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彼女と彼の、微妙な関係?  作者: 千里志朗
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06.告白のその後(3)

久しぶりにギリギリで書き上げました~。

やっぱり調子良くないと駄目ですね。



 ※(沙理砂視点)



「……え?え?どうしてそうなるの?助けてもらったさりーが告白するとかならともかく」


 私が話した内容に、それまで以上に驚いたのか、誌愛はとんでもない事を言って下さる。


「男性嫌いの私が、どうして急にそうなるのよっ!」


 私は上体を起こしてベッドに座り直すと、誌愛と同じ目線になって、“親友”の顔を真剣に睨んだ。


「え?少女漫画なら、助けてくれた正義の味方に恋するとか~、なくもないから?

 

 ……うん、まあそうだよね。でも、話が急に飛んだような気がして~」


 誌愛は私から視線を逸らして、ひゅーひゅー鳴りもしない口笛を吹いている……。


「……確かに話を端折はしょりはしたけど、私、そんなに衝動的じゃないわよ?」


「だって、さりーは名目上だけでも、『風早ラルク』の恋人じゃない~。部活の先輩の恋人にいきなり告白とか、しないと思って~~」


 誌愛は結構鋭い。なぜ話がそうなったのかの問題点を適確に把握している。


 私が、高校入学時から、あのチャラい幼馴染の偽装恋人に訳あってなっていた。


 多分、その事を神無月君に話さなければ、告白、という恋愛重大イベントににまで話は発展しななかったのだろうから。


「あ……。それなんだけど、助けてもらった後に、少し事情を説明してしまったの。私にラルクって恋人がいる癖に、神無月君に色目使った、とかファングループのお姉さま方が怒り狂ってたから。今日実際は、少しバスケットのルール説明をしてもらってただけなのに。


 だから、つい愚痴をこぼすみたいに、あの子に事情を話してしまって……」


 あれは本当に怖かった。女の嫉妬というマイナス感情は、ああも人をたやすく暴力的にしてしまうのだ。……少し昔の嫌な記憶と重なる。


「ふ~~ん。つまり、さりーに本当は恋人がいないと分かったから後輩君は、喜び勇んで告白して来た、と」


 喜び勇んで、はなんかひどいと思うけど、状況的には間違っていないのかも……。


「……そう、なのかな?ずっと好きでしたって言われた……」


 私は照れ臭くて、なんとなく自分の髪を指でもてあそぶ。


「ずっと~?」


 誌愛は私も気になっていた個所を聞き直して来る。


「そう言ってたわよ」


「ふむう……。それで、返事はしたの~?」


「そういうのを相談したかったの!しあ、私、どうしたらいいかなぁ……」


「え……?、あ~、と。それを恋愛の達人な、可愛いしあちゃんに聞きたいと~?」


「一人と一回きりしか恋愛してないのに、なんで達人なのよ!」


「純愛の専門家は、達人の領域まで達するのですぅ~」


 誌愛は鼻高々と意味不明な論理で断言する。


「もう達人でも何でもいいけど、どうなのよ!返事は、……すぐじゃなくていいとか言われたけど、どう答えていいやら皆目……」


「それなんだけど、その前に、ちょっと確認いいかなぁ~」


「?なにを?」


「私がそばにいた、ルール説明の時はともかく、助けてもらった後のその話って、二人きりだったんだよね?苦手な男子と二人で、普通に話せているような気がしたんだけど、どして?」


 誌愛は自分の頬に人差し指をあて、可愛く小首をかしげて尋ねて来る。


「?……あれ?どうしてって、あれ?どうして?」


 それてに対して、私は自分でも明確な答えを出せなくて困った。


(そう言えばそうだ。私、なんであの子と、普通に話せてたんだろう……。怖い目にあった後で動揺してたから?それとも、助けてもらった感謝で、苦手意識を一時的に忘れてた、とか?)


「聞いてるの、私の方なんだけどなぁ~」


 なぜか誌愛は、私の方をニヤニヤ笑いながら眺めている。


「え、と……。あ、あの子、背が私より低くて、あんまり男子って感じがしないからかも!可愛い感じがしなくもないし、礼儀正しいし、男臭くないっていうのかな……」


 苦し紛れな言い訳を口にしてみたけれど、言葉にしてみると、なんとなくそれが正解な気がしてきた。


「あ~、それはそうかもねぇ。だから、三年中心のファンクラブなんてのが出来てるんだしぃ~」


「そうそう、それなのよ!」


「でもさあ、告白の返事に迷ってるって事は、受ける意思が少しでもあるって事なのかなぁ~」


「うぇぇ?なななな、なんでそうなるのよ!」


 動揺の余り、声が裏返ってしまった。


「だって、迷ってるんでしょ?いつもなら即、断固としてお断り、問答無用で斬り捨てる、みたいな感じだったのにぃ~」


「………」


 それは、そうかもしれない。今までの私は、誰が何を言って来ようと、NO以外の答えなんてあり得なかった。だって、私の苦手意識、男性嫌悪といっていい感情には根深いものがあるのだから。


「……こ、断り方を迷ってたのよ!あの子、とっても真剣で、一途な感じがしたから、どう傷つけずに、うまく断れるかなぁ、って……」


 私は、自分でも思っていない事を強がって言ってみるが、それも言葉にするとそうかもと思えてしまう。私、意思がブレブレだ……。


「そうなのぉ~?でも、そんな性急に答えを出さなくてもいいんじゃないかなぁ。それこそ、翌日即お断り、じゃ、ぜん君を傷つける事になると思うしぃ~」


 それは、そうかもしれない。前向きに考えて、と言われたけれど、後ろ向きにしか進めない私には、選択肢などないに等しいと思う。


 それでも、間を少しぐらいあけるのがいいことぐらいは、誌愛に言われずとも分かる事だ。


「……そうね」


「それに、私の方でも確認したい事とかあるしぃ、さりーはゆっくりじっくりと考えて欲しいかもぉ~」


「え?なにを?いまさら」


「え、とね。ずっと、今のままではいられないと思うの。私達が一生傍にいられる訳じゃないし、それも含めて、ちゃんと自分の心に正直に、まっすぐに向き合うのが、さりーには必要だと思うの」


 急に真面目な口調になった親友の言葉に、私は頷かない訳にはいかなかった。


「うん。そうよね……」


 ―――次の日、私は告白の返事の心配などする必要がなくなってしまった。


 熱をだして、学校を休む事になったからだ……。



女主人公:黒河くろかわ 沙理砂さりさ

自称ごく普通の女子高生。母親がスペイン出のゴージャス美人で、その血を継いで容姿は黒髪美人だが、性格は平凡な父親似。過去のトラウマから男性全般が苦手。


男主人公:神無月かんなづき ぜん

高校一年生だが、背の高くない沙理砂よりも低く、小さい印象がある。

バスケ部所属。その小ささに似合わぬ活躍から、三年女子を中心としたファンクラブがある。本人は迷惑にしか思っていない。

物語冒頭で沙理砂に告白している。


苗字を、キャラの特性に合わせて考えたので、余り普通な苗字が少ないかもです。

後書きキャラ表は、某氏の作品に影響を受けて(^ー^)ノ


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