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ブレイディ伯爵家

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 「ブレイディ伯爵家について、お調べしました。」

「ご苦労だった。」

「リチャード・ブレイディ伯爵はここ数年領地で干魃が続き、財政状態があまり芳しくないようです。伯爵家には娘が2人、ひとりは死別した先妻の娘でもうひとりは現在の妻の連れ子です。2人は同じくらいの年齢のようで、2人とも成人しております。洗濯をしていたほうの娘はおそらく先妻の娘のシェリル嬢と思われます。使用人によると、シェリル嬢は妻と連れ子から虐待されているのですが、まあ、虐待と言うよりはむしろ妻と連れ子が怒鳴りまくっていて、それをシェリル嬢がうまくあしらっている、みたいな感じで、伯爵は借金を返すために必死で働いていて、それでシェリル嬢との時間が少なくなっているが、父と娘の関係は極めて良好のようです。シェリル嬢は気立てが良い娘だそうで、使用人たちからはとても慕われています。使用人たちと仲良く、時間の使い方が上手いのでうまく収入を得て、それで楽しくやっているようです。財政状態が悪いために、使用人は最小限にし、シェリル嬢も使用人と同じように家の掃除や調理などをしているそうです。亡くなった先妻はとても歌の上手な方だったようで、シェリル嬢はそれを受け継いでいるようです。以前は家のパーティーなどで歌を披露することがあったようですが、義母と義姉が嫉妬してパーティーのあと辛く当たるので歌うのはやめてしまったそうです。が、たまに義母と義姉が出かけている時に、使用人たちとリチャード伯爵とシェリル嬢だけで夕食会を開くと、リチャード殿がピアノを弾いてシェリル嬢が歌って楽しんでいるそうです。」

「なかなか興味深い話だな。少し揺さぶってみよう。パーティーを開いて招待してみよう。参加するかどうか、だな。」

「はっ。」


 ブレイディ家に王宮のパーティーの招待状が届いた。王子の婚約者候補を探しているのでパーティーを開くというもので、伯爵以上の娘を参加させるようにとのことだった。

妻とビビアンは大喜びで、さっそくドレスを新調するよう街に出かけていった。シェリルは我関せず、で、洗濯をしている。

「お嬢様、パーティーのお召し物はいかがされますか?」

「パーティーには行かないから必要ないわ。」

「そんな」

「いいのよ。私、パーティーとか好きじゃないし。」

「奥様が生きてらしたらこんなことには。」

「言ってもしょうがないことよ。私はこうやってみんな良くしてくれるし、お洗濯のお金で刺繍の材料が買えてそれで売れるようなものを作ってるのも楽しいし、それでいいの。将来ここを出ていくためにお金いっぱい貯めなくちゃ。パーティーなんかで遊んでる暇ないもん。」

「でも、ビビアン様ばかり甘やかして、シェリル様は働き通しで。」

「いいのいいの。私はドレス買ってもらっても嬉しくないし、お掃除とかお料理とか、いろいろしてるとそれがいいアイデアになるんだもの。私、お貴族様って好きじゃないのよね。パーティー行くと、なよなよした男の人がダンスに誘って歯の浮くようなお世辞言って、ばかみたいなんだもん。キレイなドレスですね、って、そう言われると、キレイなのはドレスで中身はブスかい、ってツッコミたくなるのよねー。」

「あっはははは、もう、お嬢様、おもしろすぎます。」

「そう?じゃあそのうちカーニバルで漫才やろうかしら。だれか相方になってくれるひといないかな。」


お読みいただきありがとうございます。

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