第21話-次の目的地へ-
部屋を出てティーブを探そう。って思ったんだけど、そんな必要はないみたい。すぐそこで待ってくれていて、早速お願いできそうね。
「ティーブ、こっちに来て」
「はい」
「あのね、お願いがあるの」
「はい。なんなりと」
ずっと変わらない、いつも通りの従者としての話し方。そんな風にしないで欲しいんだけど、今は無理なんだって受け入れてもいる。
「これからのことなんだけど、きっと戦うことが多くなるでしょ?」
「はい」
「だからね、私とルイスと、あとティーブも大きな怪我することが無いようにして欲しいの。ちょっとくらいはしょうがないんだけど、大怪我して死んじゃうことがないようにして欲しい。お願いできる?」
「承知しました」
本当にわかってくれたのかな。やっぱりルイスと一緒にやった方が良いんだろうけど、それだと私だけ守るようになっちゃうんだよね。
「もし死んじゃうかもしれないって思ったら教えてね。私が間違えているのかもしれないから」
「はい。かしこまりました」
これで大丈夫、だよね。それに私も気を付ければいいんだし、なんとかなると思う。よし。じゃぁ今度はルイスのことを頼まないと。
「よろしくね。それと、明日の朝からルイスが部屋から出ないように見ててくれない?夕方までね」
「承知しました」
これでよし、と。なんだか疲れちゃったな。でももうゴブリンは倒し終わったし、ルイスが回復するのを待てばいいだけ。それまで私も、ちょっとだけ休憩。
◇
「ど、どうしたんですか?これ?」
「いえいえ。この度は本当にありがとうございます。これはほんのお礼でして」
「ふぇ~」
夕食に並んでいたのはいつも以上に豪華な食事。ルイスが興味を持っていた赤い実もちゃんと用意されていて、他にも美味しそうなものが並んでいる。
「い、いいんですか?」
「もちろんですとも。あれだけの数のゴブリンを退治していただいたのですから、当然です。しばらくは安心して暮らせます」
「えぇ、そんなぁ」
本当にいいのかなぁ。ほとんどティーブが倒したんだし、私はそんなに役に立ってないんだけど。でもなぁ、美味しそうだしなぁ。
「ファニー。せっかくだからいただこうよ」
「ん~だって、ルイスとティーブは活躍したけど、私はそんなだし」
「何を言うんですか。死体を拝見しましたが、見事な弓の腕前のようです。ご謙遜せずともよろしいかと」
そ、そこまでなの?ん~でもせっかく用意してくれたんだし、食べないってわけにもいかないよね。うん、そうしよう。あ〜ダメだ。お腹が鳴っちゃいそう。
「じゃ、じゃぁ遠慮なく。ティーブも一緒に食べよ」
「はい」
うわぁ。こんなに美味しいものをたくさん食べられるなんて思わなかったなぁ。幸せ。ふんふふ~ん。あれ、村長さんは食べないのかな?
「どうかしたんですか?」
「いえ、美味しそうに召し上がるなと」
「えっ、ちょっ、すみません」
またやっちゃったかも。関所でもそうだったけど、私って食い意地はりすぎているのかな。だって我慢できなくなっちゃうんだからしょうがないじゃん。
「あぁいえ。なにせ辺境の地なものでして、こんなものしか出せずに申し訳ありません」
「えぇ?そんなことないですよ」
全然そんなことないと思うけど、う~ん、話題を変えた方がいいかも。というか変えたい。なんだか食べ物の話になると変な感じになっちゃう。
「そ、そうだ村長さん。弓はお返ししますね」
「左様ですか?お持ちいただいてもよろしいのですが」
「あっ、あ~。でも悪いですし。そうだ、この辺で弓が手に入るところとかないですか?」
気持ちは嬉しいんだけど、あの弓は張りが弱すぎるんだよね。引き絞っているっていう感覚が全然ない。この村で一番強いらしいけど、弓を使える人がいないんだろうな。持って行っていいなんて言うくらいだし。
「でしたら王都への道からは少し外れてしまいますが大きめの街がございます。そちらであれば手に入るかと。ですがやはり弓はお持ち下さい。命がけで戦っていただいたわけですし、お礼が食事だけというのも私どもとしては心苦しいといいますか。道中でも危険がないとは限りませんので」
「そ、そうですか?じゃぁ、遠慮なく」
これは断れないな。あったほうが良いっていうのは間違いないし、でも早く新しい弓が欲しいかな。細剣はともかく、弓がないと一緒に戦えない。
「ねぇルイス。ちょっと遠回りだけど、良いかな?」
「ん?もちろん問題ないよ」
「そ、そう?じゃぁしっかり休んで、その後に出発ね」
なんでそんなに渋い顔をするのかな。怪我人なんだから当たり前じゃん。でも新しい弓かぁ。ティーブにもらった弓をずっと使い続けてきたから、なんだか楽しみだな。
それからの山頂の村での日々は、ルイスと出会ってから、トイグ王国が滅んでしまってから、お義姉ちゃんが目の前で殺されてしまってから、1番楽しい日々。
まだなにも解決してないけれど、きっと、隣国の王都に着けばなんとかなるって。そんな風に考えられるようになっていた。
お読みいただきありがとうございます。
本作は私が自由に書いている作品となりますが、
お付き合いいただき、心より感謝しております。
物語としては古典的なファンタジーですが、
新キャラの登場と共に進展していきますので、
引き続きお楽しみいただければ幸いです。
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