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第16話-夜襲-

 とても久しぶりに、家の中でゆっくり寝られた。だからなのか、ちょっと警戒が足りなかったかも。嫌な、とても嫌な気配を感じて眠りから覚める。でも遅かった。いつもならもっと早く気付けるのに、ゆっくり装備を整える時間はなさそう。


 「ルイスさん。起きてください」

 「う~ん。ん?ファニーさんか。もう朝?」

 「あっ、いえ。まだ夜中なんですけど、多分ゴブリンが村の近くに、囲まれちゃっているかも」

 「なに!」


 飛び起きたルイスさんは無言で支度をしてくれる。私は隣で眠っているティーブも叩き起こす。


 「どうされました」

 「早く準備して。ゴブリンが近くまで来てる」


 ティーブの準備は早い。それに詳しく事情を聞かないでも行動してくれるのは、こういう時はありがたい。


 3人で手早く準備をしていると、物音のせいなのか村長さんも起きてくる。事情を話すと顔から血の気がひいている。でも大丈夫。悲鳴とかは聞こえないし、被害は何も出ていないから。


 家から飛び出してゴブリンの気配を感じた所へ走る。今日は月がとても大きい。夜目が効くゴブリンと戦うのに、この月明かりはとても嬉しい。


 「ちょっと待って」


 立ち止まってもらい、耳を研ぎ澄ませる。いつもの狩りとやっていることは同じ。むしろ、動物と違って変な笑い声をあげているからわかりやすい。


 20体くらいかな。もう少しいるかも。暗くて戦いにくいけど、これくらいなら何とかなりそう。村の外にある畑の先にある森の中に集まっている。狙っているのは多分、一番遠くにある孤立している家。


 「見つけた。ルイスさん、あの家のもっと先の森の中です」

 「よくわかるね。じゃぁ行こうか」


 月明かりの下で、静寂に包まれた村の中を進んでいく。夜の畑で足元の野菜が何なのかわかる程度の明るさはあるが、先がどうなっているのかまではわからない。ざわめく森に入ってからは、あれほど感じたゴブリンの気配を感じ取れない。


 気付かれてるよね。でもゴブリンから隠れ切るなんて無理。できれば夜は戦いたくないから、このまま帰ってくれるといいんだけど、そういうわけにはいかないだろうな。


 ルイスさんが魔法を発動し、片手に鏡の盾を作り出している。森の静寂が不気味。森の中に入って行ったりはしない。ただでさえ不利な夜に、待ち伏せられている森の中に入るわけないし、それに無理して倒す必要はないから。


 

 「来るぞ」


 このまま何も起きなければ、そんな願いは届かない。暗がりから躍り出てきたゴブリンの短剣が真っすぐにルイスさんへと向かう。その刃は鏡の盾に阻まれ、逆にゴブリンの首が切り裂かれた。


 次々にゴブリンが現れる。けたたましい叫び声を発しながら、石を次々に投げつけている。鏡の盾はその全てを弾き返しているが、短剣のようにゴブリンを絶命させることは出来ていない。盾の脅威を理解しているのか、投石だけがひたすら続く。


 何体かは短剣を握りしめて迫りくる。立ち塞がってくれたティーブが剣で切り裂いていく。それでも討ち漏らされたゴブリンを弓矢で狙う。


 ダメ、暗くて狙いにくい。いつもなら外すことがないはずの距離で矢を射かけるが、半分くらいしか当たらない。早々に矢が無くなってしまって、細剣を抜く。いつも通り構えるが、どうしても右肩が気になる。王都でゴブリンに傷つけられた右肩。


 余計なことを考えてしまったからか、背後から近づく1体に気付けなかった。足音が聞こえたときには既に目と鼻の先。振りかざされた短剣を細剣で防ぐことは出来たが、握りが甘かったのか弾き飛ばされてしまう。


 武器を失った私はそのままゴブリンに押し倒される。垢だらけの肌、よだれを垂らし、鼻を塞ぎたくなる悪臭。


 「いや!!」


 思わず悲鳴を上げてしまった。ゴブリンの短剣が振り下ろされそうになった時、横に吹き飛んでいって重みが無くなる。駆けつけてくれたティーブが蹴り飛ばして、手を差し伸べてくれる。


 「ありがとう」

 「いかがしましょうか」

 「3人集まりたい」

 「かしこまりました」


 ティーブは剣を構えてルイスさんのところまで先導してくれる。月明かりの下でルイスさんは、四方からのゴブリンの全ての攻撃を弾き返している。そのほとんどが投石なので、全方位に石が弾き返されていて近づけない。


 「ルイスさん!!囲まれちゃってる。一回逃げましょ」


 完全に囲まれてしまっているし、こんなに入り乱れちゃったら狩りの時みたいに戦えない。矢も細剣も失くしてしまった私は、細剣の鞘を使って短剣を防いでいるけど、何回も受けてボロボロになってしまっている。


 呼びかけを聞いたルイスさんがこっちに来てくれる。私を挟むように2人が背を向け合い、攻撃を受けきってくれた。


 「どうする?村に戻る?」

 「ダメ。ゴブリンを連れて行けない」

 「じゃぁどこに?」

 「一度離れたいだけ。村の反対に行って反撃しましょ」


 予備の矢を取り出しながら、どっちに行こうか考える。最初に一番集まっていた場所はわかる。倒しきりたいならそこに行ったほうが良いと思うんだけど、数本しか矢はないし2人にほとんど戦ってもらうことになっちゃう。


 「全部倒せるかな」

 「まぁ防ぐ分には問題ないけど」

 「申し訳ありません。剣が保ちません」


 ダメか。ティーブは本当のことしか言わないから無理って言うなら無理なんだろうな。それなら行くべきところは、あまりゴブリンがいなかったところ。


挿絵(By みてみん)

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