プラトューン
「今日はお前達にプラトューンを組んで貰う。」
プラトューンとは小隊の意味で騎士となったら必ずプラトューンを組む事になる。なので学生の内から小隊での動きを知る為にプラトューンを組んだ訓練も行っておる。
小隊と言ってもまちまちで小規模から大規模まであるので人によってはそれぞれ適性はある。しかし、いきなり大規模な小隊を組んでも動く事など出来ないので始めは3人組のプラトューンで慣れてから徐々に規模を大きくするらしい。
それぞれの学生がメンバーを決めていく中名無しとフリットと組むのは決まっていたが後1人をどうするか決めかねていた。何人かは目線が合えば逸らしてしまって話し掛ける空気ではなかった。まあその筈流石に名無しとなってる自分に声を掛ける人間はそうそういないからだ。それに、こちらから声を掛けても組んでくれるとは思っても無かった。
「あ、あの!もし良かったら、わ、私をプラトューンに入れてもらっても良いですか?」
そう言って近づいて来たのはレティシアであった。緊張しているらしく少し噛みながらではあるが自分からプラトューンに入りたいと申し出てくれた。
「俺達からするとありがたいけど大丈夫か?俺達変わり者の集まりみたいな感じだけど。」
申し出は嬉しいがフリットは一応確認の為に聞いた。彼女は確かに女子の中に入る様な性格ではなく一人でいることが好きそうなイメージであったが自分達と関わる事でイジメとか合うのではないかと思ったのであった。
「ううん。わ、私、特に仲良くしてる子とかいないしそれに・・・名無しくんが悪い人じゃないって・・・し、知ってるから。」
顔を少し赤くしながらチラチラと名無しを見ながら語るレティシア。そこまで言われたら断る事は出来ない。だけど、こちらも助かるのでレティシアを含みようやくプラトューンを組むことが出来た。
「俺はフリットよろしくな。えっと、メーブル。ってか、いつの間にコイツと知り合いになってたんだ?」
「レ、レティシアでいいよ。フリット君。名無し君とは入学式前に少しだけ話した事あるんだ。」
「そうだったな。こちらこそよろしくレティシア。俺みたいな奴と組んでくれて助かる。」
それぞれ握手を交わし教師に報告した。どうやら名無し達が最後であったらしい。
プラトューンでの行動の仕方などを軽く教師から教わりいつもの様に訓練場で模擬戦を行う事となった。それぞれ動きの再確認を行い模擬戦が開始されていった。
「先生。相手の指名を良いかしら?」
そんな中、ミィナが教師に模擬戦相手の指名を行った。教師も特に問題はなく指名を許可しミィナは指名相手の所まで歩いて行った。
生徒全員が興味と期待の眼差しでミィナの歩いていく先を見るとミィナは名無し達の前で止まり名無しに手を差し出した。
「もし良かったら、私達と模擬戦をしませんか?」
ミィナが相手に指名したのは名無しであった。その衝撃の誘いに誰もが驚き思考が停止していた。それは、ミィナのプラトューンを組んでる生徒も同様であった。
「こちらは願ってもない事だけど良いのか?」
「気にしてなんかないわ。私は例え名無しであろうと実力を持ってる者であれば敬意を払うし平等に付き合うつもりよ。」
ミィナの目からは名無しだからと言う差別的な感じは受け取れなかった。そこには戦いたいと言う戦士の感情が読み取れたのだった。そんな感じを思わせてくる彼女に興味が湧き自然と笑みが溢れていた。
「なによ。私の顔に何か付いてるかしら?」
「いや、むしろ戦いたいって顔に書いてあって面白くてな。」
そう言われて少し顔を赤らめながら自分の手で顔を覆う様に触り感触でどんな顔をしてるか確認するミィナ。
「な、何よ。」
「いや、そう言えば模擬戦の話だったな。こちらこそよろしく頼むよ。」
そう言って名無しも手を出してお互いに握手を交わした。