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7話 「情報共有をしよう!」

「ソウルセット? 全然聞いたことないんだけど……」

「やっぱり? ネットで調べても出てこないんだけど」


 翌日、蘭は亜実を誘って大学の近くにあるカフェを訪れていた。

 結局、昨日は大してよく分からない効果につまらなく感じてログアウトしたが、その後ネットで調べてみたが、どこの攻略サイトや動画などにも掲載されていなかった。

 なんだかんだ言って気にはなるので、こうして外に出ることも踏まえて、今に至る。


「っていうか盗み成功回数1000回!? さすがにやりすぎじゃない?」

「え、そうかな?」

「だって1000回でやっと超レアドロップ獲得の実績解除でしょ? 超レアドロップをどうやってゲット出来るかということすら、どこにも書いてないんだよ?」

「まぁ普通にプレイする人があんな苦行に近いことを、長い時間をかけてやるわけないよね。この感じだと、条件を緩くしたり、公式が情報公開しない限りは当分の間は分からないだろうね」

「それに盗賊そのものを、選んでいる人が少ないからね~」


 フリーマーケットにはアイテム検索ができる項目があって、今のところあの世界でプレイヤーが入手して売買出来るものすべての一覧がある。

 アイテムの中には、説明文に超レアドロップという単語が出ているものもあるので、獲得方法自体は存在するのではないかと、噂されている。

 ただし獲得方法が未だに謎とされ、何でも流行に便乗してデマを流しまくる悪質な動画投稿者の餌になるか、大した根拠もないまとめサイトの考察くらいしか出ていないのが、現状であった。


「まぁこれで、1000回アイテムを盗めば超レアドロップが出るかもっていう真実が、亜実への献身的なプレイで発覚したってわけだ」

「まぁ、どこにもデータで出ていないことが私たちだけわかるって言うのがすごいね!」

「この感じだと、しばらくバレなさそうだから黙ってていいんじゃない? 亜実が配信者でもするって言うんなら、ネタにしてもいいと思うけど」

「そういうのは私の専門外だからしませーん」

「ちぇー、人気配信者になれると思うのになぁ」


 声も見た目も可愛いし、この話題になっているゲームの中にある真実を最初に公開したとなると、超人気者になれそうだが、そういうことには興味がないらしい。


「で、そのソウルセット?ってやつは、何て説明が出たの?」

「なんかさ、相手から受けた特技をコピーして使えるようになりますって」

「え。じゃあ、モンスターが使う特技? あれが使えるようになるってこと?」

「説明からそうっぽいのかな~?」

「なんで試してみなかったのよ~!」

「だって、換金できるアイテムじゃなくて、萎えちゃったからさ」


 モンスターには通常攻撃をすること以外に、固有の特技を使用してくることがある。

 スライムの跳ね上がってからの体当たりや、ビールビーの毒針による毒攻撃など。

 通常攻撃よりも、大きなダメージを狙えるものや状態異常にするものなど種類は様々。

 

「取りあえず、攻撃を受けてみてコピーできるかどうか試してみるしかないかな」

「そっか~」

「しっかし、まさか蘭の黙々とやっていることがこんなことになるとはね~」

「これで効果がしょぼかったら、普通にモチベーション下がりそう。引退危機ってやつ?」

「うーん、どうだろうね。コピーした特技が蘭のステータスに反映して威力が変わるとか、それを無視して特技そのもののポテンシャルに依存するのかとか、色々条件によって変わってきそう」

「あ、ちなみに呪文とかブレス系はダメらしい」

「なるほどね。呪文コピー出来ちゃったら、魔法使いの立場が怪しくなるから、パワーバランス維持は考えてやってそうだね~。ブレスはまあ……。人外みたいになっちゃうからじゃない?」


 亜実なりに色々と考えられる可能性を話してくれたが、結局のところは自分で色々と考えられることを実際に試してみるしかなさそう。


「帰ってまた色々と試してみようかな~」

「お、いいねぇ。結構しっかりハマってきてるじゃん」

「ちょっとだけね」

「それが沼の始まりよ! 近いうちにプレイヤーイベントのお試し開催もあるらしいよ~」

「なんか上位に入ると、賞品とかあるの?」

「お試しだからそんなにいい物はもらえないかもしれないけど、イベント事はいざやったら夢中になるんだなこれが~」

「だろうね。私もやる気があったら参加してみようかな~」

「うんうん」


 蘭がイベント参加に前向きな発言をすると、亜実は嬉しそうに頷く。

 

「ひとまず、この後戻って色々とソウルセットで得られたコピー能力が、どういう形で発揮されていくか、調べてみるね」

「うんうん。私も普通に気になるし!」

「じゃあ、そのあたりの情報が集まったら、またゲーム内で合流しよっか」

「おっけ~」

「その時に、あの犬のモンスターから取った牙、50個とか集めたのも渡すね~」

「噓でしょ……。あの犬からそんなにレアドロップ集めたの……?」

「うん」


 涼しい顔で頷きながら注文したキャラメルマキアートに口をつける蘭に、亜実はただただ圧倒されて苦笑いを浮かべるしかないのであった。

 そんな感じで、亜実とカフェで雑談を楽しんだ後、蘭はそのまま帰宅した。

 亜実はまたバイトらしい。蘭よりもはるかに多くバイトをしているのに、金欠とのこと。おそらく、ソシャゲに課金をすごくしたに違いない。

 そんな理由もあって、手元にそれなりに確保できるまではぼちぼちシフトに入るらしい。

 亜実のことだから、バイトが終わったら休むなんてことを考えずにログインしてくるだろうから、それまでにコピー能力について色々と調査をしていくことにした。




現在のステータス

 

 【リア】 【♀】 盗賊Lv25


【武器】木のナイフ 【盾】装備無し

【頭】布のターバン

【体上】布の服

【体下】布のパンツ

【腕】皮の手袋

【足】皮のブーツ

【アクセサリー1】装備無し

【アクセサリー2】装備無し

【アクセサリー3】装備無し


【スキル】盗む、初級落とし穴、煙幕、ハイパースティンガー、ライトエレキスロー


【HP 51/51】 【MP 14/14】

【STR 24〈+14〉】

【VIT 17〈+8〉】

【AGI 33】

【DEX 36】

【INT 9】


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