表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/110

僕を写真部に引きとめようとする幼馴染、その後出会った水色の蝶

「ねえ、秀映、だから私と部長はね……別に秀映のこと邪魔だなんて思ってないし、写真部に入って欲しいの!」


 放課後。写真部の部室で。


 写真部に入るのは、やっぱり遠慮しますと伝えに来た僕に、幼馴染の花記かきは言った。


「でも、付き合ってるんだよな?」


「それはそうだけどね、色々したいことが共通してて。それでね……」


「はいよ、たくさんしてどうぞ。まあ退学にはならないようにな」


「なにそれ。ていうか、一緒に写真部頑張ろうよほんとに」


 明らかに幼稚なのは僕の方だった。


 だけど、これからずっと、幼馴染と部長のカップル、そして自分という構成の部活で、やっていけるとは思えなかった。


 やっぱり、今更だけど、僕は幼馴染に恋していたのかな。


 もうこの段階になると自分でもよくわからない。


 けど、やっぱり写真部に入るのはやめておきたいという気持ちは、はっきりとしている。


 だから僕は宣言した。


「ごめん。やっぱり入らない。そう決めた」





 その日の帰り道。


 僕はカメラを下げて、下校していた。


 カメラがかかってる首の付け根と肩が重い。


 いつもよりもとても重く感じることはないけど普通におもたい。


 そんなに僕は感情と感覚が連動していない説がある。


 むしろ、なるほどたしかに巨乳の人はいつも肩がつらそうだな、その気持ちをわんちゃん一ミリくらい味わえるんじゃないか? とかいう、くだらない男子高校生上位十パーセントに入りそうな思考回路の有り様である。


 そんな単純な僕だからか、胸が大きい幼馴染が脳内に登場してしまい、頑張って振り払った。


 と、その振り払い終わった直後。


 一匹の、水色の蝶が飛んでいるのを見つけた。


 なんだあの輝き。


 まじでみたことない。


 僕は慌ててシャッターを切った。


 飛んでいる途中なのであまり綺麗に写っていない。


 でも、明らかに珍しい蝶なことはちゃんとわかる写真だった。


「……あげてみるか」


 僕はそうつぶやいて、カメラからスマホに写真を転送した。


 幼馴染につられて始めた写真。


 少し前から、毎日のように撮っている。


 その中でもお気に入りの写真をあげているのが、僕のSNSのアカウントだ。


『なんか珍しい蝶がいた。なんだろこれ。(写真添付)』


 よし、これでおっけー。


 僕は満足した。


 それなりに拡散されるのではないか。


 今思えば、部活に入らなくても写真は楽しめる。


 お、早速コメントが来た。


 僕はコメントを表示してみた。


『突然ごめんなさい。この写真を撮った場所に、私を連れて行ってくれませんか?』


 え?


 予想もしていなかったお願いが、僕のスマホに出ていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ