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第12話-黄金のドラゴン、ラウレリン-

挿絵(By みてみん)


 「久しいですね。ルイスさん」

 「そうか。まさかドラゴンがわざわざ人払いまでするとは思わなかったよ」

 「ふふふ。ここならきっと会えると思いましてね。時代が変わったものです。まさか人間が、賢者の復活よりもドラゴンの来訪に驚くとは」


 ドラゴン。おとぎ話でしか聞いたことないのに、本当にいたんだ。黄金に光り輝く鱗が眩しい。だけどなんで、わざわざルイスさんに会いに来たのかな?昔からの知り合いみたいだけど。


 「しかし供回りがいるとは予想外でした。ご紹介いただいても?」

 「こちらはファニーさん。ツイグの王女だった人だ。それとその友達のガーダンのティーブくん」

 「おやまあ。亡国の姫君でしたか。ガーダンが友達とは、お優しいんですね」


 ツイグ王国は、もう亡国って思われちゃってるんだ。王都があんなことになっちゃって、王族も私以外いなくなっちゃったから、そうなっちゃうのかな。なんだろう。わかっていたことだけど、胸が締め付けられそう。


 「あら、私としたことが申し遅れました。ラウレリンと申します。お見知りおきを」

 「も、申し遅れました。ファニー・ソギジャス・ツイグです。よ、よろしくお願いします。ほら、ティーブも挨拶して」

 「はい。ティーブです。よろしくお願いします」


 ま、まさかドラゴン様と話せる日が来るなんて。本当におとぎ話の中に入ったみたい。アキシギルで最強の種族で、もっと怖いイメージがあったんだけど、思ったよりも優しそうだな。


 「ラウレリン。それで、わざわざどうしたんだ?」

 「あらあら。淋しいことを言うんですね。ルイスさん」

 「要件がないのに、会うような関係じゃないからね」


 ルイスさん、どうしたんだろう。声が緊張しているし、それに警戒しているのかな。ラウレリン様は黄金の鱗を輝かせながら目を細めている。場の空気が凍り付き、ピリついたように感じる。


 「警告に来ました」

 「警告?」

 「その通り。ルイスさん、あなたの本当の望みは叶えられませんよ」


 本当の望み?それって世界樹の下に行きたいってことかな。他に思いつかないってだけなんだけど。ルイスさんは立ったまま何も言わずにラウレリン様のことを睨みつけている。


 お互いに何も喋らないのに、まるで会話しているみたいに表情が変わっている。


 一体何を考えているんだろう。表情だけではわからないし、そもそも会話しているというのも想像かもしれない。これからどうなるんだろうかとラウレリン様を見ると、その視線が私に移ってくる。


 「1つ良いですか?」

 「は、はい。な、なんでしょう」

 「ファニーさんの、やりたいことを教えていただけませんか?」


 私のやりたいこと?どうしてそんなこと聞くんだろう。ラウレリン様は黙ったままジッと見つめてくる。ルイスさんは逆に全然こっちを見てくれない。


 答えられないっていうのは失礼になっちゃうのかな。だけど、正直に伝えないのはもっと失礼かもしれない。どっちの方が良いのかなって、ルイスさんに確かめたい。だけどやっとこっちを向いてくれたと思ったら、首を横に振っている。


 そう、だよね。こういうことで、他人を頼っちゃいけないよね。だって聞かれているのは私だし、それに私しか答えられないことだから。


 「あっ、あ、えっと。ごめんなさい。よくわからないんです」

 「わからない?」


 やっぱり、ちゃんと答えないとダメだったかも。だけど本当にわかっていないから答えられない。今はただ、自分にできることをやろうって、そう思っているだけ。ラウレリン様の表情からはなにも読み取れなくて、つい一歩下がっちゃう。


 「あぁ失礼、責めているわけではありませんそういう時期もあります。聞き方を変えましょう。ファニーさんは、これからどうするのですか?」

 「あっ、はい。すみません。ツイグ王国は滅びてしまったけれど、まだたくさんの人が残っています。隣国に助けを求めに行こうと思っています。なので私の望みは、この国の、誰かの役に立ちたいってことかもしれないです」

 「それはそれは。ではファニーさんの国を助けてもらった後はどうされるのですか?」

 「そ、それはですね。世界樹の下に行って、それでティーブとルイスさんの呪いを解いて、それで、その後は、すみません、まだ考えていないです」


 その後は、どうしたいんだろう。続く言葉が何も出てこない。望みじゃなくて仕事。ラウレリン様の言葉が頭に響く。


 ゴブリンを倒すことって、仕事なのかな。でも誰かがやらないといけないことだし、余命が少ない私は適任。それにルイスさんも最初からやろうとしていたこと。どこまで役に立つかわからないけど、私にも出来ることはあるはず。でも、こういうところが仕事って言われちゃうのかな。


 「責めているわけではないですよ。むしろ自分の望みでもないのに誰かのために行動できるのは素晴らしいことです。誰にでもできることではないですし。それにしても、呪いですか」

 「あ、ありがとうございます。そうだ。ラウレリン様はガーダンの呪いの解き方をご存じないですか?あと、その」


 ルイスさんのことをちらりと見る。賢者の呪いって何なんだろう。本当の望みって何なんだろう。賢者の呪いのことも聞こうとして、その言葉を飲み込んでしまった。


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