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マーフィー師団長

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 ほどなくして王城に着き、魔導師団に向かう。

連絡が入ったようで、魔導師団のビルの入り口で、師団長自ら出迎えてくれた。

「久しぶりだな。リチャード、あいかわらず腹の肉が歩くのに邪魔そうだぞ。」

「うるさい、これはおとなの落ち着きの象徴なのだ。」

「あははは、お父様ったら。あ、ごめんなさい。失礼いたしました。」

「おい、ネイト、これが儂の自慢の娘のシェリルだ。」

「おお・・・大きくなって。母上に生き写しだなあ。」

「そうだろう、時々リサが生き返ったのかという錯覚に陥ることがある。」

「全くだ。いや、驚いた。」

「性格まで似ておるのだ。面白いものだな。」

「・・・いや、すこし驚いて言葉を失ってしまったぞ。」

「お前、まさかとは思うが、惚れるなよ。」

「ばかもの。」

「うふふふ、なんだかお父様、すごく若返ったみたい。」

「そうか?いや、いつも若々しいがな。」そう行ってリチャードはわははと笑った。

「さあ、ここでいつまでも話しているわけにもいかん。ひとだかりがしてきたからな。ひとまず儂の部屋に場所を移そう。」


 マーフィー師団長の執務室に入ると、若い魔導師とみえる男性がお茶を持ってきてくれた。

「まあ、すみません、お茶をいれてくださって。ありがとうございます。」

そうお礼を言うと、なんだか照れて顔が赤くなっていた。


 「それで、転移魔法を覚えたいということでよいか?」

「はい。うちと領地を行き来できるような。」

「おお、それは遠距離だな。まあ、遠距離でも魔力さえ足りればそう難しいことではないのだが。ちょっと魔力量を見せてもらっても良いかな?」

「はい、もちろんです。お願いします。」


 マーフィー師団長は鑑定を始めるとすぐに、

「おお、これは・・・」と絶句した。

「リック、お前、このことは誰かに言ったか?」

「いや、言ってない。普段は髪の色を変え、化粧で変装している。」

「そうか、バレるとやっかいだからな。」

「気をつけろ。」

「ああ。」


 「さて、シェリル嬢」

「あ、私のことはシェリーで。」

「良いのか?」

「はい、父みたいな方ですから。」

「おお、なんと嬉しいことを。ではシェリーと呼ばせていただこう。」

「あの、私は師団長様のことをお呼びするのに、おじさまとお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「っ・・・良いのか?」

「ではネイトおじさまでも?あ、馴れ馴れしすぎますか?」

「いやっ、ぜひそう呼んでくれ。儂には子供もいないのでな。まさかそんなふうに呼んでくれる子がいるとは、幸せだ。」

「シェリー、あんまりこいつをつけあがらせるなよ。」とリチャードが意地悪く笑う。

「あははは、お父様ったら。」


 「それでだ、シェリー、魔力は全く問題ない。転移魔法はいくらでも使えるから練習次第だ。」

「わあ、ほんとですか!嬉しいっ!」

「ただ、練習に少々時間がかかる。儂がずっと教えてやれればよいのだが、なかなかそうもいかん。副師団長に頼んでも良いだろうか?」

「もちろんです。でもたまにはネイトおじさまも見ていただけますか?」

「時間の許す限り。」

「ありがとうございます。」

マーフィー師団長は別室にいる魔導師に声をかけた。

「では副団長を紹介しよう。ああ、今オマリーはどこにいるかな?」

「はっ、この時間ですど、おそらく研究室ではないかと。お呼びしましょうか?」

「何か緊急の用事をしているのでなければここまで来てもらいたい。」

「はっ。」


 「待っている間に、少々質問してもよいか?」

「はい、なんなりと。」

「シェリーは領地で薬草を栽培してそれを転移魔法で王都に持ってくるということで良かったかな?」

「はい、薬草で薬を作り、それに私の魔法を付与して、薬の力を大きくして、それを売りたいと思っています。また、現地でポーションを作って、それを売りたいとも思っています。」

「ほう、ポーションか。それはうちの師団に売ってもらえると助かるな。」

「今、領地はここ数年の干魃でずいぶん破壊されてしまいました。そこで、薬草園とポーション工場を作れば、失業した人たちの仕事ができるし、ポーションも普通のポーションと私の魔法を付与したものと両方つくるとけっこういい収益が出せると思っています。」

「おい、リック、シェリーは優秀だな。」

「何を言っておるのだ。儂の血だよ、儂のな。」リチャードが自慢する。


お読みいただきありがとうございます。

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