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似合うと思って選んだんだ

「ちょっとお手洗いに」

 そういってリアナが席を立った。私はルイスの方を向く。

「……って、これじゃいつもと変わんないでしょ! ドキドキは!? 特訓の成果は!?」

「う……なかなか難しいね」

「リアナが戻ってきたら私がアシストするから、成果を見せよう!」

「分かりました、先生」

 少しするとリアナが戻ってきた。席に着いたのを合図に、ここからがスタートだ。

「ルイスって、手、大きいよね」

 まずはルイスに話を振る。

「え、そうかな」

「うんうん。リアナもそう思わない?」

 そしてリアナに振る。

「そう言われてみればそうかも」

「そうでしょ! ね、二人で手の大きさ比べてみたら?」

 かなり強引だけど仕方ない。手を合わせた後はルイスが気の利いたことを言ってくれれば……それかもういっそ、ギュって握っちゃえよ!

 リアナは不思議そうにしていたけど、ルイスが手を差し出すとリアナもそれに合わせた。二人の手が合わさる。

 その時、なぜだか胸がきゅっと締め付けられた気がした。

「エマは?」

 リアナは私の方を見て言った。

「え?」

「エマの手は私と比べてどう?」

 そう言って空いていた反対の手を私に差し出す。

「ああ、うん……」

 私はリアナと手を合わせた。

 え……なにこの状況…なんかの儀式ですか!?

「ルイスより小さいけど、エマよりは大きい」

 なぜか満足げなリアナは手を降ろした。何て言うか、そういう事じゃない感がすごい。

 はぁ……まあ、今日はいいか。みんな楽しそうに笑ってるから。


 ルイスが料理の最後に出してくれた紅茶を飲んでいたところで、リアナはティーカップを置いた。

「私、そろそろ帰らないと」

「そっか。今日も習い事?」

「ううん、今日は父に呼ばれてて」

 リアナは立ち上がった。

「ルイス、今日は誘ってくれてありがとう。どれも美味しかった。また食べたい」

「喜んでもらえてよかったよ。そうだ、これ。リアナにプレゼント。いつも仲良くしてくれてありがとう」

 そう言ってルイスは小さなギフトボックスを差し出した。きたきた。さて、ルイスは何を選んだんだろう。

「ありがとう」

 受け取ったリアナは箱を開けた。中から出てきたのは……

「ブレスレットかぁ」

「え?」

 ルイスが驚いたように私を見る。まずい、思わず口に出てたみたいだ。

「あ、いや、そのブレスレット素敵だなーって思ってね?」

 嘘ではなくて、その華奢なゴールドブレスレットはリアナにピッタリだった。

 リアナはルイスからのプレゼントを胸に抱えた。

「ありがとう。大切にする。それじゃあ二人とも、また学校で」

 そう言ってリアナは庭園を後にした。

 それにしても、ブレスレットか……最高ランクのネックレスには届かなかったけど、悪くないだろう。 

「エマ、こっちはエマの分だよ」

 ルイスは私にもギフトボックスを差し出した。

「私の分もあるの?」

「もちろん。よかったら、開けてみて」

「うん、分かった……」

 リボンを解く。何だろう。私は箱を開けた。

「エマに似合うと思って選んだんだ」

 中に入っていたのは、桜色の宝石があしらわれたネックレスだった。

「なんで!?」

「なんでって……気に入らなかった?」

「そうじゃない、そうじゃないんだけど!」

 見た目は私の好みドンピシャで嬉しい。でも、なんでネックレス!? リアナじゃなくて?

「エマには普段から仲良くしてもらってるし、特訓もつけてもらってるし、まあそれだけじゃないんだけどね」

 最高ランクのネックレスをもらったってことは、リアナよりも親密度が高いってことで、それってつまり……?

「初めては僕につけさせてもらえないかな?」

「あ、うん……」

 私の手からルイスはネックレスを受け取った。そして私の後ろに回る。

「エマ、髪あげて」

 そう言われて髪を持ち上げると、首にひんやりとしたネックレスの感触とルイスの気配が感じられた。胸がくすぐったくて、でも嫌じゃなくて、何だろうこの感じ。顔が熱い。

「はい、出来た」

 ルイスは私の正面に回って、まじまじと見つめる。

「エマ、可愛い」

 そう言ってルイスはいたずらっぽく微笑んだ。

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