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13/25

20:00

七海とは夕方前に連絡が取れたけれど、やっぱり予定が出来たらしくパーティーには夜が深まった頃来るらしい。


俺はまた七海の心を支えてくれる人が増えてよかったなと思っていると、少し慌てた様子でやってきた夢衣は玄関にある姿見でこの間買った動くたびにフワっとなびくライトグリーンのシースルードレスが着崩れてないか見る。


夢衣「うぅ…、いっつも遅れちゃう。」


来虎「まあ、明日までのんびり過ごすパーティーだから少し遅れたって大丈夫。」


夢衣「でも、こういう待ち合わせにいつも遅れちゃうから友達いないの。」


来虎「え?そうなの?」


俺は夢衣と遊ぶ時に遅刻された覚えがなくて思わず首を傾げる。


夢衣「うん。ちゃんと早めに準備してるはずなのにいつのまにか出る時間の20分は確定で過ぎてるの。」


来虎「俺の時は遅刻したことなくない?」


夢衣「…だって、来虎だもん。」


そう呟いた夢衣はだいぶ高いヒールのパンプスを履いて、俺が持っていたクラッチバッグから自分の鍵を取り出して部屋の鍵を閉めた。


夢衣「早く行かないと一が紹介してくれた友達もいなくなるからタクシー乗ろ。」


と、夢衣はとても焦った様子でエレベーターに乗って1階に下りると、いつもより早足でマンションを出て大通り出るとすぐにタクシーを止めた。


俺は一緒にタクシーに乗り込み、今からクリスマスパーティーをするとは思えない不安げな表情をする夢衣の手を取り繋ぐ。


来虎「俺はずっといるから大丈夫。一さんの友達もいい人たちだって事は夢衣からも教えてもらったから大丈夫だよ。」


夢衣「…うんっ。」


夢衣は強ばっていた顔を少し和らげて口角を上げてくれた。


俺は少しホッとしてパーティー会場の瑠愛さん家にお邪魔すると、リビングに入った途端あのドレスを着た天ちゃんがしっかりとラッピングされた箱を持って俺の元へ駆け寄ってきた。


天「ジャケット、出来ました!おまけ付きです!」


来虎「おお…!本当に作れたんだ!」


俺は才能があり過ぎる手から箱をもらい、夢衣と一緒に中身を見ると俺が前に着ていたスーツよりも生地感も良く着心地がいいジャケットとゴールドがまぶしてあるネクタイとお揃いのハンカチをつけてみる。


夢衣「やっばい。来虎、かっこいい…。」


天「ぱっと見、ネイビー1色なんですけどボタンホールとか中の縫い目はゴールドにしてシャンパンをモチーフにしたネクタイとハンカチの色と合わせてみたんですけど、どうですか?」


…すごい。


俺よりも10年遅く生まれてるのになんでこんなものを作り出してしまうんだろう。


この才能はきっと日の目を浴びる機会さえあれば瞬く間にみんなが知る日向 天ちゃんになるんだろう。


俺はどうしても肌の露出が多すぎる天ちゃんのオフショルの袖を肩に上げて才能の持ち主のご利益を貰うように、そっと頭を撫でる。


来虎「ありがとう。こんなにいいもの作ってくれるとは思わなかった。」


俺はお礼を伝えて、クリスマスプレゼントとジャケットのお礼を合わせた充電式のホットアイマスクを渡そうとすると天ちゃんは嬉しそうにそばにあったソファーに倒れて一さんの友達と話し始めてしまった。


来虎「…あとでいいか。」


夢衣「天ちゃんって感情が全部体に出て可愛いよね♡」


と、夢衣は俺の腕に抱きつきながらジャケットを撫でる。


来虎「夢衣も似たようなもんだけどね。」


夢衣「じゃあ可愛いってこと?」


来虎「…まあ、そうなるね。」


夢衣「やったね♡」


夢衣は自分で言わせたような『可愛い』も喜んでしまうから本当の『可愛い』をもらったらどうなるんだろうとふと思ってしまう。


来虎「あ、俺からのプレゼントいる?」


俺は渡しそびれがないように1番時間をかけて選んだ夢衣のプレゼントを紙袋越しに見せる。


夢衣「うん!ここ人多いからゲストルーム借りちゃお。」


そう言って夢衣は勝手に瑠愛さんの家にあるゲストルームに入って鍵を締めると、大きなベッドに飛び乗り俺を呼ぶ。


俺はそんな子どもっぽい夢衣に心が弾むような気分になり、隣に座ってあのプレゼントの箱を渡す。


来虎「きっとサイズは合うはず。」


夢衣「サイズってことはファッション系かな。」


推理しながらラッピングを開ける夢衣は透明フィルムの向こうで俺のスウェットと夢衣のスウェットの袖でハートが作られているのを見て、驚いたまま固まる。


来虎「ブラウンが俺で夢衣のはピンク。今着てみる?」


俺がそう聞いてみると夢衣は首を横に振る。


夢衣「…家宝にする。」


来虎「え…っ、夢衣って服飾る人?」


俺はどうしても服や靴を使わずに収集する人の気持ちが理解出来ず、夢衣もそんな人だったのかと少し困惑してしまう。


夢衣「んー…、でも着たい。これ、来虎とお揃いってこと?」


来虎「そうだよ。男女でお揃い出来るの選んだ。」


そう言うと夢衣はクラッチバッグから携帯を取り出し、何枚も箱に入ったスウェットを撮り、俺とツーショットで箱を持っている自分を撮る。


その枚数に俺はだんだんと笑顔が出来なくなっていると、夢衣はそっと箱を開けた。


夢衣「…可愛いっ。可愛すぎてこの形崩したくない。」


…そういうことか。


俺が思っていた収集家ではなく、ただこのラッピング方法がどストライク過ぎたらしい。


来虎「着てもこの箱とこの服が残ってれば出来るし、他の服でも出来るよ。」


俺がそう言うと夢衣は覚悟を決めたようでゆっくりと自分のスウェットを取り、広げた。


夢衣「毎日着る。」


来虎「ちゃんと洗ってね。」


夢衣「毎日着て、毎日洗う。」


それならだいぶ消費が激しそうだけど、そんなに気に入ってもらえたならよかった。


そう思っていると夢衣も俺に同じような大きさのプレゼントを渡した。


夢衣「これ着てデート行こ。」


来虎「一旦、見させて。」


俺はもしもの保険でそう言って、プレゼントを開けさせてもらうとスウェットの色に良く似たロングコートが出てきた。


サイズが合ってるか着てみると、いつもきつかった肩周りがとても楽で身長にもちょうどいいサイズ感だった。


来虎「ありがとう。すごいぴったり。」


夢衣「毎日着る?」


来虎「うん。これが1番サイズ合う。」


俺は自分の体に合うジャケットもアウターも手に入れられてとても嬉しくなって、自然と笑みが溢れていると夢衣はドレスの上にスウェットを着てベッドの上でくるりと回る。


夢衣「今日はこれで過ごそっと。」


来虎「帰るときはこれ着て帰るよ。」


俺たちは相手の1番を渡し合ったプレゼントを無くさないよう自分のそばに置いてクリスマスパーティーを楽しんだ。



環流 虹向/ココのさきには


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