告白
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その時ドアがノックされた。
「お呼びでしょうか。」
「おお、オマリーよ、今シェリーから話を訊いたのだが、お前、シェリー殿と結婚するのか?」
「あ、その、ええと、無理強いはしておりません。シェリル様がお困りですので、私で役に立てるならと思っておりまして。」
「おい、儂はお前と何年一緒に住んでいたと思っておるのだ?俺の目は節穴だとでも思っておるのか?」
「え、いや、その。」
「お前、シェリー嬢のおかれた状況につけこんで、自分の思いを叶えようとしているのではないか?」
「えっ」オマリーの顔色が真っ赤に変わった。
「えっ」シェリルも真っ赤になった。
「おじさま、なにをおっしゃって。」
「儂はオマリーの育ての親なのだ。オマリーのことは良く分かる。こいつがきのう、はじめてシェリーに会った後、妙にソワソワして上の空でな、おお、一目惚れかなと思っておったのだ。それできょう、師団の者たちに訊いてみたら、あのオマリー副団長がきのうから笑っていると言ってな、こいつはいままで人前で笑ったことがなかったのだよ。それで、ああ、これはもう、確定だなと思ったのだ。」
「ええっ!」
「リックがな、同じようだった。リサ殿に初めて会って、それまで堅物でめったに笑わない奴だったのが、笑うようになり、しゃべるようになった。間もなくリサ殿に告白をし、結婚したのだよ。おい、オマリー、お前も男だったら男らしく正々堂々と告白をして求婚しろ。」
「はっ。」
オマリーはシェリルに向かい、膝まづき、シェリルの手を取り、こう言った。
「シェリル、確かに俺は男らしくなかった。機先を削がれたというか、言い出せなくなってしまった。すまない。もう一度、機会を与えてほしい。・・・きのう。初めて君に会って、話をして、君の心がとてもきれいなのに感動した。自分のおかれている状況を恨んで悲劇のヒロインになってしまう人が多い中、君は前向きに努力し、しかもその努力が自分のためでなく、ひとのために努力していることに心打たれた。また、泣き暮らしても良いような状況なのにそれを笑い飛ばし、明るく生きていることにもとても感動した。こんなに美しい心を持った女性を初めてみた。また、こんなに美しい容姿をしているのに、全く鼻にかけることもなく、謙虚にしているのも驚くばかりだ。そうかと思うと、強がって頑張っているが、実は魔法の大きな音に腰を抜かしたり、転移が怖くて震えて目を開けていられずぎゅっと瞑ってしまうところを見ると、なんとか俺が守りたいと思う。シェリル、一目惚れだ。初めて女に惚れた。どうか、俺を受け入れてほしい。俺は貴族ではないし、金もない。それでも全力で働き、衣食に困るようなことにはしないし、命に代えても君を守る。ふりではなく、本当の意味で、結婚してくれないだろうか。」
シェリルは、震えた。
まさか自分がこんなことを言われるなど、思ってもいなかった。なんと返事をしたら良いのだろう。嬉しいのだけれど、夢かも知れないと思ってしまって、夢から覚めるのが怖い。
「あの・・・私はオマリー様がおっしゃるような女じゃありません。きれいじゃないし、なまけるし、文句も言うし、意地悪言われて泣くし。きのう、はじめてオマリー様とお話して、正直で優しくて、良い方だなあと思いました。なんていうか、お父様といるみたいな安心感がある方だと思いました。オマリー様のことをもっと知りたいと思いました。実は、きのうクッキーを焼きながら、きょうおじさまにオマリー様のこといろいろ訊きたいと思ってました。きょう王子様の噂を聞いて、すごく嫌で、怖くって、オマリー様に助けてもらいたいと思ってしまいました。こんな情けない私でもいいですか?もしよければ、お側にいさせてください。」
シェリルはそう言って、ふと見ると父の姿があり、シェリルは泣いてしまった。
オマリーはそんなシェリルを抱きしめて、
「もちろんだ。シェリルのことはなんとしても守る。俺の気持ちに答えてくれてありがとう。」と言った。
ネイトとリックはふたりとも涙目になっている。
「おい、お前の娘さんは良い子に育ったなあ。」
「当たり前だ、儂が育てたのだからな。それに、リサの血だ。」
「そうだな。リサ殿にそっくりだ。」
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