」
担当さんの顔が明らかに明るくなっている。やっぱり何かあるんだろうな。ちょっと悪いことしちゃったかも。ドワーフに武器を頼むんだったら、お金は残しておきたいんだけど、そういうわけにはいかないだろうな。たくさん用意してくれているけど、選ぶのが大変かも。




