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不登校で美少女な女の子

 顔も知らないネット上で知り合った人と待ち合わせをするのはすごくよくないことである。


 とてもよくなさすぎるので、僕もためらった。


 しかも相手のアカウントを見ると、ゲーム関連の投稿がいろんな時間にされている。


 ニートか? これ。


 しかし気になったのは、いいねをつけた一覧である。


 投稿はゲームのことばかりなのに、いいねはひたすら蝶の写真である。


 これは不思議だ。


 今の所の仮説は、なんらかの理由でニートになってしまった昆虫マニアか何か。


 しかしアマチュアの昆虫マニアが新種や新たな生息地の発見をした例だってあるはずなので、もしかしたら本当に僕の写真は貴重なもので、だから声をかけてくれたのかもしれない。


 そう考えて、あと写真を撮った場所が人通りがあるところだったこともあり、僕は場所を案内してあげることにした。


 相手も簡単にその場所に来れる位置に住んでいるようで、さくさくと予定は整った。


 

 待ち合わせ時間は、駅前に、午後四時。


 そこから僕の通っている高校、渚ヶ丘学園へと向かう道の途中に、蝶を見た場所がある。



 放課後、多くの新入生は新しく入った部活、あるいはまだ入るか迷っている部活の見学に行くだろう。


 でも僕は急いで駅に向かった。


 駅は南口と北口があり、北口は賑やか、南口はひっそり。


 僕たちの待ち合わせ場所は、南口である。


 だからきっと改札前に立っている人が、僕の今日会う相手で。


 え? 


 僕は驚いた。


 中学の時の有名人ではなかったか。あの子。


 つまりは僕の中学の後輩にあたる。


 名前は……虹原舞花だと思う。


 とにかく美少女で、学年を超えて噂されていた。


 さらに噂が広がったのは、滅多に学校に来ないからというのもある。


 なぜかは知らないけど、不登校みたいだった。


 そんな彼女が立っていて、そして僕を見た。


「あの……夕暮れのそら、さんですか?」


 そして僕のアカウント名を呼んだ。



 ちなみにアカウント名はてきとうで、初めて投稿した写真が夕暮れの空だっただけである。


 いや今そんなことを説明している時間じゃなくて。


「あなたが……まいか、さん……」


「そうです。本名です」


 そうだった、虹原舞花だやっぱり。


 僕は一呼吸ついてから言った。


「あ、じゃあ案内しますね、蝶を見た場所に」




 そうして僕は舞花を案内したわけだ。


 しかし、蝶は全く見当たらなかった。


 それはそうな気もする。


 あんなに舞える蝶が、同じところにいつもいるわけない。


 でも何故か舞花は嬉しそうで。


「あの、先輩」


 中学が同じであると明かした僕を先輩と呼んで、そして舞花は提案した。


「私と一緒に、蝶の写真を撮りに行きませんか? 私……少しずつ外にも出かけるようにしたいので」


 そうだった。舞花は不登校なんだ。


 舞花は自分が不登校な美少女として有名なことを自覚しているのだろうか。


 おそらくだけど、自覚している気がした。


 僕にも、当然知ってるでしょ? みたいな感じで不登校だと話したし。


「……そうだな。いいよ。蝶の写真を撮りに行こう」


 僕も一緒に写真を撮る人を見つけたかった。


 しかもそれが美少女だなんて、なんて素晴らしい展開! と思ってしまった。


 そして極めつけに、蝶の写真は、結構撮ってみたいタイプのものだった。


 だから僕もすっかり、舞花と蝶の写真を撮りに行きたいと思っていたのだ。


お読みいただきありがとうございます。

幼馴染についてですが、今のところあまり出てきてませんが今後物語に関わるキャラとして出しゃばりすぎない程度に出る予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 幼馴染の女は主人公が美少女と恋仲になったのを知り、せいぜい悔しがってくれると嬉しいです。
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